ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ユメ十夜

Photo
(「ユメ十夜:第七夜、天野喜孝、河原真明作品)
はむちぃ: 皆様長雨の季節如何お過ごしでしょうか、ゆうけい家筆頭執事のはむちぃでございます。
ゆうけい: はむちぃ君、この頃歳には勝てんでタイピング精度が鈍ってきとるけん簡単な自己紹介にしてくれんさいや。
は: 今度は拓郎様の広島弁でございますか(ーー;)、はいはい、で、本日の映画「ユメ十夜」はちょっと古い作品でございますね。
ゆ: おまけに漱石ファンの期待を裏切るどころか逆鱗に触れた立派なトホホ作品でございます。
は: 前回漱石様の「夢十夜」を紹介したからという意図は察しますが、それなら巨匠黒澤明様の「」もございましたでしょうに。
ゆ: ありゃ私に言わせればスピルバーグ

KUROSAWA示申━(゜∀゜)━!!

的企画映画で内容はナイヨウ(^_^;)。
は: またまたアスキー文字まで使ったあげくに古典的なギャグを。。。黒澤ファンの方には深くお詫び申し上げます。
ゆ: 本人もそう言っておりますのでお許しくださいませm(__)m。
は: あんたでしょっ(怒。ホントに艶々した毛並みが抜けていきそうでございます。で、こちらにした理由は何でございますか!?ヒントだけを得た「夢」と違って十夜そのものを映画化したということで御座いますかっ!?
ゆ: まあまあはむちぃ君、紹介前の軽いジャブですがな、そう怒らんと(^_^;)。もちろんそうなんだけど、トホホ映画とはいえオムニバスですから2作だけ飛び抜けて良い作品があるんですよ。それだけでも見る価値があると思って紹介しようと思いましてね。じゃあとりあえず前説お願いします。
は: 筆頭執事が取り乱して失礼いたしました、了解でございます、では参りましょう。

ユメ十夜 [DVD]
『2007年日本映画 ユメ十夜制作委員会、配給:日活

漱石から100年目の挑戦状

夏目漱石の幻想的な短編小説集「夢十夜」がベテランから気鋭の若手まで10人の監督により完全映画化。ファンタジー、幻想、ミステリー、ホラー、コメディとバラエティ豊かな10作品。豪華キャストの競演も見逃せない。(斎藤 香)(AMAZON解説等より)』

は: なるほど、殆ど駄作ばっかりでございますね(呆、漱石様も草葉の陰でお怒りでございましょう。
ゆ: だね。じゃあまず傑作二作品からいきましょう。個別に点数もつけていきたいと思います。

第二夜市川崑監督:悟りを開くことができず苦悩する侍(うじきつよし)の運命。

ゆうけい採点: 90点

は: トーキー仕立ての白黒映画に侍の持つ朱塗りの鞘の紅だけが際立つ映像が見事でございました。
ゆ: 二人の演技もいいよね。中村梅之助の憎憎しい和尚の演技、翻弄されて悟ろうと必死になる侍の苦悩、見事な演出でした。うじきつよしは皆さんご存知のように元々ミュージシャンなんですが、さすがに巨匠の演出にかかると(数カットの演技とは言え)モノになるんだなあと、あらためて監督の手腕というものの持つ意味を再認識しました。
は: 原作と違って最後に和尚が認めてしまうのは原作の余韻を損ねてしまう気もしますが?
ゆ: 夢十夜は殆ど全て「起承転」で終わってしまうので、「」をたさなきゃ映画にならないという事情もあり、ある程度仕方ないでしょう。それよりも一本の短編映画として素晴らしい完成度を見たところを評価しましょう。それにしても若手の精鋭と言われる監督ばかり起用されているのに、束になっても余命の尽きかけていた市川昆さん一人に敵わないとは情けないですねえ。
は: 言い換えれば巨匠と言われる方にはやはりそう言われるだけの技量がお有りになるということでございましょう。謹んでご冥福をお祈りします。ではもう一作傑作をご紹介くださいませ。

第七夜:天野喜孝、河原真明監督:孤独な旅人と少女の出会いを描いた3Dアニメ。

ゆうけい採点: 93点

は: 確かに私もこの映像美は凄いと思いました。
ゆ: 明治時代の船とは似ても似つかぬ幻想的な異次元のスペースシップの如き巨船にした事には異論がある人もいるだろうけれど、これだけのアニメ映像を見せられると納得せざるを得ないですね。天野喜孝の作品の中でも飛び抜けて高度でかつ彼の個性が見事に出ている作品だと思います。まあRPGのエンドロールだと言われればそれまでなんですけど(汗。
は: 主人公に英語を喋らせて巨人のような船員に

