ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

オーディオセッションイン大阪(2)印象に残った製品

Melody
 さて、昨日のオーディオセッションin大阪で、高島電機以外で気になった製品をいくつか紹介します。先ずは完実電気さんのブースにおいてあったMelodyの300Bシングル・プリメインアンプH300B-WE(WE300B付きは42万円)です。

 名前の通り、ウェスターン・エレクトリック社の「名球」300Bを使用した管球アンプです。小型ながらピアノブラック塗装がとても綺麗で、AE社のAE1 Classicから精緻でしかもとても心地よい音楽が流れていました。300B独特のさわやかな繊細感も良く出ていたように思います。Melodyという会社のことは知らなかったので訊いてみたところ、オーストラリアのオーディオメーカーだそうです。WE社の300Bを使ってこのお値段はなかなか魅力的ですね。

Bw
 「マランツコンシューマーマーケティング」ブースよりB&Wのスピーカーです。大阪のハイエンドオーディオショウでは実はスピーカーメーカーの一方の雄であるB&Wが聴けないんです。その事をいつも残念に思っていたので、今回はまだ聴いた事のない800Dをじっくり聴いてみようと目論んでいました。
 最初入った時には手前の白い郵便ポストみたいなのが鳴ってました。な~んだ、800D鳴らしてないのか、とがっかり。音も大したこと無かったので早々に退散。でもこの新しいモデルSignature Diamondと言う名前らしいですが、調べてみると何と

801D(230万円ペア)と同じくらいのお値段らしい

です、ええっ(?_?)って感じ。B&W一体何考えてるんでしょうね(^_^;)。
 さてしばらく他ブースをうろついてからもう一度入ってみると、運良く丁度800Dと入れ替えるところでした。そそくさと席につき待つ事しばし、やっとデモが始まりました。なんせ世界でも有数のプレイバックモニター機ですから、プレゼンターの上品そうなおじ様が、得意げにアビーロードスタジオの説明をのたまわれるとともに、これでもかとばかりに大砲の音やリミッターをかけていないジャズのライブ録音などで我々を圧倒しようとしてくれます。でも、何分にも

部屋狭すぎですから~(涙

 ただでさえ狭い部屋を仕切ってリスニングルームにしてあるものだから、とても800Dの素晴らしさを堪能する、と言う雰囲気では無かったですね。

 さてこの難物スピーカーをドライブするのは、当然ながらマランツの威信をかけた最高峰のシステムで、伝統の7番9番の名前を次ぐSA-7S1SC-7S2MS-9S2です。これだけの駆動システムを以ってしても800Dの底無しの実力は発揮されているとは言えず、軽く受け流している感じでした。確かに凄いモニタースピーカーです、そういう点では畏れ入りましたとしか申し上げようがないです。
 このマランツのシステムの音は良く言えば、「上善如水」、悪く言えば徹底的に短所を消して仕上げていくトヨタ的な無個性さを感じます。
 当然ながらマランツの開発陣はB&W、それもこの機種で音決めしているんでしょうから、これがマランツの音である、と同時にこれが800Dの素の音なんでしょうけれど、正直なところこんな音で音楽を聴かされてもあまり楽しくないなあと言う気がしました。傅先生が800Dをして

際限なくアンプ選びに悩むことになる

と表現されたのは今回試聴してけだし名言だなあ、と思いました。

Littlejammer_1
( Little Jammer Pro. tuned by Kenwood

 さて、このオーディオセッションがハイエンドオーディオショウと少し性格を異にしている点として、大企業の参加が多くそれらの会社の出展の殆どがAudioVisualのマルチチャンネルのデモであると言う特徴が挙げられます。
 実際今回初めて一通り回ってみましたが、大企業の名が泣くほど閑古鳥が鳴いてましたね。殆どのブースががらがらです。唯一ヴィクターが満員で入れませんでしたが、どんなデモをしてたんでしょう?

 住居の制約の大きさからして日本ではアメリカほどにはAVマルチチャンネルは普及しないだろう事は素人目にも分かりきっているのに、日本橋商店街とのおつき合いで断りきれないからか、あいも変わらずおんなじ様な展示でお茶を濁しているのは正直言って興醒めです。そのくせ

「単に美しいだけの音ではない、アーティストが楽曲に込めた、魂の叫びをリスナーに届けたい」(某大手メーカーのパンフレットより)

などと空々しい宣伝文句を、一般家庭ではこうはいかんでしょうと言うようなおしゃれなインテリアの写真とともに載せるのは正直言ってサギに近いんじゃないでしょうか。

日本の標準的な家屋における、本当に5.1chなり7.1chなりで配線した部屋の状態

をパンフレットに載せてみろよ、と申し上げたい。

  また、一時は世界に名を轟かせる様な最先端のスピーカーを生産していた企業が今出しているスピーカーの殆どが、どうみても海外ハイエンドのサル真似にしか 見えないデザインです。「プライオリティ」と言う言葉をどこかへ置き忘れたような代物を恥ずかしげも無く出してきて、古き良き時代の「伝統」を云々するのは長 い間日本の伝統であった「恥」の精神を忘れたとしか私には思えず、無性に悲しくなりました。(一応言っとくとパイオニアのTADのシリーズはまだましな ほうだと思ってますよ。)

 それよりは今回KenwoodがデモしていたようなCDレシーバー一体型アンプ+小型高音質スピーカーの組み合わせによって、若い方にミニコンポから一歩踏み出してもらおうとする姿勢の方が好感が持てますし、実際良い音が出ていました。

Eclipse
 さて菅野先生ばりに苦言が長くなってしまいましたが、マルチチャンネルで唯一興味を惹かれたのが、独特の卵型形状のスピーカーを作り続けている富士通テンの「Time Domain Audio System」シリーズでした。今回は待望のサブウーファーTD725swが初お目見えしていました。私の下手な写真では感じがつかみにくいかもしれませんが、結構大きくて高級感があります。
 パンフレットなどをみるとやっぱりこのシリーズの売りであるハイスピードをこのサブウーファーでも強調しています。絨毯張りの部屋でセッティングも詰めずの状況でデモで数曲聴いただけではその真価は測りかねますが、少なくとも鈍重な感じは無く、エクリプスシリーズ独特の音離れの良さ、定位のクリアさを邪魔していなかったので良いSWなんだと思います。

 思えばデビュー当時ルーツサウンドさんで入ったばかりのデモ機を聴かせて頂いた時に、ゾクッとするほど深い音場の中にびしっと定位が決まっており、おおこれがタイムドメイン理論なのかと感心しました。しかしやっぱり各楽器の音の質感は10万円台のスピーカーのものでしかありませんでした。それから数年良くぞここまでブラッシュアップして来たものだと思います。

 5.1のマルチチャンネルもドナルド・フェイゲンの「Morph The Cat」とマーツァル&チェコフィルの「マーラー3番」で聴かせて頂きましたが、前者のマルチがやや作り物っぽい感じが強くてなじめなかったのに対して、後者は自然な音場が広大に広がり、また低音の出方も自然で好感が持てました。じゃあ自宅に導入するか?と言われたら、そこまでせんでもええわと思いましたけどね。

 最後に今回唯一大失敗したと帰宅後後悔したのは「ロッキーインターナショナル」のブースへ行き忘れていた事。というか知らなくて帰ってからパンフを見てあっ、と思ったんですがAfter the festival、後の祭り。QUADESLシリーズ聴きたかったぁぁぁぁ~(号泣。

 という訳で大変長くなってしまい申し訳ありませんでした。他の写真はまたそのうちマイフォトにでもぼちぼちとアップしますのでよろしければご笑覧くださいm(__)m。