ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

麗子登場!名画百年・美の競演展@兵庫県立美術館

Photo_8童女図(麗子立像)、岸田劉生、油彩、布、1923)
 いきなり宣伝みたいな話で恐縮ですが、最近で一番驚いた事が「レンピッカ展」へのアクセスの多さです。個別記事ではPCでも携帯でも常に1,2位を争うほどのアクセスがあり、嬉しいとともに、レンピッカってそんなに日本で知られている画家だったかなあ、と戸惑ってもおります。私もマドンナのファンでなければ、ああこういう画風の人がいたなあ、という程度の認識しかなかったと思います。
 とにもかくにも見に行こうという気になっていただければ嬉しいですし、何かの参考になればいいなと思っています。何故こんな事を長々と書いたかというと、申し訳ない事にこの展覧会の記事はもうお役に立てないのですね。今日で終わりだったんです。いつかそのうちと思ってるうちにふと気がついてHPを見ると今日で終わりだった、という始末。慌てて行ってきました。

Photo_5 (樹と道 自画像其四、岸田劉生、1913)
『 戦後まもない1951(昭和26)年、ひとつの美術館が鎌倉に誕生しました。この日本初の公立近代美術館・神奈川県立近代美術館は、日本の美術館を先導する存在となり、親しみと敬意をこめて「かまきん」の愛称で呼ばれました。高橋由一をはじめとするそれまで研究の進んでいなかった作家を世に出し、評価の高い展覧会を数多く開催して日本近代美術史をつくりあげてきました。

一方、兵庫県立美術館は1970(昭和45)年に日本で二番目の公立近代美術館「兵庫県立近代美術館」として開館し、関西らしい活動を展開して独自の個性を育ててきました。現在、神奈川県立近代美術館は鎌倉・葉山に計3館をもつ美術館となり、兵庫県立近代美術館は2002年に兵庫県立美術館へと引き継がれています。積み重ねてきた時間は、コレクションとなり、展覧会となって結実してきました。

 このたび初めての試みとして、これら2館のコレクションを有機的に関連させながら日本近代美術史を回顧する展覧会を開催します。神奈川県立近代美術館から高橋由一岸田劉生松本竣介レオナール・フジタ藤田嗣治)、片岡球子など55点が一挙来神し、本多錦吉郎、岡田三郎助、小磯良平東山魁夷など兵庫県立近代美術館の代表作品51点と競演します。岸田劉生童女図(麗子立像)》(神奈川県立近代美術館)、小磯良平《斉唱》(兵庫県立美術館)をはじめとする名作が、31日間限定の「近代美術館」にてお待ちしています。(HP解説より)』

 最大の目玉は冒頭の岸田劉生の麗子像。数ある麗子像の中でも最高傑作と言われている「童女図(麗子立像)」で、日本で義務教育を受けられた方なら美術の教科書で一度はお目にかかっている作品です。
 見慣れすぎてそれほどのもんかなあ、という先入観さえ抱いてしまいそうですが、私が過去の展覧会訪問で得た数少ない教訓の中に

「名画と言われるものは実物を見るまでその真価はわからない」

というのがあります。
 で、とにかく虚心坦懐に見てみました。見れば見るほど凄い。何が凄いかというと「非の打ち所がない」ところ。構図、色使い、陰影、衣服の繊細な描写、麗子の顔のありのままを描きつつ麗子への愛情を感じさせるところ、更には何の変哲も無い一色に塗りつぶされた背景まで、どれ一つとっても文句の付けようがない、完璧な絵画です。完璧なものは時として退屈ですが、この絵にはそんな退屈さが微塵も無い。
 見る人が見れば冒頭の写真だけで理解できるのでしょうけれど、ど素人の私はやっぱり実物を見ないとわからかったです。

 そのほかにも沢山の印象に残る絵を見る事ができました。特に麗子像の背後に並ぶ3枚の絵は壮観!

二人裸婦レオナール・フジタ、油彩、布、1930」
立てるソニア、児島善三郎、油彩、布、1930」
スペインの女小磯良平、油彩、布、1928」

目玉の麗子像の背後にこれだけの絵を並べる意図は果たして!?(^_^;)

Photo_6 (立てる像、松本竣介、油彩、布、1942)
 その他印象に残った絵画を記しておきます。

具象洋画
満州の男 青山龍治、1911」
「椿 梅原龍三郎 1915」
「赤い帽子 有馬生馬 1929」
「立てる像、松本竣介 1942」

抽象画
「廃屋とボート 吉原治良 1931」
「海を見た 浅原清隆 1937」
「夜の鳥 吉原治良 1951」
「雷鳴 菅井汲 1954」

Photo_7羽衣天女 本多錦吉郎 油彩、布、1890)
日本画
「波濤 横山操 1960」
「凍る日輪 加山又造 1964」
「谿紅葉 東山魁夷 1968」
羽衣天女 本多錦吉郎 1890」(目録では洋画に分類)

 彫刻も小品が何点か展示されていました。高村光太郎の裸婦座像もあったのですが残念ながら今一つ心を動かされる作品ではありませんでした。

 今回も兵庫県立美術館は上記4点をPC用に用意してくれました。ブログ書きには本当にありがたいサービスだと感謝していますが、願わくば抽象画も一点くらい入れてほしいなと思いました。