ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

百万円と苦虫女

Nigamushi_post_05
はむちぃ: さてオーディオネタは一段落いたしまして今日は映画レビューでございます。取り上げますのは天才女優蒼井優様久々の主演映画「百万円と苦虫女」でございます
ゆ: はははっ、森山未來君うらやましいぞっ、なっ、はむちぃ、違うかっ!
は: それは「ものいい」の吉田サラダのギャグ、、、(ーー;)
ゆ: 何もYoutubeにリンクする事もなかろうに(笑。
は: なにやら不安一杯ではございますが、取り敢えず作品紹介に参ります。

『監督・脚本: タナダユキ

キャスト:蒼井優森山未來ピエール瀧竹財輝之助齋藤隆成笹野高史佐々木すみ江

短大を卒業後、就職もできずアルバイト生活を送っている鈴子(すずこ)。ひょんな事件に巻き込まれ傷ついた彼女は、家族のもとを離れ、貯金が百万円になるごとに誰も知らない土地へ移り住むことにする。海の家、山の桃畑、郊外の街・・・行く先々で様々な人たちと出会い、笑ったり、怒ったり、恋をしながら、少しずつ人の温かさに触れ大切なものを見つけていく・・・。 』

は: ライトなロードムービーと言ったところでございましょうか。
ゆ: ライトと言うか、浅いですねえ、飛び込み台は高いのに水深が浅いプールみたいな危うさを感じる作品でした。
は: またまたマニアックな比喩を(-_-;)、タナダユキ様は女性監督でいらっしゃいますので、そのあたりが映画のタッチに出ているのでしょうか。
ゆ: いわゆる感覚派と言ったところなのかな。タナダユキと言う人の作品は初めて見ましたが、確かに女性ならではの演出を感じるところもあるにはありましたけど、押しなべて人物造形やストーリー展開が浅くて話が胸に沁み込んで来ないですね。折角蒼井優と言う抜群の素材があるんですから、脚本からもっと丁寧に作りこんで欲しかったと思います。

は: 例えばどの辺が浅いんでございます?
ゆ: 主人公の鈴子を例にとってみますと、彼女が何故前科一犯を喰らってしまってそれで家を出て行く決心をしたのかと言うところからし

「バカみたい」

なんだよね。
は: 詳しくお願いいたします。
ゆ: ひょんな経緯から全く他人の男とルームシェアしなくちゃいけなくなって、そいつがバカみたいに自分勝手な奴で、鈴子の拾ってきた子猫を勝手に捨てちゃって、路上で死んでしまってたんですよ。それに怒った鈴子が男の荷物を全部捨てちゃったので刑事告訴された、と言う設定なんだけど、刑事事件になれば当然こちらにも弁護士が付くわけだし、つけられないような家庭でもなさそうだし、そうなりゃ相手のバカ男を所有小動物の虐待・殺傷で逆告訴してやりゃあいいんですよ、どう考えたって弁護士同士で和解に持ち込むしかないでしょ、拘置所に入れられたり、前科が付いたりするほどの事やってないですよ。あの性格の悪いバカ男の方がよっぽど制裁が必要ですね。
は: おおっ、蒼井優様をいじめる奴には情容赦ございませんね(^_^;)。
ゆ: もちろん(ー_ー)!!(キッパリ。まあそれは冗談としても、前科一犯の内容があまりにも浅過ぎてその後のエピソードに活かしきれていない印象を受けました。鈴子が旅に出るなら出るでもう少し深みと陰影のある人物像になるようなエピソードを用意して欲しかったです。そうでなきゃ、屁理屈つけないでさっさと旅に出しゃあいいんですよ。あとは蒼井優がどうにでもしてくれるんですから。

は: な、なるほど、ご主人様今日は切れまくっておられますね(大汗。で、では逆に女性監督ならではの感覚を活かした良い場面を挙げていただけますか?
ゆ: そうだねえ、反発ばかりしていた弟が心を寄せてきて二人で公園を横切って帰るシーンをロングで撮って、その次のシーンでいきなり海辺の町に切り替わるところは空気の匂いまでさっと変わった感じがして良かったですね。あと、鈴子が地方都市で知り合って恋心を抱いた森山未來君にファーストフード店で今までの事一切合切を吐き出しちゃった後、恥ずかしさで居たたまれなくなって突然店を飛び出し、怒ったように速足で歩くシーンとか、ですかね。

は: というわけで蒼井優様を語っていただきましょう。
ゆ: タナダユキ蒼井優の為にこの映画を用意したとのことですし、森山未來蒼井優と共演できるという一点でこの映画出演をOKしたそうです。まあスタッフ、キャスト全てが彼女の為に頑張ったと言えるんですが、それ以上に彼女が良く脚本を理解して努力している姿が好もしいです。
は: やっぱりべた褒めでございますね(^_^;)。説得力のある具体例を挙げていただけますか?
ゆ: タナダユキのインタビューを参考に、ラストシーンを例にとってみましょう。若干の未練を残しつつ森山未來君と分かれて町を出て行くため駅へ向かう鈴子。実は森山君が必死で追っかけてきていたのにすれ違ってしまいそれと知らず歩道橋の上で

「来るわけないか」

とにっこり微笑む。というシーンなんですが、タナダユキが最後の表情をどう指導しようか悩んでいたのに蒼井優があっさり演じ切ってしまってタナダユキは「あ、なるほど、これなんだ」と納得してしまったそうです。さすがですね。私も表情、セリフともに完璧だと思いました。
は: そう言えばカキ氷作り桃もぎもお上手でしたね。
ゆ: 彼女実生活でもカキ氷が大好きらしいんで、それを脚本に取り入れたのかもしれませんね。海も山も町も彼女が出てくると活き活きしてきてロードムービーという選択自体は良かったと思いますね。

は: ではついでに共演者の方についても一言お願いします。
ゆ: と言ってもまあ演技を語れるくらい絡んできているのは森山未來だけですけどね。「世界の中心で愛を叫ぶ」は脚本がひどすぎて無茶苦茶でしたが、彼の演技自体はフレッシュだったと思いますし光るところのある子だなとは思ってました。今回もいささかトホホな役柄なんですが、まあそれはいいっこ無しにして、蒼井優のお相手としては合格だと申しておきましょう。

は: 結局蒼井優を誉める事しか考えていないようなレビューでございましたが、ロードムービーがお好きな方にはお勧めです、是非どうぞ。ではご主人様最後に一言。
ゆ: 優ちゃん、いくらなんでも痩せすぎです、おじさんは心配だよ(オロオロ。