ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

フォーレのレクイエム / コルボ&シンフォニア・ヴィルソヴィア

フォーレ:レクイエム(189
 以前から幾つかのクラシック関係の記事でtakiさんやどるさんに宗教曲を勧められており、一度はライブでベートーベンの「ミサ・ソレムニス」も聴いたわけですが、正直なところあまり進展はありません(汗。ただ、ミサ曲として、HYさんお勧めのコルボの「フォーレのレクイエム」(1972年盤)は合唱の透明感と荘厳さに圧倒され、良く聴いています。

フォーレ:レクイエム

 これは確かに素晴らしいもので、フォーレのレクイエムの決定盤として長年君臨してきただけの事はある名盤だと思います。録音も素晴らしく、拙宅のリビングルームの天井が高い事のアドバンテージを感じる事のできる数少ないアルバムです(苦笑。

 ところでこのミシェル・コルボと言う方、殆どこれ以外で耳にした事がない方なんですよね。そこで先日ちょっと調べてみたら、何とまだご存命(1934年生まれ)かつ現役でがんばっておられるとの事でした。やはり、宗教曲がご専門で合唱曲指揮の専門家だそうです。そして、この「フォーレのレクイエム」はなんと四度も録音されておられるとの事、その最新盤が去年フランスのARENAレーベルから出ていたので買ってみました。

1:フォーレ:レクイエム op.48(1893年版)
2:フォーレ:アヴェ・ヴェルム・コルプス op.65-1
3:フォーレアヴェ・マリア op.67-2
4:フォーレ:タントゥム・エルゴ op.55
5:フォーレ / メサジェ:ヴレヴィユの漁師達のミサ(のちに小ミサ曲に改作)

ミシェル・コルボ(指揮)
シンフォニア・ヴァルソヴィア、ローザンヌ声楽アンサンブル
アナ・クインタンス(S)
ピーター・ハーヴェイ(Br)

 1972年版のレクイエムとは少し演奏が異なっており、1893年版を用いたそうです。まだオーケストレーションが完成されていない時期で、より静謐な演奏となっています。また、1972年版の時はボーイソプラノでしたが、今回はアナ・クインタンスと言うソプラノ歌手を起用しておられます。そして、バリトンピーター・ハーヴェイはコルボお気に入りの歌手だそうです。そう言った先入観のせいかもしれませんが、30年以上の時を経た二つの演奏を比べてみるとより成熟し達観した演奏という印象を抱きます。

 AMAZONのリンクには全く解説がありませんが、HMVには詳細な解説がありましたので一部引用してみます。

『名盤として知られる1972年盤(ERATO)、さらに表現が濃やかになった1992年盤(Virgin)、リンパ腺癌治癒を祝った復帰演奏会からほどなくおこなわれた日本での誕生日公演を収録した2005年盤(AVEX)と、コルボにはすでに3つの優れたフォーレのアルバムが存在しますが、今回は、シンフォニア・ヴァルソヴィアを指揮、合唱にはいつものローザンヌ声楽アンサンブルを起用し、前回同様、静謐な1893年版を用いて演奏しています(初めの二つは通常版)。

 のちに『小ミサ曲』として改作された『ヴレヴィユの漁師達のミサ』も収録されているのが心憎いところです。録音も秀逸。 』

 録音も秀逸と書いてありますが、録音されたのは「Abbaye Royale de Fontrevraud」という教会で、その写真がライナーノートに載っています。大聖堂はおそらくかなりの高さがあると思われ、所謂「ホールトーン」の収録具合は絶品です。
 楽器の響き具合が通常のスタジオ録音とは随分異なるのでやや戸惑う点はありますが、さすが合唱指揮専門家、ソロも合唱も唖然とするくらい美しい。特にソプラノのアナ・クインタンスは素晴らしいです。「Pie Jesu」は多くの作曲家が作曲し、多くのソプラノ歌手が単独で取り上げる素材ですが、この歌唱にかなうものはちょっと無いんじゃないかと思います。

 名盤の誉れ高い1972年版をお持ちの方でも買って損は無い一枚だと思います。「ホールトーン」を追求されておられるオーディオファイルの方も是非どうぞ。

Pie Jesu, Domine, 
dona eis requiem;
dona eis sempiternam requiem.

慈しみ深き主、イエスよ、
彼らに安息を与えてください。
彼らに永遠の安息を与えてください。