ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Alice In Wonderland

Aliceinwonderland
はむちぃ: 観てこられましたか。。。
ゆうけい: 観てきましたな。。。
は: 3Dですか?
ゆ: 3Dですな。。。
は: ゆうはむ漫談レビュー始まって以来初めてでございますね。
ゆ: ゆうはむ漫談レビュー史上最高額はたいてきましたな。
は: とか言っても2100円でしょうに(;一_一)
ゆ: そう言えば昔々USJを記事にしたことがありましたな。
は: それがどうかいたしましたか?
ゆ: あこのターミネイターは3Dでしたな。
は: USJの入場料の方が高いと?
ゆ: せこいですかな?
は: 十二分にせこいと思いますよ。それよりそろそろ始めないと皆様に怒られますよ。
ゆ: と言うわけで「Alice In Wonderland」でございますな。
は: 去年から既に、今年前半最大のハイライトと位置づけしておられましたね。
ゆ: ティム・バートン&ジョニーデップコンビ7作目、マッドハッターの写真を見て狂喜乱舞しておりましたな。
は: 私がこれに「80点」つけるという目論見で今年から採点を始められましたからね(^_^;)。
ゆ: これこれはむちぃ君、ブログの裏事情をばらしてはイケちゃんと僕。
は: おっ、新しいボケ。。。しかしまあこれだけ長い前振りのレビューも珍しゅうございましょう。
ゆ: さっさと映画紹介に参りましょうかな。
は: そういたしましょう。

『2010年アメリカ映画 Walt Disney Pictures提供
ロス・フィルムズ ザナック・カンパニー チーム・トッド プロダクション

監督: ティム・バートン
原作: ルイス・キャロル(「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」)
脚本: リンダ・ウィルバートン
シニア視覚効果スーパーバイザー: ケン・ラルストン
衣装デザイン: コリーン・アトウッド
音楽: ダニー・エルフマン 

キャスト: ミア・ワシコウスカ(アリス) ジョニー・デップ(マッド・ハッター)、ヘレナ・ボナム=カーター(赤の女王)、アン・ハサウェイ(白の女王) 他

 19歳になったアリス(ミア・ワシコウスカ)は自分の婚約パーティー中、いつか見た白ウサギを発見する。反射的に追いかけていくと、これまたいつかのように再び縦穴に落ち、不思議の国へと到着。そこは “アンダーランド”と呼ばれる“不思議の国(ワンダーランド)”。そこで出会ったマッドハッター(ジョニー・デップ)ら不思議の国の住民の多くは、アリスを待ちこがれていた様子。それもそのはず、そこは残忍な独裁者“赤の女王”(ヘレナ・ボナム=カーター)が支配する暗黒の世界であり、そこに暮らす者達に残された唯一の希望は、年代記に書かれた預言、「伝説の救世主“アリス”が現れ、赤の女王を倒す」こと…。アリスは自分の夢の中の出来事という思いこみを捨て、自らの運命を受け入れ、仲間たちのために美しく平和に満ちていたワンダーランドを取り戻す戦いに挑む。』

は: ティム・バートン様は最近はイギリス在住でいらっしゃいますし、元々カルト映画監督としてのイメージが強うございますから、ハリウッドの象徴ディズニーとの組み合わせは意外な気もいたしますが?
ゆ: 彼はディズニーの特別奨学金を得てカルフォルニア芸術大学へ進み、アニメーターとしてディズニーに入社した経験があるんですよ。「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」もディズニー映画ですしね。
は: それにしても今年一番の大作として3D付き、240億円という巨額の制作費を費やして社運をかけている作品にティム・バートンとは思いきった起用でございますね。
ゆ: 大コケしたらシャレにならない映画に彼を起用するわけですから、とりもなおさず彼はもはやエド・ウッドではない、ということでしょう。
は: ジョニー・デップ様とのコンビで全世界で確実に興行収入が見込める巨匠になられた、というわけですね。

ゆ: それにこの原作は英国を代表するルイス・キャロル作品ですから、「スウィーニー・トッド」でロンドンを撮った彼の手腕と持ち前のブラックなフレイバーに期待したんでしょうね。
は: 後はディズニーが誇るCG、モーション・キャプチャ、衣装等々持てる人材技術を総動員してバックアップすれば間違くコケない作品が出来上がると。
ゆ: そうですね、実際ディズニーの作り上げた圧倒的な映像美、ティム・バートンの設定した意外性のある不思議の国(=アンダーランド)のモチーフ、そしてその世界でのジョニー・デップヘレナ・ボナム=カーターの丁々発止のエキセントリックな演技、バートン趣味とディズニーの融合は成功していると思います。どういう映像になるか分からずにグリーン・スクリーンの前で演技する俳優さんたちは大変だったでしょうけどね。

