ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ミケランジェリ2作

ミケランジェリ ベートーヴェン・ピアノソナタ第4番 シューマン・謝肉祭 1973年東京ライヴ (Arturo Benedetti Michelangeli (P) Beethoven : Piano sonata No.4 Schumann : Carnaval 1973 Tokyo Live)
 昨年の「アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ・ライヴ・イン東京 1973 (10月29日)」のレビューのコメントでどるさんから教えていただいた、同じ日本ツアーのもう一つのライブ(10月20日)をようやく購入いたしました。

1-4: L.V.Beethoven: Piano Sonata No.4 in E-flat Major op.7
5-24: R.Schumann: Carnaval op.9
25: B.Galuppi: Cembalo Sonata No.5 in C Major - 2nd movement (encore)

ミケランジェリ幻の東京ライヴ発見!ミケランジェリ絶頂の記録、失われたと思われた録音が 未亡人のもとに存在した!音質大変良好、1973年10月20日東京ライヴ初出!

既出のFM東京レーベル(TFM-0021)は10月29日のリサイタルでした。もう一つの20日のリサイタル(絶品のリサイタルとして伝説的)のCD化が望まれていましたが、今回捜索の結果発見されました。曲目はミケランジェリの得意中の得意曲のシューマン謝肉祭!グラモフォンのモノラル盤をはるかに上回る絶頂ぶりでしかもステレオ!ベートーヴェンの4番もミケランジェリの十八番。ミケ=第4番と思われるくらい愛奏曲で、この曲のベートーヴェン中期以降の作を思わせるスケール、曲想などミケランジェリによって啓蒙させられました。スタジオと違いライヴならではの感興が華をそえます。その上完璧!ガルッピも絶品!』

 いやあ、探せばいくらでも出てくるとは、いつぞやの厚生省のロッカーみたいですな(笑。ちなみにこちらはAltusレーベルというところから出ており、音質は前回の記事のTOKYO FMの時の衝撃が大きかったもので、今回はこんなもんでしょうという感じですが、もちろん当時のテープから掘り起こしたものとしては大変良好です。ちなみにCDケースの中の真っ赤なフェラーリに乗り込もうとするミケランジェリの写真はカッコいいです(笑。

 ライナーノートを読むとこの来日時右手の神経炎が悪化しており、東京での医師の診察でも「一週間の療養が必要」という診断書が出ていたそうです。そのような中で3回も公演が行われたのはキャンセル魔のミケランジェリにしては奇跡的で、そのうち二回のライブが世紀を超えて発掘されたのも幸運としか言いようがないでしょう。

 それにしても、そのような悪条件の中で演奏されたにしてはこのライブの演奏も凄い。特に十八番中の十八番だったシューマンの謝肉祭は完璧、ですね。今ではテクニックの面ではこれくらい弾ける人はいくらでもいるでしょうけれども、一音一音の煌くような美しさ、曲毎の繊細な表現の変化、全体を通してのまとまりと上品さはさすがミケランジェリ。終わった後、溜息しか出てきません。

 もちろんベートーベンもアンコールのガルッピも凄いのですが、残念ながらこれを表現するだけの知識と表現力を持ち合わせておりません、申し訳ございません。あえて茶化して言うなら(半分真面目ですが)、二丁拳銃の「ちょうどええ」的快感です(笑。

Arturo Benedetti Michelangeli Plays Schumann, Chopin, Debussy & Mompou
 まだあるか、と言われそうですが、これまた常連のkoyamaさんから教えていただいた2枚組未発表盤。ジャケットにでかでかと「TESTAMENT」とあるので、生涯最後の演奏かと思いきや、さにあらず、レーベルの名前がTestamentなのでした。で、解説によりますと、

『このCDは1957年3月4日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで行われた演奏会をアンコールまで含めて収録したもので、当時EMIによって録音されながらも発売されなかったもので、今回が初発売となります(海外盤としては1996年にリリース)。注目すべきは、リハーサルとサウンド・チェックの様子が、32分にもわたって収録されていること。ミケランジェリの芸術の一端を窺うことの出来る貴重な付録となっています。』

だそうです。海外盤では1996年に出ていたそうですが本邦ではこれが初発売だそうです。

Disc-1
1-5: F.Chopin / Faschingsschwank Aus Wien, Op.26
6-26: R.Schumann / Carnaval, Op.9

Disc-2
C.Debussy:
1. Images, Serie/Set II: II. Et La Lune Descend Sur Le Temple Qui Fut (Lent)
2. Images, Serie/Set II: I. Cloches A Travers Les Feuilles (Lent)
3. Images, Serie/Set I: II. Hommage A Rameau (Lent Et Grave)
4. Images, Serie/Set I: I. Reflets Dans L'eau (Andantino Molto)
F.Chopin
5. Fant in f, Op.49
6. Ballade No.1 in g, Op.23
7. F. Mompou / Cancion (From Cancion Y Danza No.6)
F.Chopin
8. Valse in E flat, Op. Posth.
9. Rehearsal And Sound Check

録音:1957年3月4日 ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール〈モノラル録音〉

 モノラルで録音は私が生まれるよりも前ですが、それでも音質は悪くないです、というかこれが1957年の録音?というくらい素晴らしい。モノラルですから定位のチェックにも最適です(笑。

 東京の二枚より16年も前ですから、ミケランジェリも若い。解説にもある通り、リハやサウンドチェックの様子も延々と録音されており、彼の完璧主義が伺えます。

 この謝肉祭もまた凄いですが、もう語彙がつきました。それよりもっと感動したのはショパンの幻想曲。出だしから唖然呆然。絶頂期の自信と誇りに溢れた感動的な名演で、終わった後、謝肉祭に移るのを中断して余韻に浸っておりました。

 ドビュッシーの「映像」も、71年のDG盤がフランソワと双璧をなす名演に挙げられるくらい十八番の曲でしたが、その期待通りの演奏です。「映像」はやや曲毎にムラがあったり退屈であったりするのですが、彼の手にかかればどれもうっとりと聞き惚れてしまいますね。

 とまたまた褒めまくることしかできませんでしたが、ミケ・ファンの方は是非どうぞ。

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