ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

借りぐらしのアリエッティ

 Arrietty_banner_300_60_2 
ゆうけい: いいっ!素晴らしい!感動した!やればできるじゃないかっ、ジブリっ!!
はむちぃ: ご、ご主人様、乱心なりませぬ、ゆうはむ映画レビューは私筆頭執事はむちぃメの挨拶と題名紹介から始まるしきたりでございまする(ToT)。
ゆ: いやいや興奮してすまんすまん、筆頭羊君、しかし君こそ、何処の何時の時代のしゃべり方だね^^;、そりゃ?
は: ではございません、執事でございます、奥様の言い方に洗脳されないでくださいませ。ところで、本日ご紹介の映画「借りぐらしのアリエッティ」は、このブログが始まって以来ご主人様がずっと懸念を表明し続けておられたスタジオ・ジブリの作品でございますが。
ゆ: イエ~ス、このブログを始める前にジブリの全盛期は終わってしまいましたからね。「ハウルの動く城」では作画能力の低下を懸念し、
は: 「ゲド戦記」では宮崎・鈴木のあまりの無責任ぶりにぶちきれて原著を読破した上、こともあろうに6回にわたる偏執狂的記事を書き上げ、
ゆ: ついには「崖の上のポニョ」でのこのこ出てきた宮崎駿をぼろくそにこきおろしましたな(苦笑。でも大丈夫、この作品はジブリの良心、ジブリの持っていた能力の全てが再び開花した傑作です、お客さん、見て損はないよ~、「ポニョ」のようなガキンチョ向けではないから安心して楽しんでくださいな。
は: なんか香具師みたいな口上でございますが、ゆうけいがこれほど興奮しているのも久しぶりでございます、早速映画紹介に参りましょう。

『The Borrowers 2010年/日本映画、スタジオ・ジブリ作品/配給:東宝

監督: 米林宏昌
原作: メアリー・ノートン床下の小人たち」  
企画/脚本: 宮崎 駿 
脚本: 丹羽圭子 
主題歌: セシル・コルベル「Arrietty's Song」 

声の出演: 志田未来 神木隆之介 大竹しのぶ 竹下景子 樹木希林三浦友和

祖母(声:竹下景子)がお手伝いさん(声:樹木希林)と暮らす郊外の大きな家へ、心臓病の療養をかねてやってきた少年、翔(声:神木隆之介)。死と隣り合わせの日々をすごす感受性豊かな彼は、誰も気づかないような小人がこの家の中に住んでいることに気づく。アリエッティ(声:志田未来)という名のその小さな少女は、一家でこの家の地下に暮らしており、必要な物資を時折「借りにくる」事で生存していた。決して人間に見つかってはならぬという掟を破る形になったアリエッティは、思い切って翔に説明しに行こうと決意するが……。(パンフレット、前田有一超映画批評等より) 』

は: 確かにジブリ全盛期のころの細部まで徹底的にこだわって描きぬかれた美しい美術とアニメーション技術が帰ってきましたね、それだけでも見る価値がある映画だと、はむちぃメも思いました。
ゆ: 宮崎駿鈴木俊夫の今回最大の功績は、監督を思い切って米林宏昌に委ねたことでしょうね。パンフレットを読みますと、彼は

「通称麻呂ジブリの中で一番上手なアニメーター」

なのだそうです。麻呂もびっくりされたでしょうが、彼の最も得意とするアニメーションの芸術性を前面に押し出し、宮崎駿のような強い思想性を抑制したところに私はこの映画最大の魅力があると思います。
は: 特に最初に提示される高台にある旧舘の庭の描写の美しさは絶品でございました。
ゆ: 世の中は3Dの時代になっているけれど、3Dでなくてもこれだけの奥行きと立体感のある表現が可能なのだ、と高らかに3D不要宣言をしているようにさえ感じました。

は: そのあたりの自然描写に関しましては「西の魔女が死んだ」の梨木香歩様が素晴らしいエッセイをパンフレットにお書きでございますね。
ゆ: うっ、痛いところを(笑。本当、プロの一流の小説家の文章はゆうはむ漫談とはレベルが違うなあ、と痛感しました。
は: 著作権の問題もございますが、ほんの一部だけ抜粋してみましょう。

「アカジソの花穂の、あの小さな一つ一つの花の愛らしさや、ナワシロイチゴの一個分に、艶々とガーネットのように輝く大きめの粒々が集まっている美しさ等々を、こんな風にきちんと描いてもらうと(中略)普段陽の当たらぬ場所にいる我が子に、親切に声をかけてもらったようにうれしい。これは本当に不思議な「現実感」だ。」

