ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Accuphase C-27導入

C272
 今年最後の散財ネタです(多分)。以前試聴会記でご紹介したアキュフェーズ32年振りの単体フォノイコライザーAccuphase C-27」をついに導入することにしました。ここにもう一度試聴会の印象を引用しますと、

普段AD-290Vで聴いている私からすると、全てに余裕があると言う感じです。まあ単体で電源も別、フォノイコとは思えない大きなトランスを2基積んでいりゃあ当然ですよね、車で言うとエンジンの気筒数、排気量が違うという感じです。番外でC-2810内蔵のAD-2800との聴き比べもありましたが、音質的にはより柔らかく、音場も一回り大きく展開する感じでした。(中略)贅沢にテフロン基盤を奢っています。この辺が音質の柔らかさ、上品さに貢献しているのかもしれません。(中略) 終了後、持参したジョニ・ミッチェルの「Blue(重量盤)」から、「Calfornia」をかけて頂きました。普段聴きなれている曲なので、やっとこのシステムの凄さがわかりました。

 あの時点では内蔵型には内蔵型のメリットがあると自分に言い聞かせていましたが、、この記事を読み返してみると導入は必然だったな、とあらためて思います。でもそれなりの値段のするものですから、最終的には最近導入された某氏宅にお邪魔して試聴させていただき決心しました。

C27box  先月にターンテーブルのメンテは済ませておき、ルーツサウンドさんに昨月下旬に発注、翌週には届きましたので、月末にいそいそと出かけてきました。これで早や6台目のアキュです。某所で

「アキュのブースみたいですね」

と言われてしまいましたが「それも嬉しいニューカマー」です。梱包は例によって例のごとくアキュらしい丁寧なもので、三重の蓋をめくってカバーを外すとアキュの基調であるシャンペンゴールド色が目に入ります。ご丁寧に横幅もプリやCDPと合わせてありますので、どこからどう見てもアキュフェーズという趣きです。
 フォノイコですが、正面パネルには冒頭写真のごとく、

Stereo Phono Amplifier C-27

のロゴが入っており、菅野先生ではありませんが、所有欲を満たしてくれる上質感に溢れております。
 ターンテーブルと違って特別シビアな調整のいる機械ではありませんが、幾つかセッティング・調整の要点はあり、3日間かけて色々と調整しておりました。幾つか箇条書きであげてみますと、

Rack091031 1.ラック内配置: 買う前から一番迷っていたのがラック内配置です。今までの山本音工のラック2つに棚板を一枚足して済ませる事も出来たのですが、何だかとてもせせこましくなります。そこで思いきってサブシステムの背の低い同社のラックを持ってきて、そこにアナログ関係を全て移しました。写真の左端がそうです。副次的にDG-38も経由させる事ができるようになりましたし、ND-S1にも棚板を一枚あてがう事ができるようになりました。家内には「増殖していく~」と不評ですが(笑。

2.インシュレーター: しばらくは直置きで音の動向を確かめてから、と思っていたのですが山本音工の棚板は響きが良すぎて強音で音が濁ってしまう傾向があります。で、1時間も我慢できずにBlack Diamond Racingのpyramid cone(Mk3)をあてがってしまいました。C-27は向かって左側に2基PEにしては巨大なトランスがありますので、その下あたりに二箇所、対側に一箇所という配置が良かろうと推測してあてがうと、一発で決まりました。音が明らかに軽くなりましたが、これは時間が経てば落ち着くと分かっていましたのでそのままで様子をみたところ予想通り1日で好ましい状態になりました。

3.ケーブル: ラインケーブル、電源ケーブルとも手持ちのものを全て試してみましたが、結局アキュ純正が一番バランスが良いです。ロクサンの方も純正が一番だし、アナログはあまりこの辺をいじらないほうがよさそうですね。

4.接続: ラック配置を見ていただくとわかりますが、C-27とC-290Vの間にDG-38を挟めるんですね。これも迷いました。丁度2MのSAECのバランスケーブルがあったものでそれで直でプリにつないだ音と、アキュのラインケーブルでDG-38を経由させた音をかなり長時間比較検討したのですが、大音量を入れた時の音像の彫りの深さと音の滑らかさ、そして周波数補正が自由な事でDG-38経由と決めました。
 普通音量時のバランス直接接続のフレッシュさも捨てがたいのですけれども、両方繋いでおくとアースループの問題か、どちらもやや音が悪くなりますので泣く泣くあきらめました。

