先日UENOさんのところで聴いたのは持参したツィメルマンのラフ2でしたが、彼はまだ3番は録音していません。何故なら
「ラフマニノフを弾く事は曲の中で人生を生きることであり並大抵の覚悟では出来ない」
からだそうです。ファンとしてはそんな固いこと言わんと聞かせて~な、と思ったりするのですが(^_^;)、まあないものは仕方がない。と言うわけで3番はアシュケナージとアルゲリッチくらいしか知らないのですが、先日まことさんが紹介しておられた記事に興味を惹かれて早速買ってみました。ジャケット写真が大変美しいですね。
クラウディオ・アバド(指揮)
リーリャ・ジルベルシュテイン(ピアノ)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
先ずは第2番です。まことさん流に言うと
「ロマンティックが止まらない」
ロマン派を代表する名曲です。ピアニストの腕の見せ所満載で、ちなみにツィメルマン盤は完璧にツィメルマン主導型録音であり、小澤とボストン響は殿様の後を静々と付き従っている感じがします。
それとの比較を楽しみに聴いてみましたが、確かにまことさんのおっしゃるとおり、オケ主導型でアバド&BPhの重厚な演奏の一部として端正なジルベルシュテインのピアノ演奏を聴くことができる印象です。
ジルベルシュテインと言う女性ピアニストは初めて聴きましたが、もう驚くほどうまい。でも男と女の打鍵はこれ程違うのかと痛感するくらいツィメルマンとはタッチが違いますね。たおやかで端正な演奏です。「のだめカンタービレ」の登場人物で例えて言うと、のだめやターニャのような天才肌感性派ではなくソン・ルイ的理知派ですね。漫画で音を聴けるわけでもないんですが、多分(苦笑。
そしてオケですが、さすがベルリン・フィル(BPh)です。1991年の録音で、約50年振りにカムバックしたチェリビダッケに
「昔はもっと良かった」
と言われてしまった当時ですが、どうしてどうして素晴らしい演奏です。アバドも以前の記事でフルトヴェングラーやカラヤンに比べると陰が薄いと失礼な事を申しましたが、オケのよさを十分引き出した上でジルベルシュテインをうまく引き立てていますね、お見それいたしましたm(__)m。
さて、第3番です。昔はラフマニノフ自身とホロヴィッツしか完璧には弾きこなせなかったと言われ、ツィメルマンでさえ二の足を踏んでいる難曲ですが、やはり最近の若いピアニストのテクニックとは凄いもので、ジルベルシュテインはいとも簡単に弾きこなしているように感じます。ただ先の2番に比べると、テクニックには感心するもののやや単調で、ただ弾きこなしているだけという気がしないでもないです。あっ、やっぱりまことさんの感想とそっくりだ(^_^;)。これを聴くとアルゲリッチってやっぱり凄いんだなと思ったりもします、余り好きではないんですが。
そしてBPhは、確かにカラヤンの頃のケレン味というか華やかさには欠ける気もしますが、さすが世界一のオケと言わせるだけの演奏は聴かせてくれるなあと思います。
と言うわけで、オーディオ的なことを最後に言うとピアノが余り出しゃばらず、オケのバランスが絶妙の録音であると思います。ツィメルマン&ボストン響も同じドイツグラモフォンですが、プロデューサーが違えばここまで違ってくるんだなあと妙なところに感心したりもしました。まあ、ピアニストの格とオケの格の対比を考えるとそうなってしまうのかもしれませんが。