ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Laws of Illusion / Sarah McLachlan

Laws of Illusion
  洋画の名作「ペイパームーン」のように三日月によりかかっているのは、今やカナダを代表する歌姫、サラ・マクラクラン。彼女の新譜「Laws Of Illusion」の紹介です。買わなきゃな~と思いつつ欲しいものリスト順で待ってたら、Stellavoxの傳先生のレビューに先を越されてしまい、慌てて優先順位を上げてしまいました(笑。なお、傳先生の印象と若干異なる面があるのですが、傳先生のが日本盤で、私のは輸入盤なので若干その辺も加味してご参考にしてください。

1. Awakenings 
2. Illusions of Bliss 
3. Loving You Is Easy 
4. Changes 
5. Forgiveness 
6. Rivers Of Love 
7. Love Come 
8. Out Of Tune 
9. Heartbreak 
10. Don't Give Up On Us 
11. U Want Me 2 
12. Bring On The Wonder  ~ Hidden Track

彼女もアルバム制作のインタバルが長い人ですね。

Surfacing  1997
Afterglow    2004

と、いまだに週一回は聴いていると言う超名作二作品からは6年の歳月が過ぎています。その間企画モノ的な「Wintersong」というアルバムも出していますが、そこからも3年半振りとなります。昨冬のバンクーバー・オリンピックでお元気な姿は目にしていましたがようやく新しい曲が聴ける、というわけでわくわくしてかけ始めましたが、

あれっ、声量が落ちたか

と言うのが第一印象。一曲目「Awakening」二曲目「Illusions Of Bliss」ともにややアップテンポなためか、或いは声に彼女の作品独特のディレイエコーをかけていないせいなのか、妙にかすれて声量が出ていない気がする。。。傳先生は良い声だ、とおっしゃってますが、いくらなんでもJRDGのクライテリオンと拙宅のアキュフェーズC-290Vの違いではない。フックとなりそうな3曲目「Loving You Is Easy」もヒット性はあると思いますが、まだ満足できるレベルではない。

 そして4曲目の「Changes」あたりでエンジンがかかり始め、5曲目の「Forgiveness」でついに、キタ━(゚∀゚)━!!!!! 、と喝采をあげました(笑。このトーチソングに久々に彼女の真髄を見た気がします。

You ask for forgiveness, you're asking too much
I have sheltered my heart in a place you can't touch

あたりの歌詞は彼女の真骨頂でしょう、ゾクッときます。

 それからは怒涛のバラード攻勢!彼女独特の様々なイフェクタのかけ方もはまっていて、やっぱり天才!と聴き惚れてしまいます。3と並んでシングルカットされそうなフックになる曲は7曲目の「Love Come」だと思いますが、その次の「Out Of Tune」の美しさの方がむしろ絶品。

Behind our door, there's no war
No building towers, just ours of peace
Between us at least
No pretense no violence makes no sense

という摩訶不思議な歌詞が彼女独特の美声でありながら少しハスキーな声で紡ぎ出されると、異界に連れて行かれそうな気がします(^_^;)。

 ここまで書いてくると彼女がイフェクタに頼っているような印象を与えてしまうかもしれませんが、比較的シンプルなアレンジの「Don't Give Up On Us」「U Want Me 2」でも彼女の魅力は十分伝わってきます。

 そして多重ボーカルトラックをも駆使した静かな終曲「Bring On The Wonder」で彼女のもう一つの魅力であるピアノ弾き語りも堪能する事ができます。ルールとして書きませんが、hidden trackでも彼女のピアノの弾き語りが絶品です。

 というわけで、いささかコンサバな私としては、4曲目からがサラらしさの出た新たな傑作で、5,8,12あたりが絶品かな、と思います。日本盤ではバンクーバー・オリンピックで歌った「One Dream」も収録されているそうですが、個人的には12で終わるオリジナル盤の雰囲気を損なうべきでは無い、と感じました。