ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

DG-38導入記(3)ヴォイシング編

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 さて、部屋特性を調べたところで、いよいよヴォイシングに入ります。ヴォイシングとは簡単に言うと計測した周波数特性を元に左右のスピーカーの周波数特性を揃えて音場を補正する事ですが、DGシリーズの場合、幾つかの方法で希望の周波数カーブに調整しなおすことができます。例えばDG-38の説明書には3種類の補正方法が書いてあります。

A: 内蔵した「フラット、2KHz以上-1dB/oct、2dB/oct、 -3dB/oct」の4種類の補正パターンから選択
B: 部屋の周波数特性から目標カーブを自動生成
C: スピーカー特性と部屋特性の計測をトータルに分析して自主的に補正する

の三種類ですが、まずはステレオサウンドの特集の順番どおり、定在波の影響のない音を聴いてみる為、Aのフラットな補正を行ってみました。実は部屋特性計測の時に自動で出来ているんですね。それでいろんなソースを聴いてみる事にしたんですが、音場がなんとも平板、ボーカルの定位も後で行ったBに比べると曖昧で、定在波が取れるとこんなに音が悪くなるのか(笑)と感心しました。まあ、数枚が限度でした。

 そこで、Bに進む事にしました。冒頭写真の一番上のAUTOがその目標カーブです。これでヴォイシングした結果、このような周波数特性になりました。

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(補正前)

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(補正後)

 ご覧になれば分かるように、周波数特性の変化はごく僅かですが、、左右のスピーカー特性が揃っています。このように左右の特性を揃える事がこの方法の主目的です。
 結果ですが、これは効きます!ボーカルや各楽器の定位がくっきりと分離し、ボーカルは前に出て、前後方向の音場の深みが出ます。どるさんに先日コメントしていただいた通りです。拙宅のような左右非対称の部屋ではセッティングで詰め切れないところがある事が良く分かりました。

 補正は何度でもできますし、20パターンまでSAVEできますので、冒頭写真のように数パターンヴォイシングしてみました。一応上記Cの方法と考えていただいて良いかと思いますが、なにしろSapphireの特性がフラットなものですからあまりスピーカー特性の補正は考えなくてよさそうです。冒頭写真にそのうち3種類を載せています。

写真2段目:補正カーブをなだらかにしてみる
写真3段目:柳沢功力先生推奨の三つ山カーブに近づけてみる
写真4段目:石井伸一郎先生の推奨される補正カーブ

 正直なところ石井先生の補正カーブにヴォイシングすると、フラットの時より更にもこもこした音になり、クラシックでさえ聴くのが辛いです。このカーブが拙宅に合っていないのか、内振りには向かないのか(マイク位置をSPの音軸の交点に持っていってもやはりダメでしたが)、あるいはディップを無理やり持ち上げすぎると音がひずむのか、色々と理由はあると思いますが、とりあえずあきらめました(^_^;)。

 柳沢先生のカーブはそれに比べると補正幅が小さい事もあり、十分鑑賞に堪えます。ただ、やや音がきつくドンシャリとまでは言いませんがボーカルの輪郭が強調される感じを受けます。

 手前味噌ですが、今の所、補正カーブを少しなだらかにしたカーブが一番聴きやすいです。特にバスレフでブーミーになりがちだったフュージョンのキックドラムやベースなどが気持ち良く弾むようになりました。もし今オフ会で聴いてもらったら量感が物足りないと思われる方もおられるかもしれませんが、私にはこれ位が好ましいですので、しばらくこれをメインに聴きこんでいこうかと思っています。

 当然ながらDG-38にはイコライジング機能も付いています。ヴォイシングは出来る時が限られますので、その後はフラットヴォイシングしたメモリーをもとにイコライザーで調整して理想のカーブにチャレンジしています。柳沢先生曰くの「真っ白いキャンバスに自分の絵を描いていく」作業です。

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 この写真もその一例ですが、凡人の悲しさ、ついつい自動補正カーブに近づけてしまいます(苦笑。ステレオサウンドの付録のような補正パターンでの音の特性の変化を参考に今後も勉強していきたいと思います。

 3回にわたる長いお付き合いありがとうございました。一応説明書だけは完全に理解したつもりですが、アドバイス、ご指摘等ありましたら遠慮なくコメントくださいませ。