ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

小さな数学者 / グルーズ

Petitmath
(Le Petit Mathematicien / Jean-Baptiste Greuz)

071014_10400002_2 神戸新聞に毎日案内が載っているので兵庫県の方はご存知かと思いますが、現在丹波市植野記念美術館

「山寺・後藤美術館所蔵 ヨーロッパ絵画名作展~宮廷絵画からバルビゾン派へ~」

が開催されています。植野美術館丹波出身の実業家植野藤次郎氏、芭蕉で有名な山形県の「山寺」立石寺の近くにある後藤美術館山形県河北町出身の実業家後藤季次郎氏と、地方の実業家の方の蒐集されたコレクションを展示した地方の美術館同士の交流という点が興味深いですね。

 神戸新聞の絵が痛く気に入った家内とともに先日出かけてきたのですが、18世紀ブルボン王朝の優美を伝えるロココから、19世紀のアカデミズム、そしてコロー、ミレー、ルソー等のバルビゾン派、更には周辺のヨーロッパ諸国の作品が展示されており、普段なかなかお目にかかれない、私にとっては「無名の」画家の作品が58点と多数並べられておりました。この頃の画家の絵は私のような素人にとっても大変分かりやすく、また土地柄も見事に絵に反映されており、楽しく鑑賞できました。

 特に目を惹かれたのはジャンーバティスト・グルーズ(仏、1725-1805)という18世紀の画家の「小さな数学者」という作品でした。この画家の事は全く知らなかったのですが、歴史画家としての名声を望みながら風俗画家として終わり、死後忘れられた存在であった、というちょっと悲しい経歴の持ち主のようです。
 しかし風俗画というものは当時の世相を知る事ができるので、そう言う意味では貴重な存在です。この絵も、当時の庶民が数学等の学問をつける事により立身出世の道を拓こうとした事が分かる貴重な資料だと言う解説が書いてありました。そんなバックグラウンドより、憂いを含んだ美少年(始めは少女だと思ってました)の表情の描写に惹かれてしまったんですが、彼は果たして出世できたんでしょうかね。