ゆ: 参りましたm(__)m。

は: さて、今回のキャラクター設定はいかがだったでございましょう?
ゆ: 原作の持つ雰囲気を大きく崩さずに、うまく武蔵野の高台へ移植したと感じました。冒頭で、主人公の少年が乗せられ、祖母が運転する古いベンツと、たどり着いた高台の古い洋館だけでこの家族の概要を理解させるところなどは実にうまかったですね。
は: そしてそこに借りぐらしする小人たち。
ゆ: ジブリの欠点としてキャラクタがいつも同じパターンで表情の変化もマンネリ、というところがあります。今回も必ずしもそれを克服しているとは思いませんが、アリエッティの最初の登場シーンのきりっとした表情にいつもと違う何かを感じました。

は: その後の展開は宮崎走りあり、家具の詳細な描写あり、小人と主人公の交感あり、ある人物による小人の迫害あり、とジブリのパターンが続きます。ある意味そのあたりは安心して見ていられますね。
ゆ: はむちぃ君も大分ジブリずれしてますな(^_^;)。今回凝ってるな、と思ったのは小人から見た普通の部屋の途方も無い広さ、小人が聞く人間の声の轟くような大きさと反響音、このあたりを丁寧に描写しているところでした。

は: さて、いつもご主人様が指摘されておられる素人声優の問題について触れなければなりませんが。。。
ゆ: 神木隆之介くんですからOKですな(笑。
は: ほんと、神木様には甘いんですから(ーー;)。
ゆ: ホモじゃないよ。
は: それも耳タコでございます。まあよろしいでしょう、肝心のアリエッティをされた志田未来様はいかがでございました?
ゆ: さすが名子役だっただけあってうまいですね。「誰も守ってくれない」の時は演技がちょっと硬い気がしましたけど、今回は声だけだし等身大の思春期の少女としてうまく演じていたと思いますね、合格です。
は: 竹下景子大竹しのぶ樹木希林様あたりは余裕でございましたが、ご主人様一押しの脇役俳優三浦友和様はいかがでございました?
ゆ: 悪くはなかったと思いますが、やはり彼は実写で表情や演技を見せないと、いいところがうまく引き出せませんね。

は: さて、この物語は結局アリエッティ一家が引っ越してしまうところで終わりを迎えます。全体としては小人様には大事件なんでしょうけれども、見る側の人間にとってはポニョのようなけれんみのある大事件もなく静かに終わる印象でございましたね。
ゆ: はむちぃ君もアリエッティ・サイズでしょうに(笑。そのあたり、前田有一

「いっそ少年とアリエッティのかなわぬ交流、恋のごとき感情の交感に焦点をあて、別れの切なさに見せ場を収束させる物語にしてほしかった。それでも十分に、作品の主題は伝わったはずだ。この作品のクライマックスは、王道に背を向ける近年の宮崎駿色が強すぎると私などは感じる。もっとも、それがいいのか悪いのか。それは各自の好みの範疇であろう。」

と書いていますが、私の好みで言わせていただくと、これでいい。もう一つ言わせていただきたい、宮崎駿のような説教臭さが無くてとてもいい塩梅であると。

アリエッティ、君は僕の心臓の一部だ」

神木隆之介がつぶやいた、それで十分じゃありませんか、オロロ~ン(ToT)。
は: しつこいようですが神木様ではありません、心臓病を患っておられる主人公の翔様でございますから。あと、何か付け足すことはございますか?
ゆ: 本編中に挿入される音楽は小人の故郷とも言えるケルトの伝統音楽ぽくって良かったと思いますが、セシル・コルベルというハープ奏者の方に無理に日本語の歌詞を歌わせるのはちょっと幻滅でしたね。やっぱりジブリはどこかで失敗しますなあ。

は: というわけで採点でございます。ご主人様は相当な高得点をつけそうでございますが私メは冷静に判断したいと存じます。
ゆ: ポニョのように小さい子供向けでもないし、ポ~ニョポニョポニョなんて洗脳するような主題歌も無いし 地味だし、前作ほどのヒットは望めないかもしれませんが、私は絶対にこの路線を守ってほしいと思います。これこそがジブリのそして日本アニメの良心だと思います。

はむちぃ: 82点
ゆうけい: 96点

は: おおっ。。。。。\(◎o◎)/!し、知りませんよこんな高得点つけて、年末のまとめに支障が来なければいいのですが。

お気に召せばポチッとお願いしいますm(__)m

にほんブログ村 映画ブログへ