ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

マザーウォーター

Motherwater
はむちぃ: 皆様こん**は、本日の映画レビューは「かもめ食堂」の流れを汲む邦画「マザーウォーター」でございます。
ゆうけい: 先日紹介した「トイレット」も同じルーツなんですが、その映画の前のトレーラーでやってたんですよね。
は: いかにもゆるくてホノボノ系映画の印象を受けましたが?
ゆ: まさにその通りでしたね。こんな地味な映画だからどうせガラガラだろうと思っていたら何と客席の2/3が埋まっている盛況でした。分からんもんですなあ。

『 2010年日本映画、パセリ商会製作、スールキートス配給

監督: 松本佳奈
脚本: 白木朋子 たかのいちこ
音楽: 金子隆博
エンディングテーマ: 大貫妙子マザーウォーター

キャスト: 小林聡美小泉今日子加瀬亮市川実日子永山絢斗光石研もたいまさこ

不変な中にヒタヒタと進化を続ける、そんなシンプルな美意識を貫いてきた街、京都。街をよこぎる大きな川と、その川に繋がるいくつもの小さな川や湧き水。そんな確かな水の流れがある京都の街に住み始めたのは、芯で水を感じる三人の女たち。豆腐を売るハツミ(市川実日子)。コーヒー店を始めるタカコ(小泉今日子)。そして、ウィスキーしか置いてないバーを営むセツコ(小林聡美)。多くを語らず、そよぐ風のように暮らす三人の女たちにかかわることによって、やがてそこに住む人たちの心にも、新しい風が吹き抜けていく。今一番大事なこととは――。そんな人の思いが静かに強く、いま、京都の川から流れ始める。(CinemaCafe.net等より) 』

は: 「健気に自分の素を見つめながら暮らして行く、そんな日々の描写以外、物語のない物語」とパンフレットにございますように、
ゆ: 一応主人公7人それぞれの生活や心理は描いておりますが殆どストーリーらしきものも無く、京都の桜の季節を淡々とラフスケッチの様に描いた映画でしたね。
は: ビックリしたのはラストの女性の声くらいですか?
ゆ: いたのかよ、みたいな(苦笑。「トイレット」にはゆるくともそれなりのストーリーがあったのがアメリカ的に思えてしまいますね。

は: 本気で怒る人も泣く人もおりませんし、生活の表層をさらりと掬いとっている感じでした。、
ゆ: 辛い面暗い面を意識的にオミットしてましたね。あんなにのほほんと内輪の客だけで店をやっていて大丈夫なんだろうかと心配になるくらい(笑。
は: 7人の誰一人として京都訛りが無いですしね。
ゆ: ほんに不思議でおすなあ、まあ主人公のおなごはん3人はよそからお来やした方でおすさかいに、無理に合わしてもらわんでよろしおすけど。
は: と言うような古い町の底意地の悪さも微塵もございませんでした(笑。

ゆ: まあそれはともかく(^_^;)、名所を描かなくとも風景は京都そのものでしたな。そういう意味では初監督の松本佳奈さん、お見事な演出とカメラワーク。金子隆博の音楽も心地よくフィットしていましたし、
は: 「マザーウォーター」たる賀茂川や疎水の水の流れの音も心地よく響いておりました。

ゆ: 水が良いと食べものも美味しい。店先で食べる豆腐しかり、喫茶店で入れるコーヒーしかり、バーで作る水割りしかり。
は: そして次から次へとでてくる食べ物は垂涎もので「」が大きなウェイトを占める映画でございました。
ゆ: その辺いかにも「かもめ食堂」の流れを汲む映画らしいですね。もたいまさこさんが1歳半のお子ちゃんに食べさせる卵サンドの卵が妙に美味しそうで良いシーンでした。

は: 俳優さん方の演技はいかがでございましたでしょう。心理の起伏のあまりない映画では評価も難しゅうございますが。。。
ゆ: 小林聡美の食パンCFの延長線上にあるような自然体の演技に小泉今日子市川実日子が上手く合わせている感じ、もたいまさこ独特の存在感、加瀬亮光石研の安定した演技(とまでは今回はいかないか)、「悪人」にも出ていた永山絢斗の新鮮さ、といったところでしょうか。映画の内容と同じく万事こともなく丸くおさまっている感じですね。

は: というところでまったりとしたゆるくてホノボノとした自然体映画でございました。
ゆ: 「ドコにいて、ダレといて、ナニをするのか、そして私たちは、ドコに行くのか、今一番大事な事はナンなのか」(パンフレットより)そんな事を感じるもよし、
は: 「今日もキゲンよくやんなさいよ」(もたいまさこさんのセリフ)に元気づけられるもよし、
ゆ: ボーっと見てるうちに終わっちゃってなんじゃこりゃと怒るもよし、まあ大貫妙子さんの歌でその怒りも静まりますでしょう(笑。という所で採点まいりましょうか。

はむちぃ: 65点
ゆうけい: 68点