ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

藤城清治の世界展@松山

Matsuyamahujishiro
(松山賛歌:藤城清治愛媛県美術館壁画)

 さて、長々とお送りいたしてまいりました讃岐伊予日記、最後は思わぬサプライズとなった美術館訪問で終わりたいと思います。我々の世代には「西遊記」の影絵や、「パルナス」のTVCMで馴染み深い影絵作家、藤城清治氏の光と影の世界展が偶然、愛媛県美術館で開かれていたのです。名前を御存じない方でも、リンク先の作品の特徴的な画風を見れば、殆どの方がああ、あの影絵をかく人か、と思い当たると思います。

Hujishirogahaku_2   ちょうどその日は藤城先生ご自身がサイン会をされていると言う幸運にも恵まれました。早速図録を購入し、アンケート用紙に記入しサインしていただきました。先生はもう84歳におなりで耳は少し遠くなっておられるようで、横に立っている秘書の方が耳元でアンケートの感想を読んで伝えておられました。最後ににこやかに握手していただいて有難かったです。

 ご高齢にもかかわらず、先生の創作意欲はいささかも衰えておられず、会場外の松山を描いた壁画には感動しました(冒頭写真)。もちろん会場内の数多くの作品のどれもすばらしかったです。あるものは細部まで緻密に描きこまれて美しく、あるものは懐かしく、あるものは微笑ましく、そしてそれら全てに共通するのは光と影の織り成す幻想的な世界です。子供たちも沢山訪れており、歓声を上げていたのが普通の美術展と異なり、先生の画風を象徴しているように思いました。

 ここに掲載できないのが残念ですが「生命賛歌」や「木馬の夢」と言った大作には深い感動を覚えました。また、1980年代のエポックメーキングな出来事だった「USA For Africa」のアーチストの録画風景を描いた作品もあり、先生の意外な一面も覗くことができました。

 作品の即売会も併設されており、欲しいものも沢山ありすぎて困ってしまうほどでしたが、やはり大きいものになると20万円近くしますし、なにせ帰りの列車の発車時間が迫っていたので泣く泣く会場を後にしました。でも、旅先でこのような素晴らしい美術展に出会えた事はとても幸運で、OTさん宅オフとともに深く心に残った一日でした。