ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ムンク展@兵庫県立美術館

S1894
 関西では結構評判になっているムンク展に先日出かけてきました。前記事兵庫県立美術館内のレストランにノルウェーサーモンが使われていたのは、ムンク展に合わせていたわけですね。

Hamunch ムンクと言えば「叫び」一発のインパクトで日本でも知らぬものの無いほど有名な画家ですが、今回その「叫び」は例の盗難事件での傷を修復中のために来ていません。代わりに「ムンクの叫び」でお楽しみくださいませ(笑
 冗談はさておき、やはりそのネームバリューは抜群で連日盛況のようです。ゆっくり楽しみたい向きには日祝日・休日はまだ避けたほうがいいかもしれません。

S189394解説:
ノルウェーを代表する芸術家として19世紀末から20世紀にかけて活躍したエドヴァルド・ムンク(1863-1944)。その作品は、近代人の孤独や頽廃を象徴主義的かつ表現主義的に描き出したものとして、わが国でも広く親しまれてきました。この度の展覧会は、「吸血鬼」、「不安」、「声/夏の夜」、「生命のダンス」といった代表作を一堂に紹介する、西日本では当館のみ開催のムンク展です(オフィシャルHPより)』

S1893『しかし、本展の見どころはそれだけにはとどまりません。ムンクは、自らのもっとも中心的な作品群を<生命のフリーズ>という連作と見なし、アトリエの壁に掛け、どのように組み合わせ、どのような順序で配置するか、試行錯誤を重ねていました。つまりムンクは、<生命のフリーズ>をひとつの大きな壁画、彼自身の言葉を借りるなら、「全体として生命のありさまを示すような一連の装飾的な絵画」と考えていたのです。このような装飾性へのムンクの関心は、アクセル・ハイベルク邸やマックス・リンデ邸といった個人住宅、あるいは、ベルリン小劇場、オスロ大学講堂、フレイア・チョコレート工場、オスロ市庁舎などの公的建築における様々なプロジェクトへと受け継がれていきます。こうした装飾プランも大きく取り上げる今回の展覧会は、ムンク芸術を装飾との関連によって読み解く世界でも初めての試みとなるでしょう。(オフィシャルHPより)』

S18981900 それにしても不思議な画家ですね。108点と膨大な数の作品が来ているのですが、展示の最初が「吸血鬼」、代表作の赤い空・フィヨルド・欄干モチーフの連作が「叫び」「不安」「孤独」、そして極めつけの題名が「屍臭」。。。なんとCRY暗い(^_^;)。。。
 一応言っておきますと、「吸血鬼」は評論家がつけた題名で、本人はただのキスだと主張しています。でも、絵を見ていただけるとわかりますが、その題名も頷けるほど十分暗いです。なお、後年もう少し明るい「吸血鬼」も描いています(苦笑。

 更には殆どの絵に人物像が描かれているのですが、半分以上の絵でまともに顔を描いてません。元祖ヘタウマ?(^_^;)、最たるものは「ゴルゴタ」と言う絵で、何と磔刑になったイエス・キリスト様の目が点!。「子供の落書きかよ」レベルです。
 もちろん人物全体の造形も殆どが「叫び」に負けず劣らず大雑把、芸大入試でこんな絵を描いたら「デッサン勉強しなおしてきなさい」ってなのばっかりです。

S1894_2 おまけに精神不安定でアルコール漬けで精神科医の世話になるわ、生涯独身でいながら不倫しまくるわ、ええ根性しとるやんけ(笑。ちなみに「嫉妬」と言う絵には、前景に嫉妬に駆られる友人、背景に友人の妻とその不倫相手のムンク本人が描かれています。ムンク本人の解説によると、その友人は「嫉妬にかられるのが好きな人間」だったので不倫してもかまわないのだそうです。ホンマ、ええ根性しとるやんけ(爆。

 なんて事言いながら、結構面白くて最後まで飽きずに回れました。暗い絵ばかりでなく結構明るい絵もあって意外な面も見られます。後期のオスロ大学講堂の壁画の為の習作「太陽」の光輪の描き方などはギュスターブ・モローのタッチを思わせました。
 その壁画群はもちろん習作が展示されているだけですが、モニター画像で実物も見られます。と言うわけで、関西の方はまあ一度は観ておいて損は無いです。

 また、今回「絵メール」というサービスがあり、本記事に掲載した五点の絵画画像を自分のアドレスに無料で送ることが出来ます。これは時代に即した嬉しいサービスですよね、ブロガーには福音です。ブロガーでなくても「不安」など、携帯の待ち受け画面にいかがでしょうか(爆。

 また、時間があれば併設のコレクション展IIIも是非どうぞ、結構楽しめますよ。