は: さて、映画の内容はいかがでございましたでしょうか、原作とは異なり、アリスが19歳になった新しい世界が構築されていますが?
ゆ: ティムが

「小さな女の子が奇妙なキャラクターの言いなりになって彷徨い歩くだけのストーリーにはあまり魅力を感じない」

と語ったように、アリスの自立の物語になっていましたね。
は: 奇妙な経験をした(或いは夢を見た)6歳のアリスが毎夜奇妙な夢に怯えて自らの正気を疑い、それに対して

「優れた人はみんな頭が変さ」

とやさしく慰めてくれた父。
ゆ: そしてアリス・キングスレー19歳の時点ではその父は他界しており、アリス自身は貴族のパーティへ出かける事を厭いコルセットやストッキングをつけない厄介者になっている。
は: このような設定は確かに弱者や変人に温かい視線を常に送ってきたティム・バートン様の世界そのものですね。
ゆ: その彼女がアンダーランドで成長を遂げて現実世界へ戻り、貴族の妻と言う平凡で安泰な生活を拒否して自立し、父の遺志を継いで貿易の勉強のためアジアへ向かう、というラストシーンはいかにも日の沈まぬ国と言われ植民地主義により栄華を極めていた頃の大英帝国的ですね。
は: 長い航海の末に辿り着いた中国でアヘン戦争などの現実を見た彼女はどう考え、どう行動したでしょうね(苦笑。

ゆ: まあそれはともかく、ブルー・カタピラ(青い芋虫)を上手く成長譚に絡めたところは見事でした。
は: 原作では「おまえは何者だ?」と問いかける有名なキャラクターでございますね。 
ゆ: そう、そして今回はこの青虫が現実世界と不思議の国を上手くシンクロさせているんですよ。まず突然求愛する貴族の肩に青虫が乗っている。アンダーワールドではアブソラムという賢者として登場し、最初は

「おまえは殆どアリスではない」

とアリスに言い、最後には

「今はアリスらしくなった」

と語ってさなぎとなる。そして現実世界のラストシーンで青い蝶となってアリスの肩に止まり、大海原へ飛んでいく。
は: アリスの成長とシンクロさせてこの映画の主題を象徴的に表現したわけでございますね。
ゆ: 「シザーハンズ」のラストの雪や「コープスブライド」の蝶と同じティム・バートンのセンスでしょう。3Dなので蝶の飛翔が更に華麗でしたね。また、アブソラムの声がアラン・リックマンというのも良いですな。
は: ご主人様お気に入りのハリー・ポッターシリーズのスネイプ先生でございますからね(笑。

は: 不思議の国の描写と様々なキャラクタについてまだ触れておりませんが、いかがでございましたでしょう?
ゆ: まあそのあたりは見てのお楽しみという事で(笑。確かに3Dで見せる不思議の国の映像は見事でしたね。これ見よがしなこけおどし的な3Dではなく、むしろ奥行きを感じさせる美しくも節度のある映像でした。これは一見の価値はあると思います。
は: キャラでは?
ゆ: モーションキャプチャ双子(トウィードルダムとトウィードルディ)も面白いですが、やっぱりCGのチェシャ猫でしょうね。3Dでついにこれだけの映像にまで進化したか、と感心しきりでした。あとは字幕が浮かび上がるのがご愛嬌でしょう(笑。

は: 俳優ではやはりマッドハッタージョニー・デップ様でしょうか?
ゆ: いやいややっぱりデカ頭の赤の女王ヘレナ・ボナム=カーターでしょう(笑。
は: 相変わらずエキセントリックな役をやらせると超一流ですね。
ゆ: まあ冗談はともかく、前作でヘレナに食われてしまったジョニデプでしたが、今回は「チャーリーとチョコレート工場」を髣髴とさせる熱演でしたね。わざわざスコットランド訛りを入れたり、CGで目の大きさを変化させたり、相変わらず凝り症ですねえ。
は: アリス役の新人ミア・ワシコウスカ様、白の女王のアン・ハサウェイ様はお美しゅうございますね。
ゆ: 赤の女王との落差を楽しまなくてはいけませんからね~(笑。敢えて言うと、ほとんどスッピンで人間的な設定のアリス役と、どぎついメイクといかにもティム的にひねくれた人格(?)設定の白の女王役との対比が面白かったですね。アン・ハサウェイがあのメイクでも飛び切りの美人だと分かるところがすごい、さすが、ハリウッド女優ですね。

は: と言うわけでディズニーが描く英国映画、ティム・バートンのセンスをもって素晴らしい映画になっているようでございます。とにもかくにも昔の単純なディズニー・アニメーションの「不思議の国のアリス」とは全く別物という事でございますね。
ゆ: そうです、だから子供向きの生易しい映画だとは決して思わないで下さい。ティム・バートンのセンスに馴染めない方には一風変わったRPGにしか思えないかもしれません。またある程度ディズニーらしく聴き取り易くはなっておりますがそれでもクイーンズ・イングリッシュとルイス・キャロルの複雑な言葉遊びに翻弄されると映画自体についていけません。

「烏(raven)と書きもの机(writing desk)はどうして似ているの?」

な~んて有名な謎謎に惑わされないで下さいね。

は: さて、採点でございます。もう私メの点数は出ておりますね(^_^;)。
ゆ: ゆうけいはティムとジョニデプに甘いと言われそうなのでやり直します(苦笑。

はむちぃ: 75点
ゆうけい: 82点

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