ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

20世紀少年ー最終章ー「ぼくらの旗」

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ゆ: は~むちぃく~ん、あっそびましょっ!
は: ともだちですか、あんたは、って2回続けて同じ事を言わせないで下さいませ。
ゆ: というわけでウォームアップも終わった事ですし、いよいよ最終章、まいりましょうか。
は: こういう伏線を張っておられましたか、やれやれ(--〆)。

20世紀少年ー最終章ー「ぼくらの旗」
2009年、日本、配給:東宝

監督・脚本: 堤幸彦
原作・脚本: 浦沢直樹
脚本: 長崎尚志

キャスト: 唐沢寿明 豊川悦司 常盤貴子 平愛梨 香川照之 石塚英彦 宮迫博之 藤木直人 古田新太 森山未來 小池栄子 黒木瞳

“ともだち歴3年”の2019年、世界は世界大統領として君臨する“ともだち”に支配され、殺人ウイルスがまん延する東京は壁で分断。都民の行動は完全に制限されていた。そんな中、カンナ(平愛梨)は反政府組織として武装蜂起する一方、“血の大みそか”以降、行方がわからなくなっていたケンヂ(唐沢寿明)が突然現われる。』

は: 沢山の有名俳優方や第二作でご主人様が褒めておられた平愛梨様が熱演されてなかなかの迫力でございましたね。
ゆ: 本物の遠藤賢司も出てくるしね(笑。CGやVFXも頑張ってるし、ようこれだけ掻き集めたなと言うくらいエキストラも動員してるし、監督もやれる事は全てやり尽くした、と言う感じだね。

は: では三作の中でも一番の出来でございますか。
ゆ: 個人的にはね。ただし、三作中最低の方の一番だよ。
は: ええっ!?これだけ褒めておいて。。。。。(-_-;)
ゆ: それが不思議なんだよねえ。もう、

エンドロール後の最後の10分間を見るためだけにひたすら我慢

と言うくらいつまらなかった。退屈で退屈で

何でこんなに退屈なんだ

と自問自答しながら観てましたよ。
は: その答えは如何に?
ゆ: ともだち暦になってからの話だから全体に暗い、と言う事もあるんだろうけれど、結局は

覆面をかぶった人間が復活した事を全世界の殆どの人間がトリックだと疑わない

という、漫画では通用しても現実世界ではおよそありえない荒唐無稽なシチュエーションから映画が始まるので、各俳優がその役柄を真剣に演じれば演じるほど馬鹿馬鹿しさが募っていくんですよね。衆議院選挙で2回続けて「空気」という実体のないものに振り回された日本人でさえ、かつてのオウムや今回の諸派を誰一人として当選させなかったでしょう。

は: 確かに世界大統領と言う設定も、東京を隔離して昭和時代の町を作りあげるという設定も無理がありまくりですよね。
ゆ おまけにともだち側の軍隊が「地球防衛軍」ですから、ちっとも恐くない(苦笑。だからゲリラとの戦闘(それすら殆ど描かれないんですが)も子供騙しにもならない。いくらカンナおっちょユキジが頑張っても、いや頑張るのに反比例するが如くにどんどんしらけていくあの雰囲気はもう如何ともしがたかったです。

は: いくら漫画と実写の違いとは言え、あれだけよく考え込まれた漫画を何とかならなかったものでしょうかね?
ゆ: 第二作のように少数の登場人物を重点的に掘り下げれば何とかなったのかもしれませんが、今回は登場人物が多過ぎて時間の制約上細切れで出てくるんですね。だから個々の主役級の人々のエピソードが原作に比べてあまりにも浅い。となると、観る方はとりたてて感動する暇もないうちに最後の野外コンサートの場面に突入してしまう。それでスーダラなんて気の抜けた歌聞かされても感動しろという方が無理ですよ。あれがロックだと言われてもね~、高橋ユキヒロまで引っ張り出して(-.-)。ケンヂが手渡されるギブソンレスポールが泣いてますよ。
は: スタッフやキャストの皆様はとても感動してたそうでございますよ。
ゆ: 究極の自己満足ですな。映画作りで一番やってはいかん事でしょう。というか、

やっぱり実写化してはいけない素材

だったんでしょう。第一作の時に、前田有一のレビューを抜粋したけどもう一度読んでくれないかい、はむちぃ君。
は: かしこまりました。

『それにしても複雑なのは、(何度も繰り返したとおり)この原作が映画向きでないこと、傑作に仕上げることは絶対不可能ということを百も承知で、映画のプロたる人々が60億円ものビッグプロジェクトにGOサインを出してしまうという現実。 それについて、ビジネス面での理由以外に、納得のいく答えは見当たらない。いくら儲かるとわかっていても、60億円もかけてゴミを作るという発想は、私のような庶民には驚きであり、彼らの大物振りにはただただ驚嘆せざるを得ない。』

ゆ: ありがとう、もうこれ以上言う事もないし、おそらくその金を回収する事は可能な勢いですから日テレ系や東宝には御同慶の至りです。でも、三作付きあわせていただいた者として一言言わせていただくと、これが今の日本の映画作りのメインストリームかと思うと暗澹たる気持ちになりますよ。

は: さて、最後になりますが、冒頭でご主人様が言及されたラスト10分の「補完版」についてでございますが、これには満足されたと言う事でございましょうか?

(以下ネタバレになります、ご注意ください)

ゆ: そうですね、これがあったので辛うじて払ったお金に見合う作品となりました。おそらく色々なトラブルがあって21世紀少年で描ききれなかったラストシーンを浦沢直樹がこの10分間で描ききったのだと思います。結局原作とはかなり違った展開になったとは言え、ともだちの正体はやっぱり勝又君であり、彼が何故死んだ事になっていたか、という理由もはっきりします。また、堤監督が三作を通じてかけていたトリックのポイントがどこだったのかもはっきりしますね。
は: その少年時代の勝又くんをご主人様お気に入りの神木隆之介様が演じられてますね。
ゆ: 退屈なままなだれ込んだエンドロールで「神木隆之介」のクレジットを見て腰を抜かすくらいに驚きましたよ。
は: ええっ!?いつ出てきたんだって感じですか(^_^;)。
ゆ: そうそう。それであっ、ひょっとしたら、と思ったら、そうでした。 もちろんたかが10分程度ですから大した演技もしてないんですが、この映画観てて初めてドキドキしましたよ、彼はいいなあ、って私はホモじゃないですよ(笑

は: と言う事で、とにもかくにも前二作につき会われた方は最後の最後までお付き合いくださいませ。
ゆ: 日テレは第二作をTV版で思いっきり編集し直してきましたが、まあ、今度もやってみたらどうですかね。

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