ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

インビクタス 負けざる者たち

Invictus
Out of the night that covers me,
Black as the pit from pole to pole,
I thank whatever Gods may be,
For my unconquerable soul.

(excerpt from 'INVICTUS', by William Ernest Henry)

はむちぃ: みなさまこん**は、今回はネルソン・マンデラ南アフリカ大統領の実話を基にした洋画最新作「Invictus」でございます。何しろ、主人のゆうけいが昨年の洋画最高作に推した「グラン・トリノ」のクリント・イーストウッド監督作品にして、名優モーガン・フリーマン、今が旬のマット・デイモン様の共演でございますから、楽しみな映画でございますね。
ゆうけい: おまけに南アフリカで催され、開催国のスプリングボックスが当時怪物ロムーを擁して世界最強にして史上最強とうたわれたNZオールブラックスを相手に劇的な優勝を飾った1995年のラグビーW杯がテーマの映画ですからね、洋画ファンのみならずラグビーファン必見でございます。
は: なんでもネルソン・マンデラ様ご自身が、かねてから自分を映画化するなら是非ともモーガン・フリーマン氏に演じてほしいと希望しておられ、モーガン様が脚本をイーストウッド様に持ちこんで実現した映画だそうでございます。
ゆ: いやが上にもそそられますね、でははむちぃ君映画紹介をお願いします。
は: かしこ、かしこまりました~、かしこ(Q太郎風)
ゆ: 今日は君がボケるんかい(^_^;)。

『2009年 アメリ
監督:クリント・イーストウッド
製作総指揮 モーガン・フリーマン 、ティム・ムーア 
原作:ジョン・カーリン(「PLAYING THE ENEMY」)
出演:モーガン・フリーマンマット・デイモン
配給:ワーナー・ブラザース映画

新しく就任したネルソン・マンデラ大統領(M.フリーマン)は、アパルトヘイトにより人種差別や経済格差が依然として残っていることを痛感する。誰もが親しめるスポーツを通して、人々を団結させられると信じたマンデラは、ラグビーナショナルチームのキャプテン、フランソワ・ピナール(M.デイモン)と共にチームの立て直しを図る。敗戦続きで負け犬扱いされていた代表チームは、マンデラの“不屈の精神”によりワールドカップで大躍進を遂げ、ついに決勝戦に進む……。

4度のオスカーに輝くクリント・イーストウッドが、監督第30作目として選んだのは、不屈の精神と寛容の心を持って、南アフリカに奇跡を導いたネルソン・マンデラ大統領の物語。ネルソン・マンデラを演じるのは、『許されざる者』や『ミリオンダラー・ベイビー』の“盟友”モーガン・フリーマンラグビーナショナルチームのキャプテンにマット・デイモン。国を、国民の心を‘ひとつ’にしようとした感動の実話が、ラグビーというスポーツの興奮とともに語られていく。』

は: ネルソン・、マンデラ様の許容と不屈の精神、そしてラグビーW杯が白人・黒人の宥和と世界へのアピールに有効な最高の手段だと見抜いた政治的感覚、そしてその人格の高潔さが見事に描かれておりましたね。
ゆ: さすがイーストウッドは「」の映画を上手く作りますね、しかしまた藤川球児を思わせるような直球一本勝負のマンデラ賛歌でしたねえ、その辺あまりにも単純過ぎないかと言う疑問は残ります。一見明るく見える世界にも裏には深い暗闇が潜んでいる事をほろ苦いタッチで描くのがイーストウッド映画の持ち味でしたから、今回はちょっと戸惑いました。
は: インタビューを読みますと、モーガン・フリーマン様は盟友イーストウッド様と組んでの最高の演技ができたと感無量のようでございますが?
ゆ: どう見ても「ミリオン・ダラー・ベイビー」の方がイーストウッドモーガンの映画としては上でしょう。

