ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

椿三十郎

椿三十郎 通常盤 [DVD]
はむちぃ: 皆様お久しぶりでございます、筆頭執事のはむちぃでございます。最近執事と羊を間違えるCFが流れておりますが、「しつじ」でございます。
ゆうけい: 良く家内に、「ちょっとそこのひつじひつじ」、と呼ばれておりますからな(笑。
は: ショボンでございます(涙、とまあ前置きはさておきまして、今回のレビューはその奥様が大ファンの織田裕二様主演「椿三十郎」でございますね。
ゆ: そうそう、私も彼の演技力や映画への情熱は評価しておりますので、クロサワ映画への挑戦は興味があったんです。劇場へは行けませんでしたがやっとDVDで観る事ができました。
は: 一部には無謀な挑戦できいちご賞の方に近いんじゃないかという噂もございますが?
ゆ: 私はクロサワ映画にそれほどの幻想は抱いていないんですよ。彼の映画は芸術映画ではなく大衆映画だと思ってるクチですので名前負けなんか気にせずに面白いリメーク版ならどんどん作っちゃえば良いと思うんですよね。三船敏郎にしても以下同文です(笑。
は: 承知いたしました、では解説から参りましょう。

『1962年に公開された、巨匠・黒澤明監督と主演・三船敏郎コンビの不朽の名作『椿三十郎』の主人公は、当時日本全国の観客の圧倒的な支持を受けた。

一見、無精ひげを生やしたただの素浪人。しかし類まれなユーモアで人を煙に巻き、卓越した知恵で多くの試練を乗り越え、その必殺の剣で絶体絶命の危難をなぎ倒す。しかし、なにより人々を魅了したのは「弱い立場の人々を、困っている人を見て見ぬフリができない!」という、その心意気。ちょっとおせっかいかも知れないが、頼りになる男・椿三十郎の手に汗握る活躍を描いた、超一流のエンターテインメント作品が、ついにDVDで登場!!

製作総指揮:角川春樹
監督:森田芳光
原作:山本周五郎「日日平安」
脚本:菊島隆三小国英雄黒澤明
音楽:大島ミチル
出演:織田裕二豊川悦司松山ケンイチ
風間杜夫・西岡馬・小林稔
中村玉緒藤田まこと
2007「椿三十郎」製作委員会
AMAZON解説より)』

は: 脚本を殆ど変更せずになおかつなかなか面白く楽しめる娯楽映画になっておりましたね。
ゆ: 普通の映画としては十分合格点じゃないでしょうか、織田裕二の侍姿とあの疳高い声も意外と違和感がありませんし、豊川悦司もタッパの大きさが幸いして好敵手としての存在感を示していましたね。
は: マスコミや評論家の方々には織田裕二様に対する反感が結構多いようでございますね。
ゆ: すぐにみんな三船・仲代と比べるとどうしても見劣りが、なんて言うんですよね。名前だけで頭から向こうは大物こっちは小物なんて決めつけちゃあいけません、個人的には娯楽映画として十分な演技をしていたと思いますよ。

は: あえて俳優陣で難点を探すとすれば、いかがでございましょう?
ゆ: そうですねえ、やっぱり今の若い女優さんには着物姿と台詞回しが似合いませんね。鈴木杏なんか、蒼井優ちゃんとの名コンビ作「花とアリス」ではハマり役でしたが、今回はちょっと違和感ありましたねぇ、まあこれはもう時代や若い方の体型からして仕方ないんですけどね。
は: その点、中村玉緒様など、手なれたものでございましたね。
ゆ: 実は時代劇映画は久しぶりでいらっしゃるそうなんですけど、何の違和感も無く良い味出しておられますよね。

は: 原作は当然モノクロでございますが、今回はカラー映画でそれを活かした演出もございましたね。
ゆ: 椿の色を出すのに昔は苦労したという有名なエピソードがあるのを意識したんでしょうね、それを今回は逆手に取ってど派手に演出しましたね。これはまあ賛否両論出ても仕方ないでしょうけど。それと対象的なのが最後の対決シーンでの血しぶきですね。
は: 1960年代には衝撃的なシーンでございましたでしょうけれども、今の時代あの程度の血しぶきではそれほどの刺激はございませんものね。
ゆ: そうですね、その点が森田芳光には辛いところだったでしょうけど、敢えて無理な演出はしなかったですね。だから映画の流れの中で特に違和感無く演出されており、こちらは無難におさめたと評価できると思います。

は: では森田芳光監督のクロサワ映画のリメークの手腕は合格点ということでよろしいでしょうか。
ゆ: まあまあそうですね、前田有一35点はご愛嬌としても(笑、60点以上はあげて良いんじゃないでしょうか。あえて言わせてもらうと、テレビの影響なのか織田裕二のリクエストなのか、どアップのシーンが多くて原作と比べるとちょっとテンポが停滞するところがあったように思います。原作があの時代にしては凄くテンポの速い映画でしたので現代の映画のテンポから考えるとせわしないくらい速くなるかと思ったんですがその点は意外でしたね。
は: そういたしますと、黒沢様はあの時代には傑出した軽快なテンポの時代劇を作っておられたんでございますね。
ゆ: もちろん編集の野上照代さん、脚本の菊島隆三さんといった所謂「黒沢組」全体での評価をしなければいけないと思いますが、そう考えて良いでしょうね。

は: では最後に一言お願いいたします。
ゆ: 「世界のクロサワ」と言う名前に引けをとらないだけの価値のある作品になっていると思います。若い方でこの映画を面白いとお感じになれば、ぜひ原作の方も観て頂きたいですね。あと一言言わせてもらえば、もともとこの映画は「用心棒」の続編として製作されたという経緯があります。できれば織田裕二にはその順番でやってほしかったかなと思いますね。