ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ディパーテッド

Departed
オフィシャルサイトのフリーDL壁紙より再構成)
は: おっ、ご主人様のお気に入り「インファナル・アフェア」のハリウッド・リメイクでございますね。
ゆ: そうそう、やっと観てきたよ、何しろアンディ・ラウの「墨攻」と公開がダブったもんでね、いやあマイッチングマイッチング(^_^;)
は: マチ子先生ですか、あんたは(--〆)、で、そのアンディ・ラウ様役をマット・デイモン様が、トニー・レオン様役をレオナルド・ディカプリオ様が演じるという大変豪華なキャストでございますね。
ゆ: 映画化権を買ったのがブラッド・ピット、監督がマーティン・スコセッシ、とどめはギャングのボス役が名優ジャック・ニコルソンですからな~、ハリウッドの面目をかけたといっても過言じゃないでしょうな。(2.27追記:第79回アカデミー賞作品・監督・脚色・編集の4部門を獲得しました)

犯罪者の一族に生まれたビリー(レオナルド・ディカプリオ)は、自らの生い立ちと決別するため警察官を志し、優秀な成績で警察学校を卒業。しかし、警察に入るなり、彼はマフィアへの潜入捜査を命じられる。一方、マフィアのボス、コステロジャック・ニコルソン)にかわいがられて育ったコリン(マット・デイモン)は、内通者となるためコステロの指示で警察官になる。(シネマトゥデイより)

は: 当然舞台はアメリカに置き換えられておりますが、ボストンとは意外な場所でございました。
ゆ: そうですね、WASP村上春樹も好みの学園都市、ノーベル賞製造工場MIT、等々ブルジョアのイメージしかないもんね~、どんな町にも暗部はあるってことですな、松坂君気をつけてください(爆。まあそれはともかく、冒頭でジャック・ニコルソン

「差別されてたのは黒人だけだと思ったら大間違いだ、アイルランド人だって昔はまともな職業にはありつけなかった、だがケネディが20年かかって大統領になってくれた、ありがとよ、安らかに眠ってくれ」

なんて台詞を吐くんだよ、これだけで映画がぐっと締まりますね。けだし名優とはこういう人を言うんだろうな。まあ、この段階でこのリメイクはただもんじゃない、インファナル・アフェアを越えるんじゃないかと思いました。
は: 設定をうまくアメリカの歴史に溶け込ませたら、後はバイオレンスモノの得意なスコセッシ監督の独壇場でございましょうね。
ゆ: でも驚いたことに非常に細かい設定まで忠実に「インファナル・アフェア」をなぞってましたね、もっと思い切って脚本を変えてくるかと思ってましたが、意外でした。それだけ原作が優れていた証左ではありましょうけれどね。

は: 主役お二人は如何でしたか?
ゆ: ブラピが主役二人にマットディカプリオを選んだのは正解ですね。オーシャンシリーズではぱっとしなかったマットですが、ここでは素晴らしい演技をしています。さすがにアンディ・ラウほどの貫禄はありませんが、逆に若さゆえの苦悩も上手く表現していました。
は: ご主人様はディカプリオ様の作品というのはタイタニック以外ご覧になってないんでは?
ゆ: イエス・アイ・ドゥー(By坂田師匠)、ホントあれだけの演技が出来る人だとは思いませんでした、畏れ入りました。敢えて難を言えば、二人が風貌を含めて同じような雰囲気があるので、馴れるまで少し区別が付きにくかったです。
は: 脇役ではどなたが?
ゆ: ディカプリオをギャング組織に送り込む上司のうちの若い方、マーク・ウォールバーグが映画にいいアクセントをつけてましたね。

は: 映画の華である女優さんはいかがでございました?
ゆ: うーん、これがぱっとしないんだよね、ギャングのボスの妻役の人はやたら綺麗でスケベなだけ、精神科女医も二人の主人公をひきつけるだけの華がないしで、各々インファナル・アフェアカリーナ・ラウケリー・チャンには遥かに及ばない印象を受けました。この辺の比重の置き方はスコセッシ監督の好みなのかもしれませんが、インファナル・アフェアのファンには物足りないでしょうね。

は: スコセッシ監督の手腕についてはいかがでございました?
ゆ: 自身が「私には香港映画のようには撮ることができない」とインタビューで述べておられるようにやはり自分の流儀で撮っておられますね、それを貫いて軸のぶれない映画をちゃんと再構成したところはさすがだと思います。
は: 先程細部に至るまで原作に忠実に作られているという話が出ましたが、エンディングだけは少し変わっていますね。
ゆ: そうだね、今の時期にネタバレは禁なので伏せますが、アジアとアメリカの倫理観、思想の違いのようなものを感じました、どちらが良い悪いでは無くてね。あとはリメイクをこの一作で終わらせるのであれば仕方なかったという側面もあるでしょう。

は: では最後に一言お願いします。
ゆ: スコセッシ監督の常で、音楽は最高です。ザ・ローリング・ストーンズの「ギミー・シェルター」から始まり、途中PFの「カンファタブリー・ナム」が出てきたり、エンディングロールでロイ・ブキャナンのソロギターが流れたり、この辺のセンスは素晴らしいです。R-15指定でどなたにもお勧めできる映画ではありませんが、暴力、セックス、ダーティ・ワーズを冷静に受け止められる方はどうぞご覧ください。