ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Number 2/1号:ラグビー猛き光芒

Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2007年 2/1号 [雑誌]
 スポーツ・グラフィック誌Numberの最新号はラグビーの特集です。daitenさんの記事で知って買ってきました。大学、社会人、オールジャパンと万遍無く取り上げられていて、大変読み応えがありました。高校が無かったのが少し残念ですが、Number Eyesで大会決勝の東海大仰星対東福岡についての考察があったのでよかったです。

Rugby Football Climax

[大学選手権決勝] 
宿命決戦「波乱と必然」

[密着ドキュメント] 
早稲田大学
関東学院大学
明治大学
慶應義塾大学

[トップ対談]
ジョン・カーワン × 清宮克幸
「日本ラグビーの未来を語ろう」

[楕円球とともに]
平尾誠二/松尾雄治/堀越正巳/吉田義人

 それぞれに首肯できるところがあり、ラグビーと言う日本ではマイナーなスポーツにもきっちりと取材している記者やライターがいるんだなあ、と妙な感心をしてしまいました。やはり一番面白かったのは日本代表ヘッドコーチジョン・カーワン氏とサントリー監督清宮克幸氏の対談です。カーワン氏の熱い思いがひしひしと伝わってくる良い対談でしたね。逆に言うと、清宮さんをして

「あんなにも弱い日本代表(=エリサルド体制)を僕は知りませんから」

と言わしめた体制を作った人の責任についていまだに何の音沙汰も無いのはどうしたことだろうか、と思いますね。カーワンさんは日本代表のヘッドコーチは日本人が引き継いで行くべきだと言う考えをお持ちのようですから、もう次期監督は誰になるか半分決まったような気もしますが(^^ゞ、とりあえずカーワン・ジャパンはW杯においてきっちりと一定の成績をおさめて欲しいと願います。

 ところで本文中にも出てきますが、カーワン・ジャパンのポイントゲッターである両ウィング(WTB)は小野澤サントリー)、大畑神鋼)という構想です。そのうちの大畑が先日のヤマハ戦でアキレス腱断裂と言う最悪の事態を生じてしまったのはいきなりの誤算でしょう。大畑はキャプテンでもあり、そういう意味では大誤算、と言って良いかもしれません。
 実は大畑が倒れる瞬間はスタジアムで間近で見ていました。ボールが渡って前を向いた瞬間、タックルを受けたわけでもなく突然倒れてしまいました。「グラウンドの凹凸に足を取られた」と報道されていましたが、試合前のグラウンド整備は入念に行われていましたし、グラウンドコンディションは決して悪くない中で起こった事で、大畑にはきついようですが、自分自身の責任だと思います。その事は本人が一番分かってるとは思いますが、キャプテンとして今後のことをよくカーワン氏と話し合って欲しいと思います。

 往年の名プレーヤー4名のインタビューは各々に印象深いものがありましたが、特に平尾誠二氏には複雑な思いがあり、興味深く読みました。伏見工同志社大学神戸製鋼と全てのキャリアにおいて日本の頂点に立った彼は、私より少し年下ではありますがずっと憧れの対象でした。殆どの経歴をスタンド・オフと言う司令塔で過ごした彼のことですから、当然日本代表監督になるだろうと思っていましたし、実際そうなりました。実際就任以来、数々のプロジェクトを立ち上げ、目に見える改革を行い、自信たっぷりに99年W杯に臨みましたし、マスコミもあの当時は最大限の持ち上げ方をしていたように思います。しかし結果は惨敗でした。それはそれで仕方ないとも思いましたが、帰国後の記者会見で彼は

「素の力が足りない」

と言う表現をしたのです。これには落胆しました。そんなこと誰でも知ってるじゃないか、だからこそ、司令塔としての頭脳を買われて代表監督に就任し色々な改革を行ってきたんだろうと。それが負けたら結局それを言い訳にするのか、と。それを言っちゃあおしまいじゃないか、なに考えてるんだろうと、彼への盲信が人一倍強かっただけに当時かなりショックを受けた記憶があります。それ以来彼の言動は話半分にしか聞かないようになり、最近では彼の事は殆ど追いかけてなかったように思います。今回の記事でその事についてインタビュアがきっちりと質問してくれていますので、8年振りに彼のその当時の考えを知る事ができました。やはり彼の言う事に全面的に納得はできませんが、あの惨敗の反省を踏まえてトップリーグを立ち上げ日本のレベルを底上げして来た、と言う面は評価されてしかるべきかと思います。今後も清宮さん達とともに日本ラグビーを引っ張って言って欲しいと思います。先ずは神鋼の建て直しが必要ですけれどね(苦笑。