ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

サイドカーに犬

サイドカーに犬
はむちぃ: 皆様お久しぶりでございます、久々の映画レビューで駆りだされて参りました。
ゆうけい: 週刊文春がなかなかきいちご賞を発表しないもんでネタに困ってるんだよね~(苦笑。
は: いつもは1月中旬には発表されますのにね。と言うことで今回は昨年度キネマ旬報邦画ベスト10の中から、6位に輝きました「サイドカーに犬」を選んでみたわけですが。
ゆ: まだ観てないものの中で食指が動くのがこれくらいしかなかったんですよ。この映画は浜村淳さんが「竹内結子さんが新境地を開拓した素晴らしい作品でございます!」と絶賛してたもんで気になってたんだよね。

『1980年代初頭の時代をバックに、小学4年の少女・薫が家を出て行った母親に代わって現われた父親の愛人との奇妙な共同生活の中で体験するひと夏の出来事を爽やかに描いた、芥川賞作家・長嶋有のデビュー作を映画化!小4の夏休みの始まった日、父と喧嘩ばかりしていた母が家を出て行った。数日後、薫の家にヨーコという若い女性が突然やって来たが…。(AMAZON解説より)』

は: なるほど、良く出来た佳品でございましたね。
ゆ: ミムラのモノローグの下手さに最初はどうなることかとドキドキしましたけど、回想シーンで子役の松本花奈に変って、主役の竹内結子が「おっす!」と出てきてからは安心して観られました。
は: 竹内結子さんは本当に美しくて溌剌とされておられました。大雑把で、大胆で、いい加減で、タバコもスパスパ吸うけれど、ホロリとさせるような翳も見せるという難しい演技を見事こなされましたね。キネマ旬報の主演女優賞に輝いたのもむべなるかな、でございます。
ゆ: 出産後初めての映画で、私生活でも色々と騒がれてと、大変な環境の中で見事に化けましたね。浜村さんが褒めるのも良く分かりました。後半分は監督の手腕だろうね、以前取り上げた「いま、会いにゆきます」でもそうだったけど、彼女の美しさを存分に見せながらなおかつ映画の中に自然に溶け込ませるというのはどんな監督でも難しいと思うんだな。

は: そこはさすがベテランの根岸吉太郎監督、手堅くまとめましたね。
ゆ: 日活ロマンポルノ出身の人ですからもっと派手な濡れ場でもあるのかと思ってましたが(^_^;)
は: さすがに竹内結子さんには遠慮したみたいですね。
ゆ: まあ冗談はともかく、彼女をうまく1980年代に溶け込ませましたよね。映像もノスタルジアを感じさせるように全体の彩度を落とし目にしたり、小道具をうまく使ったり、結構気配りが行き届いてました。

は: 小道具と言えば音楽はご主人様のツボにはまったんじゃございませんか?
ゆ: わざわざ国立を舞台にしてRCサクセションの「いい事ばかりはありゃしない」をメイン曲に持ってきてくれたからね、嬉しかったよ。
は: あの時代の雰囲気をよく醸しておりましたね。そう言えば忌野清志郎様と同級生だった三浦友和邸を見にいこうというシーンもございました。
ゆ: 当然ながら出てきませんでしたけどね(笑。そう言えば竹内結子が自分の名前を女の子に教える時に

「カタカナでヨーコと覚えて」

みたいな事を言ってましたが、あの時代でヨーコというと、、、
は: オノ・ヨーコ様でございますか(^.^)?
ゆ: オ~♪、ヨ~オオオ~コ~♫、って何でやね~ん、「ジョンとヨーコのバラード」は60年代でんがな(;一_一)。
は: さすがのボケ突っ込み、出てきた甲斐がございました(^_^;)、分かっております、

港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ~♪

ですね。
ゆ: そうそう、ダウンタウンブギウギバンドの一世を風靡した曲ですから、ひょっとしたらそのヨーコを気取ってたのかもしれませんね。

は: 他の出演者も監督の期待に良く応えていたんでは無いでしょうか?
ゆ: そういう評価が多いですね。確かに子役の二人は良かったと思います。
は: 樹希樹林さんは相変わらずの怪演でございますね。
ゆ: あれはやりすぎかなあ(^_^;)。最近CMなんかで露出度の多い温水洋一さんも良い味出してましたね。でも世評に反して個人的には

他の男優陣が全く冴えない

なあと思いましたね。特に主人公の親父、何であんなに魅力の無いのを持ってきたんでしょう?強気を装っている竹内結子の流す涙がこの映画の大きな見所の一つだと思うんだけど、なんであんなろくでもない男の為に泣くの?って感じで正直シラケちゃうんですよ。
は: 古田新太様ですね。嫁さんに逃げられて急遽愛人を家に引っ張り込んだり、小悪事に手を染めながらヤクザと関わるのを嫌がったりと優柔不断な男ですので魅力が無いのも当たり前かと?
ゆ: 原作があの通りなんだとしたら、それに忠実に映画化しようとすれば確かに古田新太は適役なんでしょう。でもこれは映画ですから、仕種一つ、目線一つで、

「ああ、こんな男ならあんな小股の切れ上がった良い女が惚れてしまってもしょうがないよな」

と思わせなくっちゃいけないと思うんですよ。
は: そう言われればそういう気もいたします。ラスト近くで主人公の女の子が父と別居することになった時、何度も父親に頭突きを食らわす場面も今一つ煮えきらなくて、共感しにくうございました。
ゆ: あまり大げさに感動させたくないのか、それともさせることに失敗したのか良くわからないまま終わりましたね。という事で

竹内結子の目の醒めるような好演」

以外にはあまり魅力のない作品でした。キネ旬も甘くなったなあ。

は: ミスキャストと言うことでございましょうかね。で、ご主人様ならあの親父役に誰が良かったと思われますので?
ゆ: 中村獅童(キッパリ(ー_ー)!!
は: はいはい(--〆)、私メの想像を超えたボケでございました、これにてお開きでございます。
ゆ: え~ん(ToT)、本気なんですけど~。
は: シャラップ竹内結子様に申し訳ないと思いなさいませ!