ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

おと・な・り

Otonari
はむちぃ: 今回の映画レビューは「おと・な・り」でございます。
ゆうけい: 音が一つのテーマとなっておりますゆえ、オーディオファイルとしては見逃せません。
は: 嘘おっしゃい、当然ながら麻生久美子様狙いででございましょう。
ゆ: あ、やっぱそうなっちゃいます~?(^_^;)
は: Q太郎ネタはマンネリでございます(-.-)。
ゆ: まあ冗談はともかく先日の「情熱大陸」の麻生久美子さんは本当に魅力的でしたからね。その番組中で3つの映画の撮影シーンを紹介していたんですが、「ニライカナイからの手紙」で蒼井優、「虹の女神」で上野樹里の素晴らしい演技を引き出した名シェフ熊澤尚人麻生久美子をどう料理するのか興味をそそられ、この映画を選んで観てきました。ゆるゆる派の三木聡インスタント沼)はまた今度ね(笑。

『 
キャスト: 岡田准一 麻生久美子
監督: 熊澤尚人
脚本: まなべゆきこ
2009年 J・STORM

耳をすませば、恋がはじまる。】

人気モデルの撮影に忙しい日々を送りながらも、風景写真を撮りたいという思いを抱えるカメラマンの聡。フラワーデザイナーを目指して花屋でアルバイトをしながら、留学を目前に控えた七緒。同じアパートのお隣同士であるふたりは、ともに30歳、恋人なし。顔を合わせたことは一度もないが、壁越しに聞こえてくる音はいつしか、互いにとって心地いい響きになっていた。口ずさむ「風を集めて」のメロディ、フランス語、コーヒー豆を挽く音・・・。

音によって心を通わせるふたりの恋の行方は・・・。

監督は『ニライカナイからの手紙』『虹の女神 Rainbow Song』など、揺れ動く若者たちの感情をナチュラルかつ丹念にすくいとってきた熊澤尚人。主演に岡田准一麻生久美子。透明感あふれるふたりが、新しい物語を紡ぎだす。』

は: ほんのりと心温まる佳作でございましたね。
ゆ: いやあ、よかったですね~、泣くほどの物語でもないのにちょっと最後はウルウルきちゃいました(笑、帰って即はっぴぃえんどのLPを引っ張り出して「風を集めて」を聴いてしまいましたよ。
は: さすが「虹の女神」を撮った熊澤尚人監督ですね。
ゆ: 「虹の女神」では惹かれ合いながらも素直になれずに結ばれる事のなかった二人を上野樹里市原隼人に上手く演じさせましたが、今回は恋愛未満の二人の生活を淡々と描いていきながら終盤少しずつ二人の距離が縮まっていくところを上手くコントロールして「はっぴぃえんど」の物語に観客を引き込ませましたね。 

は: 映像面で熊澤監督は岩井俊二派とでもいうんでしょうか、光と影を上手くお使いですね。
ゆ: 日暮の湖のシーンやコスモス畑のシーンにその本領が発揮されていましたが、基本的にはストーリーと同じであまり凝りすぎずにオーソドックスに撮ってましたね。ただ、二人の生活の色分けにちょっとしたこだわりを感じました。
は: 麻生久美子様は花屋さんに勤めていて様々な色に囲まれており、片やカメラマン役の岡田准一様の所属するオフィスは白と黒のモノートーンで統一されていて対照的でございました。
ゆ: 二人の生活環境の違いを上手く演出していましたね。 

は: その二人が古いアパートの隣同士でありながら生活時間の違いからお互いを見かけた事はないものの、様々なでお互いを意識しあっているわけですね。
ゆ: 映像とともに今回の重要なテーマですね。鍵のジャランと響き合う音、ドアベルの音、コーヒー・ミルの音、フランス語レッスンCDの声、そして「風を集めて」の鼻歌、色んな音に意味を持たせていましたね。ただ、それがストーリー展開に少しばかり無理を強いていたり、逆にストーリーに今一つ絡みきれていないきらいはありましたけれど。
は: そのあたりはまなべゆきこ様の頭の中で描いた音と実際の演出での効果の齟齬があったのでございましょうね。
ゆ: ことほど左様に音を扱うとは難しいものなのですな(笑。でもね、映画が終わった後パンフレットを読んだらまなべゆきこさんが

