ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

暗いところで待ち合わせ

Kurai
はむちぃ: 本日の映画レビューは田中麗奈様主演の映画「暗いところで待ち合わせ」でございます。ちょっと古い映画でございますがこれはまた蒼井優様と田中麗奈様のバランスを取ろうという魂胆目的での紹介でございますか?
ゆうけい: ヒットせずといえどもノットトゥーファーですな(笑、取り敢えず良い映画は紹介せねばなりません(キッパリ。
は: またまたいい加減な事を(--〆)、ホントのところをおっしゃいませ。
ゆ: 実は先日深夜にオードリー・ヘップバーンの「暗くなるまで待って」をやってたので録画して観たんですよ。

は: 巨匠テレンス・ヤング監督の名作にしてオードリー様が一旦引退される直前の貴重な映画でございますね。そう言えばこの映画の製作者でオードリー様の元夫であったメル・ファーラー氏が先日他界されました、ご冥福をお祈りいたします。
ゆ: ありがとう、はむちぃ君、この映画はオードリーが盲目女性を演じるサスペンスなんですが、久しぶりに観てもハリウッドっぽいラストを別にすれば実に良くできていました。
は: オードリー様の演技力が大変高く評価された映画でございましたね。
ゆ: それで思い出したのが例のお二人なんですがぁ、つまりは蒼井優田中麗奈も盲目女性を演じた事があるなあと思ってたんですがぁ~、先日某ブログでこの映画を観よと背中を押してくださった方がいてぇ~、やっぱりぃ~観る事にしたんですよぉ~。
は: またまたいきなり若い女性のようなダルな会話を(-_-;)、ご主人様の頭の中のゼンマイがゆるんできたようでございます故、このはむちぃメがとっとと映画紹介に参らせていただきます。

『2006年日本映画
監督・脚本: 天願大介
原作: 乙一

キャスト:
ミチル: 田中麗奈
アキヒロ: チェン・ボーリン

井川遥
宮地真緒
岸部一徳
佐藤浩市

事故により視力を失い、父をも病気で亡くし、住み慣れた一軒家でひとり静かに暮らしているミチル。職場の人間関係に上手く馴染めず、孤立しているアキヒロ。そんな寂しさを抱えたふたりを引き合わせたのは、殺人事件だった。容疑者として警察に追われるアキヒロが、ミチルの住む家へと忍び込む。気配を消して居間の隅にうずくまるアキヒロと、自分以外のものの気配をなんとなく感じながらもいつもと同じリズムで生活を続けるミチル。ふたりの不思議な共同生活は、どこに向かっていくのだろうか……。』

は: うるうる、田中麗奈様のけなげなお姿に私メ痛く感動してしまいました。
ゆ: よかったですね麗奈ちゃん、本当に演技力がついたなあと思います。チェン・ボーリンもセリフが少ない設定がうまくはまって相手役としてリアリティがありました。
は: 脇をうまい俳優さんが固めておられるのも現実感溢れる映画になっていると思いました。
ゆ: 岸部一徳が出てきた時は「またかいな(^_^;)」と思いましたけど、うまく出番を「抑制」していて良い味が出ていました。佐藤浩市はまあ安心して観ていられますね、悪役で強烈な印象を残した「ホワイトアウト」の時よりもまだ憎憎しかったですけど(笑。
は: 麗奈様の他のお二人の女優さんも好演しておられましたね。
ゆ: 麗奈ちゃん、宮地真緒さん、井川遥さんと三者三様に全く違った雰囲気の美人ですね、脇を固めるのに好い人選だったと思います。

は: こうしてみますと実質6人舞台は田舎町だけ、特段の派手な演出もございませんし、結構低予算で出来そうな映画ではあるんですがそれ程の安っぽさを感じさせませんでしたね。
ゆ: 丁寧に作ってあるからでしょうね。例えば冒頭部でクレーンショットを撮ってるんですけど、駅のホームからパン・ティルトして螺旋状に目線が上がっていき駅を見下ろす主人公の家の窓(冒頭写真)まで風景を連続してみせるロングカットがあるんですね。かなり大掛かりなクレーンで俯瞰してるんだろうと思うんですが、一気に観客を物語の舞台に引きずりこむだけの迫力がありました。一見なんでもないシーンではあるんですが、そういうところにもそれなりの金をかけただけの効果があがってますよね。

は: 細か~、と奥様に突っ込まれそうですね、では良くできた作品と言う事で、、、
ゆ: ちょっと待っておくれやす~(嫋
は: ちょっと難しい事を言うとすぐにゼンマイが緩むんですから(;一_一)、で、何でございます?
ゆ: 演技や演出は堅実で良かったと思うんですが、脚本がね~、のっけからしてなんで父親がいきなり死ぬかね~、何の説明も無しに。
は: た、確かに(^_^;)。
ゆ: で、葬式に離婚した妻が表まで来るんだけど中には入らないんだよね、まあそれはいいけど、麗奈ちゃんが泣き叫んでるのに電車に乗ってとっとと帰っちまってそれ以後出番無しなんですからこの薄情ものめ(苦笑。
は: た、確かに、盲目の娘が一人取り残されたというのにあまりにも無責任でございますね。でもまあその位の事は目をつむりませんと話が進みませんよ。
ゆ: そ~なんだよ、はむちぃ君、これなんか、ほんの序の口なんです。もうこれ以上ネタバレさせるわけにもいかないんで具体的には書きませんが、

「こいつには体臭というものがないのか?」とか
「そ、そんな登場の仕方ありかよ」とか

もうツッコミどころ満載なんですな。一人一人の境遇や行動についてはきっちりと書けているのに複数の人物が絡んでくると矛盾や突拍子もない設定が次から次へと出てくる、これが今の日本映画の弱点なんだと思いますね。

は: な、なるほど、そう言えばラストシーンの雰囲気は良いのですが、今後どうなっていくのか不可解なまま終わってしまいましたね。
ゆ: すっきりしないなあという方もおられるでしょうけれど、私はそれに関してはハリウッド的でなくて良かったと思いますね。最初に紹介した「暗くなるまで待って」なんて、災難の原因を作った夫とその災難を一手に引き受けた妻が抱き合って喜ぶんですよ、どっちらけましたわ(笑。
は: そこまでの脚本が良くできているだけにいかにもハリウッド的な強引さでございましたね。
ゆ: そうそう、だから最後をハッキリさせるためにその伝でこの映画を作ったら、二人が結婚式を挙げてるとか、子供が産まれてるとかのハッピーエンディングを用意するしかなくなっちゃうんですよね、それを考えるとファジーなまま終わった方が余程良いと思います。
は: というわけで終わり良ければ全て良しでございまして、田中麗奈ファンはもちろん、そうでない方も是非ご覧下さいませ。で、蒼井優様の盲目役の方は?
ゆ: 「虹の女神」という映画なんですがこれまた脇役なんだよね~(涙。また機会があれば紹介します。