ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

えるえむさんのCFRPボード

Bdrandcfrp
(上:えるえむさんのCFRPボード、下:Brack Diamond Racing; The Shelf)
はむちぃ: おっ、久々のオーディオネタでございますね、早いものでDynaudio Sapphireを導入して1年が経ちましたが?
ゆうけい: そうなんですよね~、特に不満無く鳴ってくれてるんで、時たまDG-38イコライジングで遊ぶ程度なんですけど。
は: けど、と申しますと?
ゆ: キャビネットが前のWilson AudioCub2のようなガチガチの堅牢な素材ではなく木ですから、ある程度の鳴き、響きはあるんですよ、だから前みたいにどこでもとりあえずBDR(Black Diamond Racing)のインシュやボードをあてがっておけばOKというわけにもいかなくなったんだよね。
は: 以前SPのスパイクベースにBDRをもってきたら響きすぎて急遽黒檀に替えられた事がございました。
ゆ: そうでしたね。あれで落ち着いて、その他の機器の足元は大体BDRでまとまってはいるのですが、画竜点睛を欠くなと悩んでいたのがプリアンプAccuphase C-290Vの足元だったんですよ。
は: Cub2の時はBDRのThe Shelfがぴったりマッチしておりましたのに?
ゆ: それがSapphireだとソースによって響きがやや過多になるんだよね。手持ちのインシュで色々やってみたんだけど、結局The ShelfをCDP(DP-85、今はCDTとして使用)に回して、C-290Vの足には面積の小さなThe Pitsをあてがうことでとりあえずは落ち着いたんですが、完全には満足出来てなかったんです。
は: 確かに残響の多い録音ですと、残響の多いリスニングルームとあいまって音が飽和してしまいますね。それにかなり重いアンプにThe Pitsではちょっと不安定でございますし。
ゆ: そうそう、やっぱりあれだけの大きさと重量があると、筐体の面積以上のボードが欲しかったんですよ。ただ、ラックの関係でThe Shelfの大きさが限度でもあるんです。
は: そこで、あの大きさで作る予定のあったえるえむ様のCFRPボードを予約されてずっと待ち続けておられたのですね。
ゆ: そうそう、ウェット・カーボンより軽量で強い強度が得られるドライ・カーボンをシステムの要に置けば今より音が締まるんじゃないかと思ってね、で、ついに先週待望のボードがやってきたわけです。

Preandcfrp は: で、この一週間いろいろなソフトをかけ続けておられたんでございますね。それにしても表面に樹脂状の光沢が無い上にBDRのようなメッシュの網目がございませんね。
ゆ: ドライ・カーボンCFRPプリプレグという基本となるシートを積層してオートクレーブで熱硬化して作るわけですが、えるえむさんによりますと、よくカーボン製品に見られる折り目のクロス材は最初と最後だけに用いて加工してあるだけの事が多いらしく、CFRP柄が人気だからという理由でそうしている製品が多いのではないか、とのことでした。だから、カーボン製品なら必ずああいうメッシュ模様があるというわけじゃないんですね。
は: 後はそのプリプレグの種類と積層数、密度、工作精度によって音が変わってくるというわけですね。
ゆ: そうそう、ただ、えるえむさんが依頼した会社の方はこれだけの厚さが必要なのかどうか疑問だとおっしゃっておられたようです。The Shelfと同じくらいの厚さなんですが、確かに薄型のシートでさえ音は変わりますからね。
は: それではThe Shelf For The Sourceの立場がございませんね(笑。それにしてもきっちりとした仕上げでございます。
ゆ: そうそう、このボードは市販の一部のカーボン系ボードにありがちな反りが全く無くて素晴らしい仕上げだと思いました。これだと安心してプリアンプとラックの間に敷く事ができます。それに加えてかなり硬質で、メタル系の製品に近い感触があったのが印象的でした。

は: で、肝心の音は如何でございます?
ゆ: そうですね、ボードで音作りをするわけではないので、余り変わりすぎても困るなと思っていたのですが一聴して激変はしなかったので逆に安心しました。もちろん感じ取れる変化はあるわけで、その第一印象としては

・ 音場の広さは殆ど変わりない
・ 音像はやや大きめ。輪郭がかっちりとして定位が良い
・ かなり歯切れが良くなる(高音域の残響が減る)
・ 少し音量が大きくなる
・ 高音域が若干きらびやかな方向になる
・ 低音は50Hz付近が若干盛り上がる