は: もちろん27年間に渡る獄中生活、アパルトヘイトのしこりと言った暗い現実が実際事実としてあったわけですが?
ゆ: その辺リを描いた導入部はテンポも良くってさすがイーストウッドと思ったんですけどね、マンデララグビーに目をつけるあたりから、いやに映画が軽くなりましたね。
は: 題名の「Invictus」は、マンデラ様が獄中生活を送っている時に心の拠り所としていた英国詩人W.E.Henryの詩で、その詩を通じてマット・デイモン様演じるスプリングボックスのキャプテンに感化を与えていく過程は重みがあるように思いましたが?
ゆ:: 確かにモチベーションは大事だと思いますが、マンデラが白人であるキャプテンのピナールに詩をメッセージとして送るだけで優勝できるほどラグビーのW杯は甘くないですよ(苦笑。
は: スプリングボックスというアパルトヘイトを象徴する名前と緑色のユニフォームを敢えて残したマンデラの政治的嗅覚の鋭さ、黒人層へのキャンペーン活動などは良く描かれていたと思いますが?
ゆ: 何でもかんでも満足するようには作れないという事は分かるんですが、一番肝心のチーム強化の過程を余りにも飛ばしすぎて、スプリングボックスがどうして優勝できるだけの力をつけていったのかが分かりにくかったですね。これじゃ安物のスポーツモノ映画と大差ないなあと思いましたよ。あの練習風景なんかみたら、日本の高校生の方がよっぽどハードで理論的な練習してますけどねえ(苦笑。

は: さてそのラグビーの実話の方でございますが、この映画ではマンデラ大統領就任時にはスプリングボックスは弱小チームであったと描かれておりますね。
ゆ: 1991年まで公式のテスト・マッチを禁止されていましたからね、でも復帰後の南アはやっぱりファースト・ティアの強国でしたよ、だからこそ開催国にも選ばれたわけですし。
は: そしてやはりその頃はラグビーは白人、サッカーは黒人のスポーツだったわけでございますね。
ゆ: そうですね、白人主体のチームで黒人は映画で描かれていたようにチェスター一人でしたね。彼が黒人層に圧倒的な人気があった事も事実です。2005年のブライアン・ハバナ並みのスターでしたね。

は: 対戦する各チームもお馴染みの強国が揃っておりました。
ゆ: 最初のテストマッチのPGを次々と決めるイングランドの選手はおそらくウィルキンソンなんでしょうね。あの俳優にしても、南アのストランスキーオールブラックスマーテンス役の俳優にしても、PGやDGは上手かったですねえ(笑。
は: オールブラックスロムーなんか、良くあれだけ似ている俳優がおられたものですね(笑。
ゆ: そのあたり、とても懐かしく見させていただきました。
は: 最後の30分は延々と史上最高の試合との評価も高いスプリングボックスオールブラックスの決勝戦が描かれておりましたが。
ゆ: あんな凄い試合があったという事実の方がよっぽど凄いですけどね。ネタバレになるので経過は言いませんが。
は: 俳優の皆様体を張っての熱演でございました。
ゆ: 上手く撮ってるなあと思いますが、やっぱり演技でラグビーされるのはちょっと違和感がありますね。それと、随分ルールが変わったんだなあと言う事も実感しました。
は: マット・デイモン様も堂々のプレー振りでしたが?
ゆ: う~ん、そのあたりは細切れのカット割りでの撮影なので、イマイチ彼の熱演が伝わってこなかったですね。マンデラへのシンパシーの演じ方も今一つ上手く伝わってこなかったですし、やっぱり彼にはジェイソン・ボーンの方が似合ってますよ(苦笑。

は: というわけでございまして、いろいろとご主人様は文句をつけておられますが、さすがクリント・イーストウッド監督、十分鑑賞に耐える力作でございます。
ゆ: あの大会で南アフリカオールブラックスを破ったのは本当に「奇跡」としか言い様がありませんでした。その裏にマンデラ大統領の力があったのかと素直に感心するのもよし、賛美に過ぎると感じるもよし、でしょう。ただ、未だにスプリングボックスは白人が主体ですし、今度はサッカーのW杯を開けるようにまで世界に認知されたのは良いものの、犯罪率の高さが懸念されている事も事実です。
は: クリント・イーストウッド様が自分で立案企画したならば、そのあたりを彼独特のダークな色調で描かれたかもしれませんね。
ゆ: 今回に関しては彼の男気で、脚本を持ちこんだモーガン・フリーマンに花を持たせたんでしょうね。まあそれより何より、その当時のオールブラックスの2軍

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と言う歴史的大敗を喫した日本が今度こそW杯で「奇跡」を起こして欲しいものです。

は: では点数でございます。

はむちぃ: 75点
ゆうけい: 68点

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