ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

おくりびと

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はむちぃ: 皆様こん**は、本日はモントリオール世界映画際グランプリに輝き、アカデミー外国語映画賞にノミネートされました「おくりびと」をレビューいたします。
ゆうけい: こん**は、ブラッド・ピットです~、ベンジャミン・バトンで今度のアカデミー賞は頂きです~、ははっ、違うかっ!(^O^)
は: 違います、外国語映画賞でございます(--〆)。
ゆ: まあ、向こうの人にはこういうのは目新しいでしょうからひょっとしたらひょっとするかもしれませんが、まあそれよりキネマ旬報の2008年度ベスト1に選ばれていますから、それなりの映画なんでしょうね。

『 楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、業務内容は遺体を棺に収める仕事。当初は戸惑っていた大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。(シネマトゥデイ

監督: 滝田洋二郎
脚本: 小山薫堂
音楽: 久石 譲

キャスト: 
本木雅弘
広末涼子
山埼努
余貴美子
吉行和子
峰岸徹杉本哲太山田辰夫 他 』

は: 笑いあり涙ありで、死と向き合う仕事と親子の絆を捉えた佳作ではございますが、、、
ゆ: 何とも雑な映画ですね~、これが1位ですか~、キネ旬さん?脚本が生硬で先が読めてしまうのは、まあ映画初脚本の小山薫堂だからある程度仕方無いにしても、演出にアラがやたら目立ちすぎますね。とても「壬生義士伝」を撮った滝田洋二郎だとは思えませんでした。
は: 演出の瑕疵とは例えばどういうところでございますか?
ゆ: ストーリーがばれない程度に細部にこだわって言いますと

山埼努につけられた頬の傷が次のシーンではかけらも残っていない本木雅弘
タコが生きていると貰った時にわからない広末涼子
そのタコをわざわざ「」に放流したら死んでしまって唖然とする本木雅弘
隣の人が絞めてくれた鳥の「」を皿に乗せる広末涼子
の遡上が完全にオモチャ
親が残してくれたクラシック喫茶に残されたJBLDiatone(多分)をアナログで鳴らす場面があるのに、全くそういう風にイコライジングしていない
に実家に帰りに戻ってきて「妊娠」を告げる広末涼子
その間、やたら川原の土手でチェロを弾く本木雅弘
死後もう手を組んで貰ってるのにまだを握り続けていた故・峰岸徹(お悔やみ申し上げます)

ああしんど、これを見ると先日大した事が無いと言ってたクロサワの完全主義が懐かしいわ(爆。
は: 良くそれだけ並び立てたモノでございますねえ、オーマニならではのご意見もございますし(-_-;)。でも確かに言われてみればそうでございますね。で、脚本が生硬とはどういうところでございましょう?
ゆ: まあ、起承あたりはテンポもまずまずで良いんですが、そのあたりで誰と誰が死んでストーリーが転結するかミエミエになってしまうところが一番の欠点でしょうね。途中でラストがわかってしまう映画程情け無いものはありません。それでも吉行和子さんが亡くなって泣かせてくれる所くらいは評価して良いですけど、あとは商売柄もあってか全然泣けませんでしたね。

は: 商売柄、というお言葉が出ましたが、彼等がおくりびとならご主人様は

「おくりだしびと」

でございますね。
ゆ: まあね、言ってみれば我々の敗北から彼らの仕事が始まるわけで辛いのは辛いんだけど、結構繋がりの深いお商売なんですよね。
は: 病院でもある程度の処置はされるんですよね。
ゆ: そうそう、どこの病院の詰め所にも「エンゼルセット」て言うのがありましてね、この映画で納棺師が行う程では無いにしてもそれに近いような処置は、大抵の場合看護師がしてさし上げるんですよ。
は: それにしても納棺師と言うご職業が存在するのは存じ上げませんでした。
ゆ: 外国人の方が見ると日本の伝統技術集団だと勘違いしそうですが、昔は大抵親族が行っていたし、今も必ずしも遺族の前であのような方が納棺されるわけではなく、葬儀会社が見えないところでされている場合も多いと思いますけどね。
は: パンフレットによりますと、1969年ごろに函館で漁船沈没事故があった際に30以上ものご遺体を納棺する際地元の花屋さんが手伝ったのがきっかけらしゅうございます。
ゆ: 歴史は浅いんですね。まあ、「死」というものが見えにくくなっている事が現在の日本人の精神の荒廃に影響していると常々思っていますので、こういう形で目の当たりに「死」を見る事ができるのは良いことだと個人的には思いますね。

は: それなのにこのお仕事が忌み嫌われているのがこの映画でも大きいテーマになっておりますね。
ゆ: 井沢元彦氏曰くの「穢れの思想」ですね。広末涼子がこの映画で一番難しかったと語った

穢らわしいっ!

と叫ぶ場面がいみじくもそれを象徴していますね。彼女が「穢れの系譜」やこの職業におつきになっている方のバックグラウンドまで理解して演じていたかは分かりませんが、日本人の無意識の精神の中に刻み込まれているのが良くわかるシーンですね。
は: 職業に貴賎の区別は無いとうわべでは申しておりますが、、、
ゆ: 実際は日本人が文明を築き始めた頃からはっきりとつけてきたんですね。同和教育とか大きな事を言ってても、こういう映画を見ると現実がどういうものかが良くわかりますね。

は: さて、俳優陣の頑張りはいかがでございましたでしょう。
ゆ: これもまずまずと言うところですね。山埼努、吉行和子余貴美子あたりのサポートあってこその、本木、広末の好演だったと思いますが、これで広末にハリウッドからオファーが来ると言うのもちょっと過大評価かなと思いますね。それにしても本木君、服を脱ぐと凄いんですね(笑。

は: という事で最後に一言お願いいたしいます。
ゆ: はっきり言って、外国人には物珍しいので過大評価され、それを日本人が真に受けているところがあると思います。虚心坦懐に見ればもっと改善点があったと思いますから、今回のスタッフはもっと精進してよりよい映画を作って欲しいです。