ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Chabrier Piano Works Vo.1 / Georges Rabol

Chabrier: Piano Works, Vol. 1
 先日ルノアール展の記事の最後に、音声ガイドに入っていたシャブリエの「アルバムの一葉」が印象的だったと書きました。あの後誰が弾いているのかYoutubeなどで探していたのですが、Georges Rabolという方の演奏らしいと分かり、「アルバムの一葉(Feuillet D'album)」の入っているこのアルバムを密林より取り寄せてみました。NAXOSレーベルより出ており、表ジャケットはEdouard Manetの「Music in the Tuileries」でなかなか洒脱ですね。演奏も印象派のイメージとぴったりと合う、いかにもフランスのエスプリを感じさせる軽くて華やかな印象を受けました。

1. Bourree Fantasque 
2. Feuillet D'album 
3. Ballabile 
4. Caprice 
5. Petite Valse 
6. Habanera

'10 pieces pittoresques'

7. Paysage 
8. Melancolie 
9. Tourbillon 
10. Sous-Bois 
11. Mauresque 
12. Idylle 
13. Danse Villageoise 
14. Improvisation 
15. Menuet Pompeux 
16. Scherzo-Valse

  シャブリエと言えば交響詩「スペイン」という程度の知識しかありませんでしたが、ライナーノートによると、19世紀中~後半に活躍した作曲家で、印象主義ドビュッシーラヴェルにも影響を与えたそうです。また、先ほども紹介したマネをはじめ、モネルノアールシスレーセザンヌ等の印象主義派の画家とも交流が会ったようで、一聴しての印象どおり、印象派の魁的な方だったようです。

 更に解説によりますと、彼は幼少の頃最初にスペイン人から音楽教育を受けましたが、その後度重なる転居の末にパリで教育を終えた後約20年間の公務員生活を続けます。その間も音楽教育は受けていたそうですが、正式なコンサルヴァトール教育は受ける事が無かったため、それが彼の音楽にややアマチュアぽい影響を残しているとのことです。

 確かに本アルバムに納められたピアノ小品群は過去の伝統・形式とは一線を画した、いわば当時のシャンソンっぽい自由闊達でおしゃれな作品集をいう印象を受けます。ルノアール展で聴いた「アルバムの一葉」も素朴ながらタッチの柔らかくて聴き馴染みのする曲ですし、「Habanera」は当然ビゼーカルメンからの転用なのですが、ラヴェルより先に彼がもうやっていたところに先見の明、或いは後世に与えた影響を感じますね。

 され、ラボールというピアニストのことも全く知らなかったわけですが、パリ生まれでパリのコンサルヴァトールで教育を受け、数々の賞を受賞し、リサイタリスト、室内楽奏者として活躍しておられるそうです。「an enthusiastic champion on French music」でもあるそうで、シャブリエの作品集も彼のそんな情熱から生まれたものでしょう。他の2,3人の「アルバムの一葉」と比較すると全体に華やかで、ペダリングなどで響きを強めに演奏している感じがしました。

 というわけで、印象派の画家の絵を見るがごとく、フランスのエスプリが感じられる佳作だと思います。オーディオファイルの方は録音が気になると思いますが、まあそんな事気にしないで肩の力を抜いて気楽に聴くのがよろしいんじゃないでしょうか(笑。とりあえずまあ驚くほど良くもなくさりとて悪くも無く、NAXOSレーベルの標準的な質はキープしていると思いました。