「西に行く日の、果は東か。それは本真か。東出る日の、御里は西か。それも本真か。身は波の上。舵枕。流せ流せ」

だけ日本語でしゃべらせると言うアイデアも良かったですね。
ゆ: 彼がこれだけを一本の映画にしてアカデミー短編アニメ賞を狙ったんじゃないかとさえ思いましたね。もう少し長く作りこみさえすれば、「つみきのいえ」が取れた事に鑑みてこの作品にとれない理由は何もないと思います。
は: ご主人様は原作のラスト、

「何処へ行くんだか判らない船でも、やっぱり乗っている方がよかったと始めて(原文ママ)悟りながら、しかもその悟りを利用する事が出来ずに、無限の後悔と恐怖とを抱いて黒い波の方へ静かに落ちて行った。」

という文章がお好きだったのではありませんか?この映画では溺れた主人公が大きな深海魚に身を変えて少女の乗る船の前で大きく虚空に撥ね上がるシーンがラストを飾っておりますが?
ゆ: それがちょっと原作の味わいを損ねている事は確かなんだけど、あの映像の圧倒的な美しさを見てしまうと何も言えませんね。とにかく天野喜孝ファンには一度は見ていただきたい作品です。

は: では後の作品は寸評と点数だけお願いいたします。
ゆ: 了解です。


第一夜:実相寺昭雄監督、久世光彦脚本:作家の百聞とその妻(小泉今日子)の時空を超えた愛の物語。

10点

私の一番好きな、そして夢十夜を代表する作品をよくぞここまでボロボロにしてくれたもんですな(怒。キョンキョンまで担ぎ出しといて、実相寺さん、ウルトラQじゃないんですから(涙。

第三夜:清水崇監督漱石堀部圭亮)がくずった息子をおんぶして散歩しているが、その背中にいるのは!

62点

余計な前提をつけたのはある程度仕方ないし、香椎由宇だから許す(笑。ただ、心理学的に重要な「分かれ道を左に行く」と言う設定を外したのは仏作って魂入れず!

第四夜:清水厚監督漱石山本耕史)が思い出の町で体験した不思議な出来事。

47点

何だかハメルンの笛吹きみたいになっちゃいました。それに漱石は幼名ではないよ。

第五夜:豊島圭介監督:夜中に目覚めた真砂子(市川実日子)の部屋に見知らぬ男と子供がいた。彼らは誰なのか?

0点

夢とホラーをごっちゃにするんじゃない!この作品だけは原作に忠実に作って欲しかった。

神代に近い昔、戦に負けた武将が命乞いはせず死を選ぶのだが、女が来るまで待ってくれと敵の大将に頼みこむ。大将は夜が明けて鷄が鳴くまで待つと約束する。女は必死で馬で駆ける。ところが天探女(あまのじゃく)が鷄の鳴き声を真似したため、馬が急停止し女もろとも崖から落下してしまう。。。

この素晴らしく幻想的な夢を何と心得おるかぁっ、という怒りを込めて月ラプ史上初めての0点だっ!!!!!

は: おおっ、ついに0点が(^_^;)!ご主人様大変な怒り様でございます。
ゆ: はぁはぁ、疲れたぞはむちぃ。
は: まあまあ、あと少し頑張って下さいませ。

第六夜:松尾スズキ監督:仁王像の頭を掘る運慶をみて感激した男(阿部サダヲ)は、仁王像彫りに挑戦する。

55点

モノクロ映像時代劇仕立ての演劇風演出のくせに2Ch用語満載、運慶は現代のストリートパフォーマー(笑。まあ松尾スズキだから許せる。大甘に点数つけて55点。

第八夜:山下敦弘監督:子どもが田んぼで見つけた巨大な生き物。そこから生まれる幻想。

40点

 これが第八夜か?なんか第四夜と永日小品の「蛇」「行列」なんかをごった煮にした感じ。映画としての出来もよくない。

第九夜:西川美和監督: 出征していった夫(ピエール瀧)のために息子とお百度参りをする妻(緒川たまき)の秘密。

50点

可もなく不可も無し。あの西川美和にしてこの程度の絵しか撮れないのが不思議。。。

第十夜:山口雄大監督、漫☆太郎脚色:醜い女性を殺す美青年(松山ケンイチ)が謎の美女(本上まなみ)に連れられていった先は…。

40点

掉尾をかざる作品にしてこの出来かい。この原作、やりようによっては凄い絵になるのに。まあマツケン安田大サーカスを出してるのでおまけで40点だっ。

は: お疲れでございました。後半は点数のつけ方が凄く雑な気もいたしますが(^_^;)。ではご主人様はこの10作品の点数の平均を本作の点数といたします。私メの採点と合わせて発表です。

はむちぃ: 45点
ゆうけい: 48点(小数点以下切捨て)

ゆ: とにもかくにも天野喜孝ファンは必見です。是非どうぞ。でも全部見てなんじゃこりゃと怒らないでくださいね~(大汗。

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