ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

誰も守ってくれない

誰も守ってくれない スタンダード・エディション [DVD]
はむちぃ: 今日の映画レビューは亀山千広君塚良一の「踊る大捜査線」コンビの警察映画「誰も守ってくれない」でございます。
ゆうけい: こん**は、織田裕二です、キタ~、、、なんてね<`ヘ´>
は: 山本高広だかものいいの吉田サラダの新ギャクだかわかんないリアクションはおよしなさいませ(--〆)。
ゆ: レッドカーペット賞取ったんだけどなあ(苦笑、というわけでふざけてる場合じゃございません、シリアスな映画でございます。
は: だ、誰がふざけてんだか(-_-;)、さっさと話を進めましょう、今回は「加害者家族の保護」という新しい観点から君塚良一様が日本の病根に切り込んだ力作となっております。

『2009年日本映画
フジテレビジョン/日本映画衛星放送/東宝

製作: 亀山千広
監督: 君塚良一
脚本: 君塚良一/鈴木 智
音楽: 村松崇継
主題歌:リベラ「あなたがいるから」(EMIミュージック・ジャパン)

キャスト:
佐藤浩市志田未来松田龍平石田ゆり子佐々木蔵之介佐野史郎木村佳乃柳葉敏郎 他

踊る大捜査線」シリーズの君塚良一が、佐藤浩市志田未来共演で描いたヒューマンムービー。平凡な4人家族の長男が殺人事件の容疑者として逮捕される。刑事・勝浦は、残された容疑者家族をマスコミと世間の目から保護するよう命じられ…。』

は: 「踊る大捜査線」のような派手さはございませんが、殺人容疑で逮捕された少年の家族を襲う、胸が痛くなるような理不尽な迫害と悲劇を観客に突きつける厳しいヒューマン・ドラマとなっておりましたね。
ゆ: まだ自白も得られていない段階で自宅前へ押し寄せる凶悪なマスコミ、警察の車を追うために暴走を繰り返すパパラッチ、2チャンネルや裏サイトを想像させる「祭り」と称して暴走する醜いネット社会、そして警察内部のキャリア組の出世欲、断片的にではありますが凶悪な少年犯罪が起こるたびに見え隠れする日本の醜い現実を系統立てて全て白日の下に晒したところに君塚良一の並々ならぬ意欲を感じますね。
は: 君塚良一様は「踊る大捜査線」の取材を重ねるうちに加害者家族の保護に関して興味をお持ちになり、10年間構想を暖めてこられたそうでございます。
ゆ: 興行的ヒットを狙うなら、一連の「踊る」のスピンオフ映画の一環として撮ってもよかったと思うのですが、そうしなかったところに君塚良一の並々ならぬ意欲を感じますね。所謂TV的リアリズム程度の誇張はされていると思いますし、ずばり賞狙いという意地悪な見方も無いではないですが、とにもかくにも賞賛に値するだけの出来になっているとは思います。

は: 映画自体の構成はいかがでございましたでしょう。
ゆ: 導入部が抜群に良かったですね。警察が少年宅へ踏み込み、少年の妹が学校で知らされ、表情が凍りつくあたりの経緯を説明する映像に一切のセリフや効果音を使用せず、リベラというボーイ・ソプラノ合唱団のテーマソングをかぶせるという手法が素晴らしい効果をあげていました。最近はエンドロールにテーマソングをかぶせる事が慣習化しているのでこれには意表をつかれました。
は: 普通の家族に突然降りかかってきた悲劇と美しく神々しいコーラスの乖離に強いインパクトがございました。
ゆ: 一連の「踊る」シリーズで過去にもこのような手法を使っていたような記憶はありますが、今回程強烈なインパクトを感じたことは無かったですね。それから加害者の自宅が只ならぬ騒動に巻き込まれ、佐藤浩市松田龍一が少年の妹(志田未来)を守るためにひたすらマスコミから逃げ回るあたりのスピード感は抜群でした。
は: そのマスコミを巻いたと思ったら今度はマスコミより恐ろしいネット社会が次々とプライヴァシーを暴き続けるあたりはホラーばりの恐怖感がございました。
ゆ: モントリオール世界映画祭最優秀脚本賞を獲ったらしいけど、このあたりの展開には向こうの人もビックリしたんでしょうねえ。日本人の陰湿さを世界に晒したような不快感はありますけど、過去に「踊る」シリーズで培った実力は認めざるを得ませんね。

は: その後の展開がやや弱いように思いましたが?
ゆ: そうですね、家族が崩壊しかけている刑事の心の傷であるとか、二人の警察官の会話であるとか、娘へのプレゼントと少女の関わりであるとか、逃げ回って最後に頼るペンションの夫婦と刑事の関係であるとか、少女の彼氏の不可思議な行動であるとか、「踊る」シリーズでも良く出て来る小ネタと伏線のオンパレードなんですが、そのあたりの処理がチョット弱いかなあと思いましたね。
は: 本筋が良く出来ていただけにその辺の弱さからか、最後の少女の行動が微笑ましくはあっても今一つ胸に迫ってこないのが惜しゅうございました。
ゆ: 「一生追いかけまわされるんだ」と佐藤浩市志田未来に言い放っておきながら、たった3日程度でマスコミやネットの耳目が他の少年犯罪に移ってしまって尻すぼみになるのも映画自体の構成としてはいかがなものかと(^_^;)。

は: 現実には近い事が起こっている事だけに余計に身につまされますよね。さて、俳優陣はいかがでございましょう?
ゆ: まっ、今の日本映画界で安心して主演を任せられるという点では佐藤浩市は一頭地を抜いてますね。そういう意味ではまあこれくらい出来て当然でしょう。「少年メリケンサック」のゲロ吐いてる中年のパンク親爺も良かったけど(笑。
は: 松田龍平さんはいかがでございましょう?
ゆ: 主人公と組ませると良い演技しますね、「背筋が凍るぜ」(笑。
は: 良い役者さんになられましたね。
ゆ: とは言え、父親の事を考えるとあと一皮剥けて欲しいところでしょうか。
は: いつもの「踊る」人脈からは柳葉敏郎様が友情出演というところでございますね。
ゆ: ギバちゃんはギバちゃん、何やらせてもあの演技、まあワンパターンですねえ、それが持ち味といってしまえばそれまでなんですが。

は: さて、少女を演じる志田未来様ですが、素晴らしい演技との評価が高うございます。
ゆ: 初めて見ましたが、まあまあ程度じゃないですか?少なくとも下手ではない、良く言えば堅実な演技でしたけど、全体に表情が暗すぎて一本調子でしたね。
は: どれほどの実力があるのか今一つ掴みきれなかったというところでしょうか。
ゆ: 起こった状況に適応しきれずにひたすら大人に反感を持って殻に閉じこもる、そして最後に心を開いて泣く、いかにもTV的で安直な演出をされると、はっきり言ってどんな美少女であろうと白けますね。そういう意味では監督の責任でもあるでしょう。しらけると言えば木村佳乃が演じる精神科医なんて、浮世離れし過ぎて思いっきり白けましたね。あんなに綺麗な人だとは不覚にして知りませんでしたけど(笑。

は: というところで、大筋としては硬派の力作で見るべき価値のある映画だとは申せましょう。
ゆ: そうですね、アイデアや演出自体はやや行き過ぎのところはあるにせよ良く出来た映画だと思います。あとはTVドラマっぽいキャスティングや演出から一歩踏み出せば、君塚良一は良い監督になるんじゃないかと思いますね。

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