ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

スイートミュージック・レコードコンサート@神戸北野

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 震災記念日である1月17日に神戸北野で、今となっては大変珍しいジャンルである「スイートミュージック(或いはシャンペン・ミュージック)」のレコードコンサートが開催されました。北野の雰囲気そのままの優雅な時間を、家内と二人で過ごしてきました。

2010年1月17日 午後6-8時
場所:北野サーカス

主催: 松浦正和
協力: オーディオ南海西田辺店
解説: 片岡 学

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Audio System:
Turntable: Roksan Xerxes30
Tone Arm: Roksan Artemiz II
Cartridge: Air Tight PC-1 (Not For Sale in Japan)
Preamplifier:  Dynaco PAS-3X
Power Amplifiers: McIntosh MC-60 x2
Loudspeakers: Altec Coronad


Selected LP Records:
A: The Best Of Sammy Kaye
B: The Magic Lingers On / Russ Morgan
C: Guy Lombardo in Hi-Fi
D: Freddy Martin and His Orchestra 1944-46

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 講師の片岡学氏は、戦後長くニューハードをはじめとする日本の代表的なジャズバンドで演奏されたトランペット奏者で、神戸では有名な超高級サロンである北野クラブで長く活躍されてこられました。
 その片岡氏の解説を私なりにまとめてみますと、スイートミュージック或いはシャンペンミュージックとは、1930年代から1950年代に主に白人専用の高級ホテルのボールルームなどで演奏された、2または4ビートの折り目正しく上品な楽団演奏であったようです。上記のレコードのバンドがその代表的なミュージシャンで、特にガイ・ロンバードはカナダの高級ホテルに於いて当時世界一高い報酬で演奏していたそうです。
 そしてその当時のもう一つの音楽の流れが主に黒人系統の音楽であったスイングで、この代表がデューク・エリントンベニー・グッドマンなどであったわけです。
 あくまでも想像ですが、型どおりきっちりと演奏するスイートミュージックよりも、自由な音楽解釈やアドリブのできるスイングの方がジャズという音楽に向いている事は明白であり、その後のジャズのメインストリームとなったものと思われます。逆に言えば、当時の常識としてはスイートの方が上品で白人向け、スイングの方が下品で黒人向けとされていたのでしょう。

 実際片岡氏も、戦後間もなく帝国ホテルや米軍キャンプの将校クラブでスイートミュージックを演奏するのは嫌でしかたなかったそうです。理由まではおっしゃいませんでしたが、一日4ステージ、決まりきった演奏をするのが退屈だったのでしょうね。 

 ところが今となってあらためてその音楽を聴いてみるとっても素晴らしい、お金があればスイートミュージックの楽団を作ってみたい、とおっしゃっておられました。特にこの日のオーディオにより奏でられた演奏にはいたく感銘を受けられたようです。

 まあそれもそのはず、松浦さんがカビだらけのLPをハンルの洗浄液等を用いて新品同様に甦らせ、オーディオ南海西田辺店で完全にレストアされたヴィンテージアンプとスピーカー、及び最新鋭のアナログシステムを用いてセッティングされ、出ている音ですからね。

「古き良き全盛期のアメリカを髣髴とさせる1960年台のヴィンテージ機器でまとめたかったが、プレーヤーだけは該当する機器がなくこのような構成になった」

と松浦さんが説明された通り、ウォームで懐かしいかまぼこ型バランスでありながら鮮烈にリアルな音が甦っておりました。この日集まった方々はオーディオファイルというよりは演奏者寄りの方々が殆どだったと思うので、片隅で回っている何気ないプレイヤーがどれほど凄いか、殆どの方はご存じなかったと思うのですが、皆さん口を揃えて

「どうしてレコードからこんな良い音が出るの?」
「まるで生演奏を聴いてるみたい」

とおっしゃってました。音に対して鋭い耳を持っておられる方がそうおっしゃるのですから、推して知るべし、と申しておきましょう。

 例えば当時スイートミュージック派では珍しくダウンビートで1位をとったことのあるフレディ・マーチンテナーなどは「テクよりも音色で聴かせるタイプ」と片岡氏がおっしゃったようにとても良い音色でした。ボーカルや口笛の再生もとても戦前戦後あたりの録音とは思えないほど見事で、この頃からマイクなどの録音機器の性能は相当なものであったのだなと思います。先ほど折り目正しい音楽と申しましたが、ゆっくりとしっかり発音される当時の英語は全ての単語が聞き取れました。ディクテーションの練習にはもってこいですね、ちょっと高すぎますが(w。

 一つのユニットだけを褒めると松浦さんにたしなめられるんですが、それを承知で最後にオーディオネタを一つだけ言っておくと、エアータイトのPC-1というカートリッジが凄いんですよ。オーディオ南海の方が私にそっと、

「これを使うのは反則ですよね」

と耳打ちしてくださったくらいです(笑。残念ながら諸事情でどう凄いかは説明できず、しかも輸出専用なのですが、オーディオ南海西田辺店に行くと聴けます。興味のある方は是非どうぞ。

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Setlist:
黙祷1.17: 1'

Part 1:
1: To Each His Own (A)
2: Everywhere You Go (A)
3: I Understand (A)
4: Down By The Old Mill Stream (A)
5: My Reverie (A)
6: The Object Of My Affection (B)
7: Bye Bye Blackbird (B)
8: Humoresque (C)
9: The Third Man Theme (C)
10: Smoke Gets In Your Eyes (D)
11: If I Had You (D)
12: Nora (D)

Intermission

13: Under A Blanket Of Blue (A)
14: I'll Never Smile Again (A)
15: Good Night Sweetheart (A)
16: You're Nobody'til Somebody Love You (B)
17: Somebody Else Is Taking My Place (B)
18: So Long (B)
19: Coquette (C)
20: St. Louis Blues (C)
21: Dream* (D)
22:The Way You Look Tonight (D)
23: Dancing In The Dark (D)
24: On The Sunny Side Of The Street (D)
25: Sweet And Lovely (D)
26: Auld Lang Syne (C)

(*Theme from Daddy Long Legs)