ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

靖国 YASUKUNI

靖国 YASUKUNI [DVD]
はむちぃ: みなさまこん**は、本日は12月8日でございます。何の日かと申しますと、
ゆうけい: もちろん知ってます、ジョン・レノンの命日ですっ、はは、違うか!(ものいい、吉田サラダ風)
は: ま、ご主人様の世代にはそうでございますが、本日レビューの映画から推量してくださいませんと。。。(-_-;)
ゆ: わかってますがな、67年前の今日、真珠湾攻撃で日米が開戦したのです。
は: というわけでございまして、本日の映画は右翼左翼政治家マスコミを巻き込んで大変な騒ぎになりました、問題のドキュメンタリー映画YASUKUNI」を取り上げてみたいと思います。あえて政治思想には踏み込まないゆうはむ映画レビューにしてはかなり危険な取り組みですございますね。

ゆ: まあ去年は「太陽」を取り上げていますから全く政治思想に関心がないわけではないんですが、今回は二つのモチベーションがあるんですよ。
は: ほう、ではその一つ目とは?
ゆ: 実は先日、田母神俊雄(当時防衛省航空幕僚長)なる御仁が「日本は侵略国家であったのか」という懸賞論文を書いて物議を醸したでしょ。
は: はいはい、政治家マスコミを巻き込んで大騒ぎになり、結局免職で無く、異動定年という形で決着されました。
ゆ: それそれ、そうなんだけど、大騒ぎした割りに論文の内容・質については語ってないでしょ。
は: 確かに防衛省幹部が「侵略戦争ではなかった」と発言しシビリアン・コントロールを乱したという点だけが取り上げられておりますね。
ゆ: で、調べてみたらここに載っていたんだけど、これがまあビックリ、たった9ページのいわば稚拙な感想文でおよそ論文の体をなしていないんだよ。
は: 確かに論文にあるべき要旨、目的、方法、結論、考察、引用文献と言う体裁がまったくありませんね。
ゆ: 当選させるほうもさせる方だけど、これで踊らされるマスコミもマスコミだね。おそらくこれは2チャンネル用語で言う「釣り」を誰かが意図的に仕掛けたと思うんだ。どこかの雑誌やネットには黒幕の推量が載っているんだろうけどね。

は: 国会招致にまで発展させた野党はまんまと罠にはまったと言うわけですか?
ゆ: そう、大笑いして拍手喝采してる奴がきっといるんだろうね。そう言う意味でこの映画にまつわる大騒ぎも一種の「釣り」だと思うんだ、それを堂々と主張してるのがいつも紹介してる「前田有一の超映画批評」なんだよ。
は: ふむふむなるほど、普段は冷静な前田様が「0点」をつけてかなり激烈な批判を展開されてますね。
ゆ: そうなんですね、ただそれを鵜呑みにしていてはいけないと思ってこのタイミングで観ようと思ったわけなんです。これが第二のモチベーション。
は: 了解でございます、そこまでご主人様が深く考えられておられたとは存じませず失礼いたしました、では恒例の内容紹介に参りましょう!

ゆ:、でもはむちぃ君!その前に一言言わせてくださいっ!
は: はあ、なんでございましょう?
ゆ: ものいいイロモネア出場権獲得おめでとう、違うかっ!
ゆ: 違いますっ!(--〆)

『上映中止の映画館も続出、政治家をも巻き込んで社会現象を生み出した問題のドキュメンタリー!!
真のアジア友好を目指す合作映画!!
東京・九段下にある「靖国神社」に関る様々な人々を、10年に渡って撮り続けたドキュメンタリー。毎年8月15日の終戦記念日になると、そこは奇妙な祝祭的空間に変貌する。旧日本軍の軍服を着て「天皇陛下万歳」と猛々しく叫ぶ人たち、的外れな主張を並べ立て星条旗を掲げるアメリカ人、境内で催された追悼集会に抗議し参列者に袋叩きにされる若者、日本政府に「勝手に合祀された魂を返せ」と迫る台湾や韓国の遺族たち。狂乱の様相を呈する靖国神社の10年にわたる記録映像から、アジアでの戦争の記憶が、観るものの胸を焦がすように多くを問いかけながら鮮やかに甦ってくる。そして知られざる真実がある。靖国神社のご神体は刀であり、昭和8年から敗戦までの12年間、靖国神社の境内において8100振りの日本刀が作られていたのだ。「靖国刀」の鋳造を黙々と再現してみせる現役最後の刀匠。その映像を象徴的に構成しながら、映画は「靖国刀」がもたらした意味を次第に明らかにしていく。
靖国神社のご神体が「刀」であるという考えは、制作会社である有限会社龍影の見解によるものです。(AMAZON解説より)』

は: 散々前振りを展開した割には退屈な映画でございましたね。。。。。
ゆ: そうそう、内容を伴っていないのに大騒ぎになったところが田母神論文とそっくり!
は: いつもは「映画」としての評価を優先される前田様が内容の吟味に終始されておられるのも不思議でございます。
ゆ: そう言う意味では「釣り」の映画と分かっていて「釣られて」しまった面もありますね。一個の映画として見た場合、内容の掘り下げは浅いし、全体の構成、画質のムラ、ロケでのポータブルカメラのフレームワーク、そして編集と全てがアマチュアレベルだと思いましたね。ドキュメンタリー映画としては落第のレベルですね。
は: 公式HPを見ますと李纓と言う監督はそれなりの実績を持っておられるプロでございますが。
ゆ: ちょっと信じ難いですね~。

は: 靖国に刀を奉納する90歳の刀匠のインタビューと終戦記念日靖国の騒動を交互に写しながら映画は進行していくのですが、肝心の刀匠のインタビューがはむちぃメ良く理解できませんでした。
ゆ: まるで噛み合っていないまま進んでいきますね。腹立たしいくらいいらいらしました。大体が、90歳の御高齢の方に政治思想を無理やり語らせようとする姿勢はいかがなものかと思います。インタビュアもインタビュアです、多分監督自身がインタビューしてるのだと思いますが、失礼ながらまだ日本語が十分お達者じゃなくて、あの程度の稚拙な日本語の質問では何ら有意な返事を引き出すことはできないでしょう。
は: どちらがわにも通訳をつけていただきたかったですね。もしあれが監督の「」だとすれば、最後に「私は小泉(純一郎)さんの靖国参拝に賛成」の一言だけを引き出したかったみたいな感じですね。

ゆ: というか、そこだけ辛うじて日本人でもディクテーションできたという感じですね。
は: では、前田様のおっしゃるようにやっぱり「0点」の映画なんでしょうか?
ゆ: 0点は厳しすぎるでしょうけどね、あの靖国での騒ぎは一応本当に起こっておるんでしょうし。
は: 靖国信奉派、反対派、宗教的違憲論者、合祀反対派それぞれの言い分はちゃんと語らせておられますしね。
ゆ: そう言う意味では意図的な編集は避けてますよ、と言うスタンスは守っているように思います。だから編集の仕方によっては結構しっかりしたドキュメンタリーになったかもしれないと思うと、少し未練の残る映画ではありますね。

は: では最後に一言お願いいたします。
ゆ: 靖国と言う存在にある程度の見識をお持ちの方にはあえて観るまでもない出来の映画ではあると思います。これから国際政治を勉強したい、と言う方にはどのように中立であろうと努めても、中国の方が靖国を語ろうとするとこのようなバイアスがかかる、と言う点を学んで欲しいですね。
は: もちろん日本による戦争被害者の立場からすると当然のことなのですが、ドキュメンタリー映画の難しさを痛感いたしますね。