ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

秒速5センチメートル

秒速5センチメートル 通常版
はむちぃ: 今日は久しぶりにアニメの紹介でございます。心の琴線に触れるアニメでカルト的人気を博している新海誠様の短編集「秒速5センチメートル」でございます。
ゆうけい: 秒速5センチメートルとは桜の花びらが落ちていくスピードなんですが、この映画ではその他にも沢山秒速5センチメートルで動くものが出てきます。
は: そして若い男女のお互いの心の近づく心高鳴るスピードかもしれないし、或いは離れていく切ないスピードかもしれませんね。
ゆ: おっ、はむちぃ君も思春期かな(笑、本当に切なくて哀しくてそして美しいアニメですね。


Phg_15 第1話: 桜花抄

東京の小学生、遠野貴樹と篠原明里はお互い「他人には分らない特別な想い」を抱えていた。だが小学校卒業と同時に明里は栃木へ転校してしまう。中学に入ってからも文通を重ねていた二人だったが、その年の冬に今度は貴樹が鹿児島へ転校することが決まった。鹿児島と栃木では絶望的に遠い。「もう二度と会うことが出来なくなってしまうかもしれない。」そう思った貴樹は、栃木の明里の元へ会いに行く。しかしその日大雪が降りだして・・・・。その日、2人の間に「永遠」と「瞬間」が交錯して降り注いだ。

Phg_b8 第2話: コスモナウト
種子島の高校生、澄田花苗は、中学の時に東京から転校してきたクラスメートの遠野貴樹に恋をしていたが言い出せずにいた。貴樹が東京の大学へ行くと知った花苗は、想いを告げようと決心する。二人での下校途中花苗のカブが壊れてしまい、薄暮の道を歩く二人。花苗は自分の思いが決して届くことがない事を悟り、涙が止まらなくなる。振り向いて驚く貴樹の背中越しに轟音とともにロケットが遥か遠い宇宙へ旅立っていく。

Phg_29 第3話: 秒速5センチメートル
遠野貴樹は高みを目指そうとしていたが、それが何の衝動に駆られてなのかは分からなかった。大人になった自らの自問自答を通じて、魂の彷徨を描き、そのBGMに山崎まさよしの「One More Chance, One More Time」が優しくも哀しく 響く。貴樹はある踏み切りで偶然すれ違った女性を明里だと直感する。「僕が振り向けばあの人もきっと振り向くはずだ」双方向に電車が通り過ぎる間の長い時間。そして踏み切りの向こうには。

オフィシャルHPWikipedia参照) 

は: 男性主人公の中一、高三、そして社会人の三つの時間軸でのエピソードを描いておりますが、どれも切なくてそしてとても映像が美しくて感激いたしました。
ゆ: 桜、雪、星空、どれも丁寧に描きこまれていますね。特に宇宙センターのある種子島の空は非現実的なくらいに美しく描きこまれていて感心しました。それに比べると人物の作画がややステレオタイプと言うか、今風アニメの域を脱していない印象があります。ストーリーがどれも心の琴線に響いてくるものだけに、少し残念に思いました。

は: 声優さんはどうでしたでしょうか?
ゆ: 監督がインタビューで声優の選択について述べていましたのでフンフンなるほどな、と彼のこだわりが分かったような気がしました。ただ、第一話の中一の主人公の台詞は老成し過ぎていてちょっと違和感がありますね。もちろん第三話の時点での自分が過去の自分の心理を語っていると考えればそれでいいのかもしれませんが。

は: 内容をもう少し吟味いたしますと、第一、二話がしっかりと起承転結のあるストーリーになっているのに比べますと、第三話はエピローグ的な散漫さもあるように思いますが?
ゆ: アニメとして描きたいテーマは二つの作品で語りつくしてしまったんでしょうね。二作で少年少女の心の距離の揺らぎに重点が置かれていたのに対し、第三話は「大人になる事の痛切さ」が前面に出ています。監督には色々と考えるところがあったのでしょうが、おそらくあれ以上踏み込んで描く痛みを敢えて避ける事を選んだのでしょう。それは自身のためでもあり観客のためでもあるのかもしれませんが、出来ればもう少し細やかな心使いを以てストーリをもう少し練って欲しかった気もします。

は: とにもかくにも日本のアニメーションの質の高さを世界に誇れる作品でございます。青春の入り口に立った頃の自分を思い出してみてくださいませ。
ゆ: 明里が持っている本はトルーマン・カポーティの「草の竪琴」です。これもとても嬉しい設定でした。確かにカポーティの初期の小説の持っていた少年期の切なさに通じるところのある作品だと思いますので是非どうぞ観てくださいませ。