ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ・ライヴ・イン東京 1973

アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ・ライヴ・イン東京 1973 (2CD) [HQCD]
 最近ヘビーローテーションで聴いているのが、某K氏にご紹介いただいたこのCDです。ミケランジェリには「巨匠」「完璧主義」「キャンセル魔」「副業が医師・パイロット・レーサー」等々様々な逸話に満ちた天才ピアニストのイメージがありますが、多くjの音源が曖昧模糊とした霞の向こうから聞こえてくるような古いもので、その真価が明らかとは言えませんでした。ところがこのアルバムは相当高水準の録音で、ようやく彼の真髄の一端を見る事ができた気がします。1970年台初頭の録音の復刻と言えば以前紹介したジョージ・セル東京ライブもそうでしたが、まだまだ宝の山は眠っているのですねえ。

Disc 1
1. シューマン: ウィーンの謝肉祭の道化 
2. ショパン: ピアノ・ソナタ第2番
Disc 2 
3. ラヴェル: 高雅で感傷的なワルツ 
4. ラヴェル: 夜のガスパール 

『名盤がHQCD化。より一層透明度が増し素晴らしい音質となりました。
スタジオ録音なみ、ライヴ離れの高音質。アルトゥーロ・ベネデッティ=ミケランジェリ・ライヴ・イン・東京1973。巨匠の貴重な日本でのリサイタルを完全収録!巨匠ミケランジェリといえば大変なキャンセル魔ですが、この録音も当初予定していたリサイタルをキャンセルされ、かろうじて録音が許されたのがこの日のリサイタル。しかし録音していみるとFM 東京の録音陣を気に入った様子で当時のプロデューサー東条碩夫(現音楽ジャーナリスト)氏の談話によるとかなり協力的で大変満足なものであったようです。NHKにはリサイタルの録音は既に残っていないので日本における唯一のオリジナルテープが現存するリサイタル録音がこれと申せましょう。その貴重な音源を復刻するにあたってはアナログからデジタルへの変換に通常以上に時間をかけキングスタジオに残るこれも日本で唯一の現役稼動しているテレフンケンのオープンリール再生機で必要以上に丁寧にオリジナルのアナログテープをトランスファーいたしました。[録音:1973年10月29日東京文化会館(ライヴ)]』

 素人の私がどうこう言うレベルではないと思うのですが、Disc 1における、シューマンの陽とショパンの陰の対比の見事さ、Disc 2のラヴェルの華麗さと高度なテクニック、どれをとっても息を飲む美しさに満ちております。以前ラヴェルのピアノ協奏曲のレビューで「稀代のヴァーチュオーゾ 」と書きましたが、このアルバム用に取っておくべきでした(笑。

 個人的には以前のレビュー以降「夜のガスパール」にはまっている事もあり、ガスパールが一番のヘビー・ローテーションです。ガスパールの名演数々あれど、この一枚がその上位に食い込んでくる事は確実だと思います。彼独特のピアノの響かせ方がとても良くとらえられており、最初聴いた時は超難曲「スカルボ」のラストで思わずブラボー!と声を出してしまいました。ちなみにアルゲリッチは一時期彼に弟子入りしていましたが、彼女によるとちっともピアノを教えてくれず卓球の相手ばかりさせられていたそうです(笑。

 さて、このオリジナルテープに関してですが、東条氏のライナーノートによると収録時の使用マイクは、ノイマンSM69をメインにエコー用としてホール客席上方に2本。アンプとテープ・レコーダーはいずれもアンペックス。2トラ38による当時の放送局の典型的なアナログ録音システムだったそうです。あらためてマスターテープの音の凄さを思い知らされますね。
 そして現在のリマスタリングの技術でこれ程の音質に蘇らせる事が出来るのであれば、これからもいろいろなマスターテープが発掘される事を期待します。

Michaelangeli  最後に一つだけ。冒頭リンクと違って私の買ったCDのジャケットはこちらになっております。この両手は当時のチケットのデザインです。昔のチケットは味がありましたね。

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