ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

カールじいさんの空飛ぶ家

カールじいさんの空飛ぶ家 [DVD]
はむちぃ: 皆様こん**は、はむちぃでございます。本日は「カールじいさんの空飛ぶ家 」のレビューでございます。昨年公開され、大変な評判を呼んだディズニー作品でございます。
ゆうけい: 私の好きなPIXARの記念すべき10作目にして初の3D、前田有一絶賛しておりますが果たしていかがな出来となっているでしょうね。
は: そう言えば今年から採点を始めたのですが、その最初がPIXAR前作の「ボルト」で正直なところあまり良い点ではございませんでしたね。
ゆ: そうそうそれがちょっと心配なとこなんだよね~。あの時のレビューに書いたように「ボルト」は

ややディズニー的な甘さ、幼稚さがあってラセター・ファンとしては物足りない

作品でした。
は: そして

心配なのはこのままディズニー色が濃くなっていくのかどうかというところ、次作の「カールじいさんの空飛ぶ家」の出来である程度今後の方向性が見える

と思う、とおっしゃっておられましたね。
ゆ: そうそう、それを早く知りたかったし、3Dも観たかったんですが、あいにく公開時にはタイミングが合わず今回レンタルDVDでようやくの鑑賞となりました。でははむちぃ君、作品紹介よろしく。
は: かしこまりました、早速参りましょう。

『2009年アメリカ映画
配給 ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
監督 : ピート・ドクター 
声の出演: エドアスナー ジョーダン・ナガイ ボブ・ピーターソン エリー・ドクター

カール・フレドリクセンは78歳のおじいさん。風船売りの仕事も引退し、亡き妻エリーとの思い出が詰まった家で、一人きりで暮らしていた。ある日、カールはトラブルを起こし、老人ホームに強制収容されることに。その時、彼はエリーとの「いつか南米を冒険しよう」という約束を果たすため、人生最初で最後の冒険の旅に出ることを決意する。そして、大切な我が家に無数の風船をつけて、家ごと旅立った。目指すは南米の秘境、伝説の場所、パラダイスの滝!

苦々しいこれまでの生活からようやく離れられ、久しぶりに穏やかな表情を取り戻したカールだったが、空を飛んでいる家の外からドアをノックする音が。空けてみるとそこには「お年寄りお手伝いバッジ」を手に入れて自然探検隊員のランクアップを目指す少年ラッセがいた。やっかいなことになった、と思いながらも、カールはパラダイスの滝を目指す。思いもよらぬ運命が待ち続けているとも知らずに・・・。』

は: 。。。。。(゜o゜)
ゆ: 。。。。。(--〆)
は: こ、これは意外といえば意外な展開でございますが、何か今一つ腑に落ちない気がいたします。
ゆ: そんな持って回った言い方をしなくても良いよ、はむちぃ君、こりゃ久々の「トホホ映画」ですわ(嘆息。
は: PIXARが凝りに凝ってなおかつ監督が名作「モンスターズ・インク」のピート・ドクターで、こんなヘマをするとは信じ難いですねえ。前田有一氏が85点をつけられたのも不可解でございます。

ゆ: まあそのあたりは深読みの仕方によって見方も変わってくるんでしょうけど、率直に申し上げて私が85点あげられるのは導入部だけですね。
は: 冒険好きな少年と少女だったカールとエリーが偶然出会い、夢を語りながら成長し結婚、幼い日の思い出がつまった廃屋を買い取り我が家に改築し、子宝に恵まれない不幸を乗り越えて仲良くつつましく生き、そして妻の死という悲しい別れが訪れる。ひとり残され偏屈な老人となったカールは立ち退きを迫られた末に無数の風船と共に大切な家ごと飛び立った、このあたりまでが導入部なのですが、
ゆ: PIXARらしいヒューマニズム溢れるストーリー設定と凝ったモンタージュ手法による素晴らしい映像、これは確かに85点に値する映画だわ、と思いましたね。
は: 前田有一様の解説によりますと、

その風船は、専門家が計算した「家一軒飛ばすのに必要な数」に敬意を表してその1000分の1である2万622個描かれている。言わなきゃ誰も気づかないし、知ってても確認しようのない話ではあるが、ピクサーの職人たちの性格がうかがい知れるエピソードである。

だそうでございます。

ゆ: そこはさすがと言っておきますが、その後がどうにもこうにもイケませんな、中抜けでいきなりディズニーのアトラクションものみたいな展開になっちゃいますね。
は: 中抜けと言うのは、飛行の描写があまりにも短いという事でございましょうか?
ゆ: そうですね、飛び立ち町を超えてはるか上空に飛翔したは良いが、積乱雲に巻き込まれて家はもみくちゃにされずぶぬれになる、とくれば、それを乗り越えてまだしばらくは空の冒険が続くと思うじゃないですか。
は: それが積乱雲に巻き込まれた次のシーンでもう目標の秘境へ到達してしまいましたからね。
ゆ: 秘境は南米ギアナ高地を思わせるのですが、いくらなんでもアメリカ合衆国から飛び立ってすぐに積乱雲に巻き込まれて気を失っているうちに

偶然あれほどの秘境に着いちゃまずい

でしょう(笑。まあそんなにリアリティを追求するなと言われそうですがそれにしても折角飛び立ったのに、飛行シーンがあれだけじゃ

空飛ぶ家」の看板に偽りあり

じゃないですかね。

は: 見た事もない鳥、翻訳機をつけた犬、カールが子供の頃に憧れていた冒険家との出会い、そこから先の予想外の展開、と確かにエンターテインメント要素は揃っているのですが、
ゆ: 結局ディズニー的アドベンチャーの末のハッピーエンドという呪縛が映画をダメにしているように思いますね。さすがに今回は前田有一のいう

「別れの重層構造」

というテーマが白々しく感じられました。

は: 残念ながらご主人様が心配されておられた通りの方向へPIXARは流れていくんでございましょうかね?
ゆ: この映画を見る限り、悲しいかな私の好きだったPIXARの良質な部分よりは、ディズニーのエンターテインメント性の方に重心が移っていきそうですね。
は: と言うわけで採点でございます。ちなみに「ボルト」は私70点、ゆうけい55点という採点でございました。
ゆ: まあ子供向けの映画と割り切れば高得点も出せるんですが、あくまでもこのレビューの方針としてそういう妥協無しの採点とご理解くださいませ。

はむちぃ: 70点
ゆうけい: 50点

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