ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

トイレット / TOILET

Toilet
はむちぃ: 皆様こん**は、筆頭執事のはむちぃでございます。この頃ご主人様の同級生の方々にまでと呼ばれて往生しております。し・つ・じでございますゆえ、何卒お間違え無きよう、よろしくお願いいたします。と言うわけでございまして、本日ご紹介の映画は「かもめ食堂」を撮られた荻上直子様の新作「トイレット」でございます。
ゆうけい: 家内に連れられて行って参りましたが、「洋画かっ!」と思わせて「邦画」というフェイク映画でございました。
は: 違います。カルフォルニア大学大学院映画学科で学ばれた萩上監督念願アメリカ大陸(撮影はトロント)上陸映画でございます(-_-;)。
ゆ: そうそう、アメリカ大陸にこんな凄いウォシュレットはないだろう、マドンナも絶賛だぜ、というTOTO紹介映画でございましたm(__)m。
は: 違います。
ゆ: とは言わせねえぜ、羊君、これを見給へ!

Toto

は: こ、これは、フォトショしまくっておまけにレイヤーまで重ねて(--〆)。
ゆ: そ~ゆ~問題じゃないっしょ、映画の半券をTOTOショップへ持っていけば貰えるオリジナル金運ストラップなのだ!便器の中に小判まで入ってる芸の細かさ、さすが

ただのトイレじゃない。日本の偉大なテクノロジー

は: わざわざ映画中の主人公の友達のインド人のセリフまで持ち出して(;一_一)。。。はいはい、じゃあTOTOの宣伝映画と言う事で本日は〆という事で、
ゆ: ちょ、ちょっと待った、はむちぃ君が投げ出したらレビューになりませんがな、許してたもれ、実はこの映画、クラシックピアノファンにもたまらない映画でございますよ。では、はむちぃ君、よろしければご紹介の方、お願いできますでしょうかぁm(__)m。
は: はいはい、かしこまりました、萩上監督に免じて今日はお付き合いいたしましょう。

『2010年日本映画、109分、配給:ショウゲート、スールキートス

監督・脚本:荻上直子

  「かもめ食堂「めがね」など独特の作風で知られる荻上直子監督が、全編カナダ・トロントで撮影した家族ドラマ。プラモデルオタクのレイ、引きこもりピアニストのモーリー、エアギターを生きがいとする女子大生リサの3兄妹は、お互いに干渉せず、それぞれマイペースに暮らしていた。しかし、母親の死をきっかけに家にやってきたナゾの祖母“ばーちゃん”との交流により、家族のきずなを取り戻していく。荻上作品の常連であるもたいまさこが、不思議な“ばーちゃん”を演じる。(映画.COM等より編集)』

は: なるほど、母の死後、ある事情で自宅に舞い戻り、パニック障害で外出できない天才ピアニストの兄、人を小馬鹿にしたような目で見るわがままな妹、そして英語をしゃべれない日本人の「バーチャン(多分Barchan)」の3人と暮らす羽目になった真面目一徹・ガンプラオタクの主人公アレックスが、3人に振り回されながらも、徐々に家族の絆を取り戻す、そして、

「人生は退屈の繰り返し、何も求めず、何も期待しない」

と言う人生哲学を少しずつ氷解させていくいくストーリーが、萩上監督独特のホノボノ・ユルユルとした展開で描かれておりましたね。
ゆ: いつも通りの見事なまとめ紹介ありがたう、はむちぃ君。ついでに言うと君の天敵、猫の「センセー(多分Senseh)」もおりましたな。
は: それは言わない約束でございます(-.-)。で、ご主人様はちょっと退屈そうにもぞもぞされておられましたが?
ゆ: いや、退屈なんじゃなくってチョト体調が悪かったんで身の置き所を探していたと言うか何と言うか(^_^;)、周りの方すみませんでした~m(__)m
は: とは言え、今一つ感情移入はしにくかったようですね。
ゆ: そうだねえ、ゆるい分だけ、兄のピアノの驚くべき才能や、妹のエアギターのパフォーマンス、そしてバーチャンがトイレを出るたびにつく溜息の理由、そしてとどめとなる主人公だけが知らなかった驚きの家族の秘密、そのあたりの謎解きにインパクトがないんだよねえ、「かもめ食堂」の場合は謎解きも家族の再生と言った難しいテーマも無かったからあのテンポで良かったんだと思うんだけど。

