ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ザ・マジックアワー

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(オフィシャルHP壁紙より)
はむちぃ: ご主人様、先日の日曜日は雨の中、奥様と映画鑑賞にお出かけでございましたね。
ゆうけい: そうそう体調を崩してからは余程のことがないと出かけないんだけれど、夫婦揃って三谷幸喜ファンなもので、「ザ・マジックアワー」を観に行ってきました。
は: 日曜日でございますから混んでいたのではありませんか?
ゆ: それがまあ大変(^_^;)、丁度「インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」の公開後初の日曜日ということと、当日「僕の彼女はサイボーグ」の舞台挨拶に綾瀬はるか小出恵介が来るというのでまあ、朝から大変な騒ぎでございました(苦笑。でも、「ザ・マジックアワー」は8分入りくらいでしたが、さすが目の越えた方ばかりだったようで落ち着いて楽しく鑑賞できました。

は: とは言えもう観客動員160万人を突破したそうでございますよ。三谷様が余りにTVに出て宣伝し過ぎるので顰蹙を買っているという話もございますが。。。
ゆ: 探偵ナイトスクープ依頼を出したり、レッドカーペットでお気に入りの世界のなべあつを鑑賞したりしてましたね(笑。確かに今回は凄い露出度なんですが、裏情報によると最近ヒット作が出ずにピンチの亀山千広を助ける為という漢気で頑張ってるようですよ。CX系列以外はいい面の皮かも知らんけどね(苦笑。

は: で、三谷様の最新作の出来栄えはいかがでございました?
ゆ: もう良い意味でも悪い意味でも三谷幸喜は「日本のウッディ・アレン」と呼んで良い存在になりましたね。映画そのもの或いは映画作りそのものへの愛に溢れていて

「この映画の主人公は映画そのもの=主人公は三谷幸喜

だと見終えた直後に思いました。エンドクレジットの横の画面でホテルのセットが組み上げられていくので特にその印象を強くしたのかもしれませんが。

『港町・守加護(すかご)でギャング・「天塩商会」のボス(西田敏行)の愛人のマリ(深津絵里)に手を出した備後登(妻夫木聡)は、自分の命を見逃してもらうため伝説の殺し屋「デラ富樫(?)」を連れてくることになる。探しても一向にデラ富樫を見つけられない備後は苦肉の策として、売れない俳優・村田大樹(佐藤浩市)を映画の撮影と騙してデラ富樫に仕立てて乗り切ろうと画策する。相手が本物のギャングとは知らずデラ富樫を熱演する村田、村田と「天塩商会」に嘘がばれないよう四苦八苦する備後、村田をデラ富樫と信じる「天塩商会」の面々。それぞれの思いやすれ違いが行き交う中、次々と予期せぬ展開が待ち受ける。』

は: すかごという港町の名前からして、禁酒法時代のシカゴを描いたハリウッド映画のノリでございますね。
ゆ: 西田敏行局長がアル・カポネ(笑、それに加えて映画中映画も凝っていて、ジャン・ギャバン全盛時のフィルム・ノワール原健三郎大先生が脚本を書いてた頃の日本の無国籍アクション映画なんかを思い出しました。映画中映画の一つの監督役が市川昆さんなんですが、これが出演作としては遺作となったそうです。ご冥福をお祈りいたします。

は: そう言えば冒頭写真の街のセットがたまらなく懐かしい感じがいたしますね。
ゆ: そうなんだよね~、映画中でそう言うセリフを入れているところもニクイよね、個人的にはフランシス・コポラ監督が個人的楽しみの為に作ったんじゃないかと揶揄された「ワン・フロム・ザ・ハート」のセットをちょっと思い出していたのですが、後でプログラムを読んだらこの映画の事も言及されていて嬉しかったです。
は: ご主人様が大好きなナスターシャ・キンスキー様が胸キュンな役で出ておられた映画でしたね。
ゆ: 深津絵里ペーパームーンに乗って歌うところなんか、ちょっとナスターシャとダブってウルウルきました(笑。

は: ではその深津様をはじめとする俳優陣はいかがでしたでしょう?佐藤浩市様を初めとして、比較的三谷作品に縁の薄かった方がメインキャストに起用されていますね。
ゆ: 彼を初めとして本筋に三谷色の薄い俳優さんを多く起用したのは吉と出てると思いいます。その分常連さんは映画中映画に出てもらって帳尻を合わせてましたね(^_^;)、いやいや粋な演出だと思います。
は: 二枚目の佐藤様にコメディの才能がこれだけあったとは驚きでございます。
ゆ: 前作の「THE 有頂天ホテル」ではクソまじめな汚職国会議員役だったんですが、それを演じる彼を見てやれると確信したんでしょう、やはり三谷さん慧眼だと思います。
は: ヒロインの深津絵里様は?
ゆ: 映画「(ハル)」で良い女優さんが出てきたなと思ったんですが、「踊る大捜査線」シリーズ以降CX系列の作品ばかりと言うのは女優としての成長を妨げているんじゃないかと思ってました。でもまあ、この作品に出会って良かったんじゃないでしょうか。それにしても随分痩せましたねえ、病気じゃないかと心配なくらいです。
は: その他の方はいかがでございましょう?
ゆ: やはり「日本映画」を支え続けてきた伊吹吾郎さんが光ってますよね。あとはやはり三谷映画の押さえとして欠かせない戸田恵子さんでしょうか。彼女、やっぱり変幻自在だなあ。

は: というわけでほのぼのと笑って楽しめる小粋な映画でございます。
ゆ: 「映画」が好きな方ならどなたでも楽しめると思います、是非どうぞ。では、エンドロールに参りましょう(笑。
 

村田大樹(売れない三流役者) : 佐藤浩市
備後登(ボスの手下・クラブ「赤い靴」支配人) : 妻夫木聡
高千穂マリ(ボスの愛人) : 深津絵里

鹿間夏子(クラブ「赤い靴」従業員) :綾瀬はるか
天塩幸之助(ギャングのボス) : 西田敏行
マダム蘭子(港ホテル女主人) : 戸田恵子

黒川裕美(天塩商会代貸し) : 寺島進
長谷川謙十郎(村田大樹のマネージャー) : 小日向文世
鹿間隆(クラブ「赤い靴」バーテンダー) : 伊吹吾郎
清水医師(港ホテル滞在客) :浅野和之
菅原虎真(天塩商会・会計係): 市村萬次郎
高瀬允(かつての映画スター) :柳澤愼一
江洞潤(江洞商会会長) :香川照之
太田垣直角(天塩の手下) :甲本雅裕

今野貴之介(CMディレクター) :近藤芳正
西さん(ベテラン特機部):梶原善
野島(操演担当) :阿南健治
なべさん(弾着の名人) :榎木兵衛
市長 : 梅野泰靖
警察署長 :小野武彦
映画監督 : 市川崑

映画中映画の出演者: 中井貴一鈴木京香谷原章介、寺原康文、天海祐希唐沢寿明

スタッフ:
脚本と監督:三谷幸喜
製作:亀山千広 島谷能成 
制作プロダクション:シネバザール
製作:フジテレビ 東宝

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(オフィシャルHP壁紙より)

「太陽が消えてから、周囲が暗くなるまでのほんの僅かな時間、それがマジックアワーだ」

『 市川監督は、この撮影の後、92歳でお亡くなりになりました。完成品を見て頂けなかったのが残念です。でも現場で台本を誉めて下さいました。今でもその時の言葉を覚えています。

「なかなかよく描けている。でも長いな」

三谷幸喜プロダクションノートより、「描けて」はママ)』