ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

クラブステラ試聴会@神戸

Puresystem2
 久しぶりにオーディオネタです。ルーツさん主催の試聴会が9日の土曜日にあり、大雪の中、久々に出かけてきました。傳先生の楽しい話と元気のいいサウンドを楽しんできました。

クラブステラヴォっクス試聴会:
場所: チサンホテル神戸 「梅の間」 
時間: 2/9(土) PM14:00~16:00

主催: ルーツサウンド
協賛: ステラヴォックス・ゼファン
講師: 傅信幸

Goldmundcdpandpreスピーカー: AudioMachina The PURE System
パワーアンプ: GOLDMUND TELOS 400A(Setlist pre-1 ~4) / TELOS 200A(5~14)
プリアンプ: GOLDMUND MIMESIS 37 Signature(新製品、写真最上段、上から三番目が電源ユニット)
CD/SACDプレーヤー: GOLDMUND EIDOS 20A(新製品、写真上から二番目)

参考展示: Integrated Amp GOLDMUND MIMESIS  330L(新製品、写真最下段)

 Goldmundの新製品もさることながら、今回のメインは何と言っても昨年のSSGPを獲得したスピーカー、オーディオマシーナの「The Pure System」です。その奇怪な(笑)エンクロージャー形状、フォステクスのユニットの採用、そして菅野先生が絶賛した音質で、オーディオファイルに大きな話題を巻き起こしております。

Puresystem1 一言でいうと「元気の良いハイエンド」といったところでしょうか。剛性が高くフロントバッフルの小さな特殊形状のエンクロージャーと行き届いた位相管理により、見かけよりはるかに広大でS/N比と定位が良い音場を作り出す上に、8Ω、90dBと言う高インピーダンス高能率の優れたユニットが大変元気の良い音を放っている様は確かに圧巻でした。例えて言うならウィルソン・オーディオとJBLの良い所を組み合わせたような音、前に出てこないJBL、鳴らしやすいシステムX、てなとこでしょうか(^_^;)。
 JBLのユニットを駆使して現代的ハイエンド・サウンドを構築しておられる菅野沖彦先生が

「自分の部屋の音と全く違和感が無かった」

とおっしゃるのも頷ける気がします。

 さて、この吸血鬼の棺桶みたいな形のスピーカー、Systemというくらいで上下2ユニットから構成されています。上がフルレンジ+スーパーツイーターの「Melodyモニター」、下がアクティブ型サブウーファーの「Symphonyモニター」と呼ばれています。

 Melodyのユニットは、話題になっているように両方とも日本製のフォステクスのユニットを使用しています。特に菅野先生曰く「鬼の金歯」のようなフルレンジユニットFW168HPは凄い。UENOさんがこのユニットを使ってスピーカーを自作されていますが、彫れ込むのも頷けます。個人的にはやや高域がきついかなと思わないでもないですが(ちなみにエージングは十分な個体だそう)とにもかくにも非常に能力の高いユニットだと思いました。

 傳先生がわざわざフォスター本社まで出向いてスペックシートを見せていただいたという裏話を披露されていましたが、高域の落ちていくところに全く凸凹が無く非常に滑らかだそうです。あの独特の形状により分割振動が殆ど無いんですね。そう言えば元気の良い音が印象深いティールのCS3.7のウーファーも同じような形状です。フォステクスは日本で、ティールはアメリカでそれぞれ特許を取っているそうです。
 ちなみに本機では7KHzでSTとクロスさせ-6dB/Octでロールオフさせているとのことですが、フォステクスの技術陣がこのSPを聴いて、自社のユニットでこれだけの音を出せるとは、と驚いたそうです。

 下のサブウーファーは、ジェフ・ローランドと同じ1000WのICEパワー・モジュールを使用してピアレス社製260mmユニットをドライブさせています。今回は低域がブーミーになる部屋の状況だったのでレベルを下げて鳴らしていましたがガシッとした土台を構築しているように感じました。

Img_3795 今回のGoldmundのシステムはラインナップからするとミドルレンジですが、音と金額は立派にハイエンド、The Pure Systemをドライブするには十分すぎるほどです。ただ、一つだけ気が付いたのは、パワーアンプの差。比較的鳴らしやすいSPなので写真中央のTelos 200Aで十分鳴っているなと思っていたのですが、400Aに替えた途端音の芯がしっかりして抜けも格段に良くなりました。おそらく筐体とメカニカル・グラウンディングだけでこれだけの差がついているのでしょうけど、凄いですねえ。聴いてはいけないものを聴いてしまいました(笑。

 というわけで、素晴らしい可能性を秘めたスピーカーを知ることが出来て勉強になりました。傳先生もおっしゃってましたが、ルーツさんの試聴室やルームチューニングのされた個人宅などで追い込めば、恐ろしく鮮明で広大なサウンドステージと口元が見えるようなピンポイントな定位が得られると思います。まあ問題はデザインと金額(ペア460万円に値上がりしたそうです)ですね。