5.インピーダンス負荷、ゲイン: フォノイコ自体で唯一といって良い調整項目です。私の使用カートリッジはLyra Heliconで、内部インピーダンス5.5Ω、推奨負荷抵抗は10~47kΩです(広っ!
 今までの内蔵型では100Ω受けがmaxでかつベストでしたが、C-27では300Ω、1kΩも選べます。100が一番アナログらしい音で無難な気もしましたが、300Ωにすると音場が一回り広がりかつ微細な音情報が更に聴き取り易くなります。1kΩまであげると音が逆に薄くなってしまいます。ということで今は300Ω受けにしています。なお、それに伴いゲインも比較しました。内蔵型では68dBを選択していましたが、C27ではデフォルトの60dBで十分でハイゲイン(70dB)にする必要は感じませんでした。

6.フィルター: アナログでは10Hzフィルターが必要になりますが、これも当然C-27側で行います。従って、C-290V購入後初めてフィルターをオフにできました(笑。

7.針圧: 以上のような変更に伴い針圧も再調整しました。ヘリコンは1.6-1.75gという指定があり、最近は1.6gにしていましたが、C-27にして調整を続けた結果1.65gで今は一番良い状態です。当然これからも変化はあると思いますが。

C273  さて、肝腎の音はどうか?最初はこれをかけると決めていたWeather Reportの「8:30」で感じ取れた事は次の3点でした。

1. 自宅試聴であらためて聴感上のS/N比の良さ、背景の静寂さに驚きました。ノイズフロアーが底の見えない井戸のように低く、アナログにつきもののハム音はかなりボリュームを上げても全く聞こえません。ちなみにアースはC-27までしか取っていません。DENONの検聴ディスクでクロストークもチェックしてみましたが、以前より随分少なくなりました。

2: 静寂な背景から重石が取れたように軽々と音が立ち上がる。鳴りっぷりの余裕が内蔵型とは違う。これは試聴会での印象と同じで、左右独立の大きなトランスの効果が大きいと思います。

Riaa3: 音の輪郭が滑らかで柔らかく、ナチュラル。これはテフロン基板の効果に加えてRIAA偏差が10-100000Hzで±0.3dBという優秀な特性も寄与していると思います。

 その後色々なジャンルのLPをかけ続けましたが、上述したように、BDR pyramid conesを使った事でますます軽々と音像が広がり、今まででも十分と思っていた音離れが更に良くなりました。
 一方で明らかに音が軽くなり過ぎてしまいましたので、針圧を変えようかとも思いましたが、某氏宅でLPをかけ続けるに連れてどんどん音が良くなっていった事を思い出して、そのままで色々なソースを聴き続けました。

 嬉しい事に予想通りその後徐々に音の濃度が増していき、実体感を伴った音になりました。更には300Ω受けにした事で骨格のしっかりした広い音場が形成され、その中で微細な音情報もほぐれて聴き取り易くなり、曖昧さのない良い意味でのデジタルメディアの音に似てきたと思います。

 ということで二日目にして内蔵型とは一ランク違う音になり、とりあえず買って損はなかったと、安心しました(笑。驚いたのは低音の制動が凄く効くようになった事です。アナログは低音が緩いのが当然と思っていましたが、とんだ勘違いだったようです。例えば「Winelight / Grover Washington Jr」の一曲目「Winelight」のMarcus Millerのエレクトリック・ベースや、佐野元春の「Cafe Bohemia」の「99ブルース」冒頭のパーカッション、Norah Jonesの「Come Away With Me」のLee Alexanderのウッド・ベースなど、気持ち良く弾みますし量感も十分です。
 一体フォノイコで低音の制動が効くようになるものだろうか、しばらく大音量を入れて無かったのでウーファーがあまり動いてなかっただけかもと訝りましたが、その後の聴きこみでも確実に改善していると確信しています。おそらく負荷インピーダンスと針圧調整がうまくマッチしているのかな、と自画自賛しております(^^ゞ。

 またまた褒めたおしの記事になってしまいましたが、あくまでもアキュファンの当社比ですので、ご容赦の程を。まあアナログは調整点が数多くあり、上述したように針圧一つとってもまだまだ変わっていくでしょうし、某氏に教えていただいたLP洗浄液も届きましたし、年内は遊べそうです。

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