ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

中原の虹 第二巻

中原の虹 第二巻

  偉大なる母 西太后、死す。
「この国は私が滅ぼす」。その悲壮な決意に、春児(チュンル)は、光緒帝は。
圧倒的感動で描かれる、ひとつの歴史の終焉。中国歴史巨編、佳境!
「春児(チュンル)。春児。私は死ぬけれど、どうかこの国の行末をおまえの目で見定めておくれ。そしていつか、あの世で教えてほしい。陛下、この国はとう とう誰のものにもなりませんでした、ってね」民を愛し、たった1人で清朝を支えた太后の美しくも凄絶な最期。そして最後の皇帝が、玉座に登る。(AMAZON解説より)

 浅田次郎氏の傑作「蒼穹の昴」の続編「中原の虹」第二部が早くも登場です。第一部紹介時に書きましたが、本作品は全体で四部構想を予定しているとの事です。ですから、今回は起承転結の部分に当たる事になります。

 実際、第一部は、新しい主人公張作霖の紹介を通じて清と言う国の衰亡と新しい時代の到来を予感させる「」にふさわしい作品でした。それに続く本作では、いよいよ「蒼穹の昴」で登場した主な登場人物が次々と顔を出し、各々が有機的に結合して本巻のクライマックスである新帝「ラストエンペラー溥儀の選定と西太后・光緒帝の死へとなだれ込んでいきます。まさしく壮大な「」の章と申せましょう。

 実際の西太后がどのような人物であったのか、今となっては知りようもありませんが、浅田氏は実に深いシンパシーをもってこの稀代の女傑を描ききっています。「蒼穹の昴からの一貫した壮大な人物造型は、日本におけるあまたの中国小説の中でも白眉ではないでしょうか。
 本巻においてその西太后の最期を描ききった現在、浅田氏の胸中やいかばかりでしょうか。おそらく深い満足感とともに虚脱感にも襲われておられるのではないかと愚推しますが、そこを曲げて「」「」の章を早く読ませてください、と伏して叩頭しお願い申し上げまする。。。