ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Audio Design DCA-5V

Dca5v5
(左からOnkyo ND-S1(B), Audio Design DCA-5V, Acoustic Revive RD-1)
  今年初めてのまともなオーディオネタです、さすがオーディオの出てこないオーディオブログ(笑。こんなブログでもやっぱりオーディオネタが一番読まれていて、アクセス解析を見るといまだにiPod用デジタルトランスポートOnkyo ND-S1の記事が毎日のように上位に顔を出しています。そのND-S1用の直流安定化電源が届きました。Audio Design DCA-5Vです。HPにはこの製品の案内はまだありませんが、それもそのはず、えるえむさんの特注による限定生産品なんです。これは5V用で他に12V用もあるそうです。

Dca5v2_3    直流安定化電源といえば以前本日のコーヒー様に試作品(以後「本日のコーヒー器」と略します)をお借りしてレポートしたことがありました。あの時お借りしたものより今回の製品は大分コンパクトに出来ており、上記のようにND-S1の横にぴったりと収まって、アコリバのRD-1(消磁器)を置く余裕まであります。私のND-S1が黒なので視覚的にはミスマッチかもしれませんが、通常のシルバーをお持ちの方には大きさ・色ともぴったり合うと思います。

Dca5v4  本日のコーヒー器は電圧チェックの必要もあり、許可も得ていたので中を開けさせていただきましたが、今回はオーディオメーカーの商品として購入しており、また、えるえむさんのご努力の結晶でもありますので、敢えてブラックボックスのままでレポートさせていただきます。もちろんDCプラグと電源ケーブル(2P)が付属しております。
 という事でしばらくACアダプタの音を再確認してから、早速セッティングしました。ケーブルはデジタルクリーン電源、光城精工のFairyから延ばしてあるハッベルの延長タップに繋ぎました。ND-S1以降のシステムは下記の通りです。

ND-S1→DCX-1(Mitsubishi)→Accuphase DG-38 with Option DACAccuphase SL-10G→Accuphase C290V→Cardas G-Master Reference(L) XLR→Accuphase P-7000→Kimber Select KS-3033→Dynaudio Sapphire

 さて第一印象ですが、はっきりと変化します。普通電源関係は2、3日かけてのエージングを経て良くなっていく事が多いのですが、前回の本日のコーヒー器もそうであった様に、この製品も繋いだ途端音の違いが分かります。やっぱりACアダプタというのは音質に関しては非常にプアなんでしょうね。えるえむさんが

ND-S1で一番コストを切り詰めている部分が電源であり、この部分を改善してあげればND-S1の音は更に良くなる

と考えてこの企画を立ち上げられたのは本当に慧眼だと思います。

 どんな風に変わるか早く教えろ、という声が聞こえてきそうなので先を急ぎますが(笑、前回の本日のコーヒー器の時に「音が上質に滑らかになる、立体感と重量感が出る」と書きましたが、基本的に今回も同様です。ただ、変化の度合いの変化の具合が多少異なり、

本日のコーヒー器: 力感>質感
DCA-5V: 質感>力感

という感じです。本日のコーヒー器は音質の根本的な傾向までは変化しなかったと記憶しているのですが、DCA-5Vは明らかに変わります。一言で言うと

美音系

でしょうか。と言っても艶っぽいとか濃厚とかの方向ではなく、すっきりとして透明感があるAvalon的な美音のように感じます。
 具体的に言いますと、各楽器の音像に陰影が加わり立体的になるとともに、倍音成分が今まで以上に強く乗ってくる印象を受けます。ステレオサウンドで和田先生が「彫琢」という言葉を良く使われますが、おそらくこのような変化をもってそう表現されるのではないかと思いました。
 音場は左右方向はそれほど変わりませんが立体的になると書いたように前後方向にはやや深みを増し、更に特筆すべきは透明感は増しているにもかかわらず、音数は全然減っていない事です。余計な付帯音やノイズだけが減っているのでしょうか。

 低域に関しても同様なので音階が良く聴きとれる綺麗な低音という感じで、力感は本日のコーヒー器の方が優れていたと思います。ただこれも好みの問題と言う程度です。やっぱり大きさと低音は比例するんでしょうか(笑。

 申し遅れましたが、試聴はiPodAIFFで取り込んだソースで行っています。印象的だったのは「Anne Sophie von Otter Meets Elvis Costello」の「The Other Woman」です。オッターの声もさることながら、その後に続くマリンバの音が空間への拡散する様の美しさに聴き惚れてしまいました。弦も素晴らしく、先日ちょっと紹介したムローヴァのバッハのソナタのガット弦の表現など、DP-85で聴くCDの音とはまた違った魅力があります。ディナウディオが一時的にアヴァロンに切り替わった感じ(笑?いや冗談抜きで、大阪のDolon邸のアイドロンで聴かせて頂いた弦の音を思わず連想してしまいました。

 とここまではよかったのですが、欲を出して合唱はどうだろうとマイケル・ティルソン=トーマス&SFCOの「マーラー8番」から終曲を聴いてみたのですが、さすがにここまでの壮大で規模の大きい曲を見通し良く聴くには若干無理がありました。まあ普段聴いているのがSACD層ですから敵わなくて当たり前なんですが。

 さてその後、2、3日かけ続けて音の変化を探ってみましたが、最初の変化が大きい分それほどの変化はありません。エージングで然程の変化が無いとはオーディオ機器にしては珍しい傾向でしょうか。そこで今日は、手持ちの電源ケーブルを数本繋ぎ替えて実験してみました。その結果、結構個性の違うケーブルを繋いでみたにもかかわらず、今まで述べてきた音質に大きな変化は見られませんでした。えるえむさんから

付属ケーブルからの変更での音の変化は少ない

と伺っていましたのでそれほど驚きもしませんでしたが、AC→DCに変換される際にケーブルの個性は消えてしまうのかもしれませんね。

 ただ、大電流供給型のケーブルになるほど強靭で締まった良い低音が得られる傾向があると感じました。拙宅のケーブルの中ではちょっと古いモデルですが、キャメロット・テクノロジーPM-650が一番好ましい具合の変化でした。マーラー8番の終曲も見通しが良くなりましたし、Fourplayハービー・メイソンのバスドラも本日のコーヒー器で聴けた力感に近づいたように思います。

 以上ND-S1自体信じられないくらいコスト・パフォーマンスの高い製品ですが、それでもコストをかけてない部分である電源関係を強化する事でもうワンランク音質をアップさせる事ができる事が実感できました。デジタル情報をDACに送り込むだけのパーツなのになんで電源がこれだけ効くのか、DACが同一なのに何故音質がCD Playerと異なるのか、理論的な事にはからきし弱い私には全くわかりませんが、経験則として

オーディオ機器にはすべからく電源は効く

という法則は今回も健在でした。それほど大量の電流を流す必要もない機器であるのにPM-650が効く事も更に不思議ではありますが(笑。

 残念ながら今回の製品は限定品で今の所量産の予定はありません。ちなみに私は3万円で購入しました。ND-S1の価格を考えると、このDCA-5Vはオーバークオリティであると言う意見もあって当然だと思います。ましてやそれより高いケーブル類を使うのは邪道かもしれません。しかし、前にも書きましたが、それら全てを含めてもAccuphase DP-85の数分の一の値段です。それでCDと遜色無いクオリティの音を得られるという風に見方を変えれば、この直流安定化電源は「あり」だと思います。

 最後に企画から製品化まで、大変なご努力をされたえるえむさんに感謝申し上げます。

お気に召せばよろしくお願いします。

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