ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

We Are One / Kelly Sweet

ウィー・アー・ワン(初回限定価格)
 また一人、素晴らしい美声の持ち主が話題になっています。弱冠19歳のケリー・スイートです。

1. We Are One
2. Raincoat
3. Dream On
4. Caresse Sur L'Ocean
5. Crush
6. Ready For Love
7. Giorno Dopo Giorno
8. I Will Be Waiting
9. Now We Are Free
10. How 'bout You
11. Love Song
12. Je T'Aime
13. Eternity*
14. Nella Fantasia*
*: Japanese Bonus Track

 4歳の頃から人前で歌い始め、11歳からクラシックのボーカル・トレイニングを受け、14歳でケニー・ロギンスのラスベガス公演でオープニング・アクトを務めたこともあるそうで、その美声と歌唱力は幼くして折り紙つきだったようです。
 しかしながらそれだけで第一線で活躍できるほど向こうのミュージックシーンは甘くありません。新人歌手が華々しくデビューするには何と言っても素晴らしいプロデューサーのサポートが必要です。ケイティ・メルアマイク・バットがついていたように、ケリーの場合は、クリスティーナ・アギレラセリーヌ・ディオンをプロデュースしたマイク・ポートマンと出会うことが出来たのが幸運でした。

 そしてこれもさすがと思わせるのは、じっくり時間をかけてレコーディングしているところ。なんと1年半と言う長い年月をかけ、40曲を録音したそうです。日本ならもう3枚くらいアルバムを出して、おまけにベスト盤まで出してるかもしれませんね。

 そうして出来上がったのがこのアルバムです。ピュア・ボイスと称されるように本当に美しい歌声です。とにもかくにも白眉は一曲目の「We Are One」です。本当に美しいバラードで、サラ・ブライトマンの美声とエンヤの雰囲気を併せ持った曲とでも申しましょうか。これ一曲で世の男性は軒並みノックアウトされてしまいそうです。

 その後も美しいバラードが続きます。エアロスミスの「Dream On」を取り上げたり、イタリア語の曲を入れたりとさすが40曲歌いこんだだけあって色々と趣向を凝らしています。
 しかしながら一曲目が素晴らしすぎることと、全体としての緩急がないことで、通して聴くとさすがに眠くなります(笑。また、3のような多重録音を駆使したロックナンバーのバラードへのアレンジなどは結構楽しめますが、ベルカント唱法的な曲では思ったより声量が無いのでやや平板な印象を受けます。そういう意味ではまだまだ訓練してこれから伸びていって欲しい素材ですね。

 オーマニの方には録音の方が気になると思いますが、ラウドネス・ウォーの影響か、やはり音圧は高めでリミッターも効かせているようですが、それ程不自然な感じは無く楽しめます。ややリバーブかけすぎかなという気もしますが、まあエンヤほどではない(笑。声量の無さをカバーするためかな?という意地悪な見方も無いではないですが、この辺は好き好きでしょう。

 と言うことで、この先サラ・ブライトマンの様なベルカントのできるDivaになるのか、それともポップス歌手としてヒットメーカーになるのか、マイク・ポートマンの腕次第かもしれませんが注目していきたいシンガーです。去年来日したそうですが聴き逃してしまいましたので、とりあえず生で一度聴いてみたいです。