という感じでした。
は: 歯切れの良さやきらびやかさがドライ・カーボンの特徴なんでしょうか?
ゆ: 多分そうなんでしょうね。音量や低音の量感が増すところや響きがやや硬いあたりはメタル系に近い印象も受けました。
は: 実際周波数解析での変化はございましたか?
ゆ: DG-38で周波数解析をやりなおしてみたんだけど、見事に以前と変化無かったですね。この記事の上から二番目のリスニングポイントでのグラフと全く同じでした。聴感上は変化は確かにあるので石井伸一郎先生の測定器の様に精密なものなら多少の変化は出てくると思うんですが、まあ最初に申し上げたようにこれ見よがしな変化はありませんし、歯切れの良さは狙い通りですので、とにかく一週間ひたすら鳴らしこんで馴染ませていたわけです。

は: それで音は大分落ち着いてまいりましたでしょうか?
ゆ: もう、前の音を殆ど忘れてしまいましたね(笑。
は: 。。。。。(--〆)
ゆ: まあまあ、はむちぃ君そう怒らんでも、すっかり馴染んできたということですがな(苦笑。最初の変化にはCDTとプリの結線を一旦全て外して繋ぎなおしたことも関係していたと思います。上に挙げた特徴のいくつかは少しずつ目立たなくなってきました。
は: その中で確実な変化として残っているのはどんなところでございましょう?
ゆ: 歯切れの良さ音像のかっちりとした感じと若干きらびやかな傾向ですね。だから、クラシックのバロックなんかはやや派手過ぎるようにも思うんですが、それ以外のジャンルは概ねオールマイティに適応できていると思います。ちなみにこの一週間はDG-38の補正は左右のSPの特性を合わせるだけにしてイコライジング(-)で聴いております。

Nojima は: 歯切れの良さはどんなソフトで確認されましたのでしょう?
ゆ: まずはピアノのリファレンス曲「Nojima Plays Liszt」の「La Campanella」ですね、高音部の超高速パッセージをノジマは信じられないほど正確に打鍵しているんですが、その一音一音をSapphireに替えて以降では一番明瞭に表現できるようになったのではないかと思います。
は: 低音の響きやダイナミクスはCub2よりSapphireの方が圧倒的に良いですから、今までで一番素晴らしい再生かもしれませんね。後はもともと残響の多かったソフトでございますが?
ゆ: マリンバ奏者の三村奈々恵さんの「Prana」が大分聴き易くなりました。でも一番好きな「ラ・カリファ」は録音自体が飽和状態だとは思うのですが、やっぱり改善しきれなくて残念です。あと、Colour Caneの「A Taste Of」も曲によってはリバーブ過多なんですが、概ね破綻無く再生できるようになりましたね。
は: 合唱曲などは如何でございます?
ゆ: コルボレクイエムなんかはハーモニーがとても綺麗で見通しが良くなったと思います。ただ、先程から述べているきらびやかさ、硬質さがクラシック・ファンにはちょっときつく感じるかもしれませんね。まあここに挙げたのは拙宅での再生が特別難しいものばかりで、普通のソフトは難無くこなしてくれることを申し添えておきます。

は: 以上、BDRの長所であった音場の広さと音色の豊かさ、立ち上がりのハイスピード感に、ドライ・カーボンの歯切れの良さ、音像定位の良さによる見通しの良さが加わり、ほぼ目論見どおりの音と申せましょうか。
ゆ: はむちぃ君は良いこと尽くめの表現しかしていませんが、あくまでもカーボン系の音を追求される方には、ややメタル系の硬質感を伴うところが気になるかもしれません。ただ、あくまでもその変化は大きなものではなく、特別にきつい個性を持ったボードということではないので、例えばイコライザをお持ちの方なら自分の好きな方向への補正はそれ程難しくないと思います。
は: そういう意味では「素性の良いボード」であると言った方が良いかもしれませんね。
ゆ: そのとおりですね、えるえむさんが厳しい注文をつけて信頼できるメーカーが作成しただけのことはあると思います。えるえむさん、ありがとうございました、こんなレビューでも今後のご参考になれば幸いです。

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