「モノローグ無しで書こうと決めていた」

と語っておられたんだよね、これには一本取られました。観ている間は全然気づかなかったんですが、これを読んでから思い返すと、対談で麻生久美子が語っていたように鳥肌が立ちました

は: 音楽としてははっぴぃえんどの「風を集めて」が効果的に使われておりました。麻生久美子様がいつも鼻歌として歌っておられ、岡田准一様はそれを高校時代合唱した事があるから知っている、と言う設定でございました。
ゆ: 二人が全く別世界に暮らしているように見えて実は と言う伏線のネタとして、リアルタイムで聴いていた世代としては嬉しい採用ですね。それにしても30歳前後の世代だとこの歌を高校時代合唱するんですねえ(笑。
は: この伏線をうまく一番の見せ場のシーンに繋げておりましたね。
ゆ: 壁越しに見知らぬ二人が初めて気持ちを通じ合う場面ですね、今年見た映画の中でも出色の名シーンだったと思います。

Otonari_2
は: さてお待たせいたしました、麻生久美子様ですがいかがでございましたでしょう。自分と等身大の役柄がやっと来て嬉しかった、と語っておられますが。
ゆ: 今まで等身大の役柄が無かったとはねえ、麻生久美子の七不思議ですな(笑。本当に先日の「情熱大陸」での素の部分と殆ど変わらない感じでしたね、それでいてちゃんと演技になっていて何の違和感もない。オダギリジョーをして麻生久美子は生まれついての映画女優と言わしめたのが良く分かりますね。
は: とは言え、パンフレットのまなべゆきこさんとの対談を読みますと、脚本をよく読み込んで理解していることも分かります。
ゆ: そうですね、でも彼女の場合理解と言うよりは肌で感じ取ると言ったほうが正しいかもしれませんね。

は: お相手役の岡田准一様はいかがでございました?
ゆ: 男前は得やのう(笑。まあ冗談はともかくとしてスクリーンの大写しに耐えられるだけの演技はしていましたよね、
は: ジャニーズでも何人か映画俳優として合格の人はいますけど、その一人でございましょうね。
ゆ: おっ、はむちぃ君言うねえ(笑。付け加えると音の映画に臨むということで「善き人のためのソナタ」を意識した、とパンフレットで語ってましたがこれには感心しました。

は: その他の役者さんはいかがでしたでしょうか?
ゆ: 堅実に脇を固められる人を配していますね、厳しい事をいえばそれ以上でも以下でもないキャスティングですけど。まあ、森本レオさんは久しぶりにはまり役でした。一点だけ文句を言わせていただくと、デリカシーのない女に関西弁を喋らせるのだけは勘弁して欲しかったです。

は: と言うわけでございまして、麻生久美子ファン必見の佳作でございます、是非どうぞご覧下さいませ。
ゆ: 映画館に行きますと、野島聡(岡田准一演じるカメラマン)撮影の写真も見られますよ、それにつけてもサイン入りのポスター欲しいのう。

は: ところでご主人様の基調音(普段意識していないけれどいつも聞こえていて、聞こえなくなると不安になるもの)は何でございます?
ゆ: そうですねえ、アンプのスイッチを入れる音ですかね(^_^;)。学生時代からず~っと長い間Sansui AU-607を使っていたんだけれど、そのトグルスイッチを上げると

「カシーン!」

っていう金属音的な付帯音を伴う音がしたんだよね、あれが好きでね、あの残響の無いスイッチを入れても今一つオーディオを聴く、と言う心構えにならないんだよね。
は: 今はオールアキュでございますが?
ゆ: パワーアンプクリーン電源のスイッチにそれに似た残響音があるんだよね、この感覚は残していって欲しいですね。

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