ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

私の中のあなた

私の中のあなた [DVD]
はむちぃ:皆様こん**は、はむちぃでございます。今日の映画レビューは昨年の話題作ヒューマンドラマ「私の中のあなた」でございます。とは言え、難病モノ、特に白血病モノには文字通り「拒絶反応」を示すご主人様が何ゆえに?
ゆうけい: 「きみに読む物語」のニック・カサヴェテス監督だから、という一言に尽きますな。社会派の彼が撮れば、どっかの国の分けの分からんとこで愛を叫ぶようなお馬鹿な映画にはならない事は確実ですから。
は: 特に今回は心臓病の娘を持つニック・カサヴェテス様と、撮影前に父親を亡くしたばかりのキャメロン・ディアス様が、この映画のために渾身の力を注いだとのことですし、はむちぃメも楽しみにしておりました。では早速映画紹介に参りましょう。

『 2009年、アメリカ映画

監督: ニック・カサヴェテス
脚本: ジェレミーベレンニック・カサヴェテス
製作: マーク・ジョンソン
原作: ジョディ・ピコー(My Sister's Keeper)

キャスト:
サラ(母): キャメロン・ディアス
アナ(次女): アビゲイル・ブレスリン
アレグザンダー弁護士: アレック・ボールドウィン
ブライアン(父): ジェイソン・パトリック
ケイト(姉): ソフィア・ヴァジリーヴァ
ケリー(サラの妹): ヘザー・ウォールクィスト
デ・サルヴォ判事: ジョーン・キューザック

  アナ(アビゲイル・ブレスリン)は11歳の普通の女の子。しかし、彼女は兄や姉と違って普通に両親がセックスした結果として産まれてきた訳ではなかった。白血病の姉・ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)を救うために、HLAが適合する卵子精子を選んで人工授精させたドナーとして“創られて”生まれてきたのだ。
 ケイトに生きて欲しい―その想いは、家族みんな同じだと疑わなかった母・サラ(キャメロン・ディアス)は、ある日信じられない知らせを受ける。「もう、姉のために手術を受けるのは嫌。自分の体は、自分で守りたい」とアナが両親を訴えたのだ。
 病気と闘いながらも幸せだった家族に訪れた、突然の出来事。いったい何故、アナは突然大好きな姉を救うことをやめる決意をしたのか?その決断の裏には、驚くべき真実が隠されていたー(AMAZON解説を元に作成)』

は: いやあ、素晴らしい映画でございました。原題「My Sister's Keeper」のKeeperの意味が、通常の「お守り役」であるとともに「姉を生かし続けるためのパーツ役」であるという過酷な設定、案外脆く崩れ去る家族関係と各々の葛藤、周囲の人々の真摯で暖かいまなざし、予想外の展開を示しつつ感動のクライマックスへ向かう様、どれも感動的でございました。
ゆ: さすが、カサヴェテス、ただのお涙頂戴のホームドラマではありませんでしたね。ちょっとカズオ・イシグロの「私を離さないで」を思い出してしまいましたが、とりあえずは社会派の面目躍如と申しておきましょう。笑わせ泣かせつつ、鋭い問題提起をしております。
は: 姉を憎んでいるわけではなく逆にとても愛しているにもかかわらず、自分が臓器提供を断れば確実に姉が死ぬという事実を敢えて受け入れる主人公、家族なら協力し合うのが当然、子供の病気は何が何でも治すという強い意思をもった母が我が子に拒絶されたときの当惑と怒り、、、
ゆ: どちらもが間違ってはいないし、どちらもが白血病の家族を愛しているのに起ってしまう家族の諍い、観客動員を意識するあまり単純な善悪ゲームに堕しがちな昨今の映画界に痛烈で痛切な問いを投げかけておりますな。

は: 妹が重病であるために自分の失読症はなおざりにされた心の傷を負いつつも妹たちを愛し、妹と懸命に秘密を共有して努力する兄の姿にも心を打たれました。
ゆ: 脇役陣も良かったですね。てんかん発作の持病を抱えつつ11才の子供の訴訟を引き受ける弁護士、子供を事故で亡くした心の傷を残しつつ復帰した女性検事、同じ病気を抱えたボーイフレンド、みんな良い人ばかりなのに何故揉める(苦笑。
は: それはアナ様が託された秘密にかかっていると申しておきましょう。
ゆ: だね、とは言え、その秘密が単純すぎて簡単に予測がついてしまうところが唯一この映画の弱い所かな、と思いますね。まあおそらく原作がそういうストーリーなのでしょう、となるといくらカサヴェテス監督が頑張って隠しても仕方ない面はありますし、その想像がついても飽きさせない脚本は素直に評価すべきでしょうね。

は: 俳優では何と申しましてもキャメロン・ディアス様の熱演でしょう。
ゆ: 腹の据わった凄みのある演技には関心しました、チャーリーズエンジェルが変われば変わるもんです。
は: 映画の肝の姉妹お二人も好演でございました。
ゆ: 白血病の薄幸な少女にあえて美少女を持ってこないところに説得力がありましたね。メーキャップも、嘔吐・喀血シーンも説得力がありました。どこかで愛を叫ぶ(以下略)
は: もうようございましょ、そのネタは(怒。
ゆ: スマソ、脇役陣に目を移しますとアレック・ボールドウィンさん、さすがの貫禄の演技でしたねえ。久しぶりに観ましたがお元気そうで安心しました。
は: あまり元気な役ではなかったんですが(ボソッ(-.-)、てんかんを起こされるシーンなど私メどきどきしてしまいました。
ゆ: 私の日頃の苦労がわかっていただけましたかな(苦笑。
は: はいはい、そして判事役のジョーン・キューザック様も、母か11歳の少女かどちらかに軍配を上げねばならない難しい役をこなしておられました。
ゆ: コメディ出演の多かった方ですが、内面を表情や仕草一つで表現しなければいけない難しい役どころを見事にこなしておられましたね、「君に読む物語」同様、こういうキャスティングが出来るところにカサヴェテスをはじめ、スタッフの力量を感じました。

は: と言う訳でございまして、難病ものと申しますとどうしても感情に流れてしまいがちなところを見事な社会派ドラマに仕立て上げたカサヴェテス監督の秀作でございます。是非ご覧下さいませ。
ゆ: ここまで褒めといてなんですが、カサヴェテスにしてはやや脇の甘さも目立ちまして、完成度という点で厳しい点数をつけざるを得ませんでした。しかし、生まれてくる事の意味、死にゆく事の痛切さ、その許容、医療の発展のめざましい現代社会における難しい問題、それらを分かりやすい形で提示してくれる映画ですので、家族揃って観られるのも良いのではないでしょうか。
は: できれば「ああ良かった」で終わるのではなく、もし自分の家族に降りかかってきたらどうするだろうか、家族で話し合って欲しいですね。では点数です。

はむちぃ: 80点
ゆうけい: 71点

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