 では最後に恒例のセットリストと傳先生の指摘されたポイントを記しておきます。ルーツサウンドさん、ステラ&ゼファンさん、そして傳先生、楽しい時間をありがとうございました。

Setlist:
pre-1: 「アヴェ・マリア」 アーロン・ネヴィル「ウォーム・ユア・ハート
 雪のため開始時間が遅れた間のj傳先生のサービス。まずはボーカルの質感。
pre-2: ストコフスキー指揮RCAヴィクター交響楽団 「ラプソディーズ」
 1961年録音にこれだけの音が録音できていたのだという驚き。Fレンジが狭くともこれだけの音は出る。

1:  「I'm old fashioned」 マルガリータ・ベンクトソン「アイム・オールド・ファッションド
 今傳先生がはまっておられるボーカリスト。ちなみに東京の石丸電気には「傳先生推薦盤コーナー」が本人無許可のままあるそうです(笑。
2: 「Over the rainbow Tommy Emmanuel「Endless Road
 オーストラリアのバカテクギタリストのギターの音。試聴会でかけると一番反響が大きいそうです。
3:  「Mona Lisa」 same as above
 個人的にはこちらの方が良かった。ちなみに2は「モナリザ」をかけますといって間違って出てきました。
4:  「月の庭」 松本俊明PianoiaI
 ベーゼンドルファー・インペリアルの響きの多い音。ちなみに特注の95鍵のピアノだそうです。
5:  「子供の領分 J.E.パウゼ: ドビュッシー「12のエチュード子供の領分」(エクストンOVCT0024)
 こちらは典型的なスタインウェイの音。やっぱりオーディオマシーナにはこちらの方が合うような気がしました。
6:  「Dialogue」 アキュフェーズSACD/CDサンプラーより
 菅野先生録音のドラムとベースの音。特にドラムの方はあまりのリアルさに息を呑みました。ちなみに傳先生がこのサンプラーを手に入れる方法をアキュに聞いたところ、ショップと仲良くなるしかないそうです(笑。
7:  パガニーニ「ヴァイオリン協奏曲第一番」 ヒラリー・ハーン(vn)、大植英次指揮スウェーデン放送交響楽団パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番
 ヒラリー・ハーンの正確無比なヴァイオリンの音。それ故このアルバムはオーディオ評論家だけでなくオーディオメーカーにとっても必聴盤だそう。
8:  アリア「歌に生き、愛に生き」:カバリエ、カレーラスコリン・デイヴィス指揮コベントガーデン歌劇場管弦楽団・合唱団「プッチーニ:「トスカ」(全曲)
 引き続きクラシックからアリアを。ソプラノのカバリエはさすがの声量で、SPがクリッピングするんじゃないかと思いました。
9: モーツァルト 交響曲41番「ジュピター」 マルク・ミンコフスキ指揮ルーブル宮音楽隊「モーツァルト:交響曲第40番&第41番
 古楽器ファンにはたまらない演奏だそうです。
10:  ショパン「ピアノ協奏曲第二番」 ツィマーマン(ピアノ、指揮)、ポーランド祝祭交響楽団ショパン/ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11
 私も一押しのクリスチャン・ツィメルマンの、ツィメルマンによる、ツィメルマンのための演奏(笑。まあ冗談はともかく、傳先生によると、プロの術懐するように長いライブツアーの中でも完璧な演奏というのは滅多にできるものではないが、これはその滅多にない「天使が降りてきた」完璧な演奏をグラモフォンが録音したもの。ポーランドで無くトリノで降りてきたところが面白い。
11:  「Bird On A Wire ジェニファー・ウォーンズ「Famous Blue Raincoat 20th Anniversary Edition
 バーニー・グラントマン入魂のリマスタリング。ミミタコになるほど聴いたアルバムですが、もう腰が抜けるほど音が違いました。果たしてこのシステムだから出せる音なのか、それとも旧盤とレベルの違う音なのか、はたまたラウドネスウォーの犠牲者なのか、早速注文しましてしまいました。ジェニファー命の傳先生の策略にはまってしまった気がしないでもない(笑。
12: 「トスカ」第一楽章終盤 
 8と同ディスクです。多少クリッピングするところもあるが世紀の名演の名録音だそうです。カレーラスも癌を患う前でええこえ~(by岡けん太師匠)してます。
13:  「For All We Know」 CarpentersSingles 1969-1981
 やっぱりカレンの歌声は和みます。生きてれば何歳なんて話題が出てました。ジョー・オズボーンのボヨヨ~ンとしたエレベも良いです。
14:  「人生の扉」 竹内まりやDenim (通常盤)
 最後は年輪を重ねて50歳になった竹内まりやの歌。暗くならないように間奏にマンドリンを入れているところがミソだそうです。とは言え、このシステムで聴くほどの曲かなと思わないでもないでもないでも(以下略)。

 以上でお開きでした。さすがにこの後ルーツさんに押しかける体力はありませんでした。傳先生のリストにはありませんでしたが、個人的にはEva Cassidyのライブあたりがぴったりはまるシステムじゃないかなと思いました、聴きたかったです。