は: 映像のセンスや無名俳優たちの演技ともたいまさこ様の絡み、ピアノの選曲なんかはご主人様好みだったように思うのですが?
ゆ: そうですね、トロントの町の情景も主人公たちのバーチャンとの絡みも結構上手く撮っていると思いましたけどね。
は: 兄モーリーが母の形見のミシンの使い方をバーチャンに教えて貰って縫ったスカートを穿くとピアノが弾けるようになるくだり、
ゆ: そしてラスト近くで再びピアノコンクールに挑戦する兄モーリーがまた舞台上でパニック発作を起こしそうになった時に、バーチャンが客席で立ち上がって最後の最後に一言だけ喋るセリフ、

Maulie, Cool !

はそれなりに感動させてくれました。が、こういうテンポとディベート無しのコミュニケーションによる家族の再生って、やっぱり西洋人の感性じゃないと思うんですよね、どうしても。萩上監督のただでさえおっとりとした日本人の感性を無理やり向こうの人に押し付けたような違和感がどうしても取れなかったです。
は: パンフレットを読みますと、監督と俳優さんたちのコミュニケーションはうまくいっていたようですが。
ゆ: それと映画自体の内容はまた別じゃないかと(^_^;)、それに「西の魔女が死んだ」を気に入った監督がわざわざ出演を依頼したサチ・パーカーにあの役はないんじゃないかと(苦笑。穿った見方をすれば幾らでも秘密の想像はつきますけど、監督自身が

「ヘンな人をちょこっと出すのが好きなんです」

と言ってますから、それほどの意味はないんでしょうね。

は: さて、最後にご主人様が気にいられたピアノ曲でございますが?
ゆ: パニック障害の天才ピアニスト、モーリー役は最後まで人選に苦労したそうですが、David Rendallという俳優さんをよく見つけてきましたね。自身がアーティスト、ミュージシャンでもあるそうで、「アピア」ですが、凄く上手かったです!
は: 実際はデイヴィッド・ルイという方が弾いておられるんですが、音楽を担当したヴードゥー・ハイウェイがみつけて来られたそうでございます。何でも

トロントで最も上手なピアニストで、難曲「波を渡るバオラの聖フランシス」を弾きこなせるトロントで唯一のピアニスト」

だそうでございますよ。

ゆ: ピアノコンクールでモーリーが弾くリスト伝説第二番ですな。それほど難しいとは運指を見てるだけでは分かりませんでした。。。orz
は: おっ、久しぶりの参りましたポーズでございますね。
ゆ: しっかし、何年もピアノを弾けなかった男がスカート穿くだけで久々のコンクールでこの曲を弾けますかね(苦笑?
は: 映画ゆえそれは言いっこなしでございます(-.-)。まっ、それはともかく(シレッ、その他にもリストの「ため息」、ベートーヴェンの「ヴァルトシュタイン」と難曲のオンパレードでございました。
ゆ: 「ため息」は柴田淳リストの名曲ですね、彼独特の耽美的な美しい旋律と「弾けるものなら弾いてみろこの野郎」的センスが見事に融合した(笑。「ヴァルトシュタイン」は上手くミシンのリズムと融合しておりました。

は: と言うわけでございまして、恒例の採点に参りたいと思います。私メはなかなか良く出来た映画だと思いましたが、
ゆ: 私は「かもめ食堂」の流れとしては、近々公開の「マザーウォーター」にも期待したいと思います。

はむちぃ: 72点
ゆうけい: 67点