ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

オーディオセッションイン大阪(1)祝!高島電機初ブース

Takashimadenki
左上:高島さん、右上:「Over」大庭好司氏、左下:「トライオード」山崎順一社長、右下:「PhaseTech」藤原伸夫氏

 先週のハイエンドーディオショウに引き続いて第16回オーディオセッションinOSAKA2006に出かけてまいりました。先週に比べると割と空いていて、ゆっくりと見聴きする事ができました。

Spendor100micropurejpg(写真左の小さいSP:マイクロピュアCz302ES、右:スペンドールSP100

 今回訪れた主な目的は高島電機ブース。今回初ブースを持たれた高島さんは、以前は河口無線、三宮上新店におられました。私がオーディオ再挑戦を志した頃、神戸ではハイエンドオーディオを聴ける店はとても少なくなっており、三宮上新店で毎日曜日開催される試聴会だけが唯一の機会でした。それを毎回主催されてたのが高島さんでした。考えてみれば私の使用しているスピーカーは、メインのCub2,サブのスペンドールS3/5ともに高島さんから買ったもの、松浦さんとともに私の師匠とも言える方ですね。

 その高島さんに先週トライオードブースでお会いした際、

「ゆうけいさんっ、来週是非来てくださいよっ!素晴らしいスピーカーがあるんですよ!」

と声をかけていただいていたので、今日は少し無理して出かけてきました。

Over さて、そのブースの音ですが、お世辞抜きで素晴らしかったです。このような趣味の世界で

作っている人、売っている人の顔が見える

機器というのは大変魅力があります。その「音の匠」と言える方を今回は3名もお呼びしての講演会でしたので、他のブースにない熱気がブース全体に満ちていてとても充実していました。

 さて、その一番手は神戸の新ブランド「Over」の大庭さん。まだデビュー前のプリメインアンプ、写真2段目のまだプロトタイプで何の刻印もない機械の作者です。大庭さんはアンプを自作されていたのですがその音質の良さが友人の間で評判になり、上新電機の協力により商品化にこぎつけたそうです。特徴は

FETシングル無帰還

で出力は控えめの25W。無帰還ならではの正確な音の階調性が音の新鮮さに寄与しており、大変瑞々しいサウンドでした。特にフェーズテックのフォノアンプEA-3と繋いで聴いたアナログの音は素晴らしかったです。この時点でのSPはスペンドールS100+タンノイのスーパーツイーターでしたが、ジュリアーニのギター協奏曲に聴くギターの豊穣な音色ときっちりとした定位、コールマン・ホーキンスのサックスの往年のジャズ喫茶のような熱気、いずれも素晴らしかったです。

 大庭さんが口下手なもので(^_^;)、冒頭写真右下の藤原氏がご自身のフェーズテックのEA-3との共通点である、無帰還のトランジスタ、電源トランスのダイレクトグランディングを中心に説明してくださり、とてもいいアンプで真空管のような音がする、と誉めておられました。

Micropure2 さて、次が本日最大のサプライズ、高島さんお勧めのマイクロピュアのスピーカーCz302ESです。説明は販売を手がけるトライオードの山崎社長さん(冒頭写真左下)に替わりました。本当に面白い構成のスピーカーで以下のような特徴があります。

1: 私も使っているmuRata supertweeterをマウントしている。村田がOEM供給するのは初めてだそうです。しかもこれをネットワークなしで用いています。まあ考えてみれば私も単純に並列で使っていますけどね。下とのクロスオーバーは15KHzあたりだそうです。

2: 下はオリジナルのフルレンジ・ユニットで70-15KHzをカバーしています。振動板はメタルっぽいですがラミネートコーティングのペーパーコーンだそうです。とても10cmとは思えないスケール感とワイドレンジを可能にしており、SP100が鳴ってますと言われても分からなかったと思えるくらいでした。

3: そしてそのマウント方法が変わっており、普通クリアな音と定位感を得ようとするとがちがちに固めがちですが、わざと隙間をつくって音圧を逃がすようにしているそうです。その手法で特許を取っている、と言われてふと思い出したのが、昔雑誌で一時話題になったパストラル・シンフォニーという会社のスピーカーでした。講演会が終わったあと、パンフレットを見て納得、やっぱりその会社の製品だったのでした。

4: そしてキャビネットも6-7mmのメープルの単板と薄いもので、製作はなんとギターのフジゲンに依頼しているとの事。仕上げは非常に美しく、しかも軽量、なんと2.5kgしかありません。

Triord2_1  こんな軽・薄・小なスピーカーから信じられないほどの広大な音場としっかりした定位感、大型SP並みの低音が出るのですから、本当にオーディオって分からないものです。最初に聴かせていただいたセリーヌ・ディオンのボーカルは試聴位置が近すぎたせいか音圧に圧倒されるとともに、やや高音がきついかなと思いましたが、フジゲンから連想されるように、ギター・ヴァイオリンの音色は非常に美しいとともにリアルで、ギターの胴鳴りや爪弾き、ヴァイオリンの弓が弦を擦る様子等が正確に再現される様は圧巻でした。また小型SPにはきつい鬼太鼓座の打楽器音も見事な定位で再現されました。特に奥行きの深さが印象的でこのあたり村田のSTが効いているようですね。

 最後には再びSP100に戻してOverFETアンプトライオード300Bパラシングルアンプとの聴き比べを、シュトラウスの「こうもり」序曲で行いました。Overも相当いいと思いましたがやっぱりトライオードの真空管アンプは素晴らしいですね。
 私がS3/5の購入を決意したのもトライオードさんの試聴会でした。今はラックスマン真空管アンプで聴いていますが、やっぱりトライオード300Bで聴きたい!と思わせてくれました。くーっ、罪作りだなあ山崎さん(T_T)。

 と言うわけで大変充実した講演会で、気がつけば小さいながらも会場は満員、終わってからもあちこちで歓談の花が咲いていました。私も後ろ髪を惹かれつつ、高島さんに挨拶して会場を去りました。思わぬ長文になってしまいましたが、会場の熱気が少しでも伝われば幸いです。高島さん、作り手の顔が見える講演会ありがとうございました、今後の益々の活躍を期待してますよ。