ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

オルセー美術館展@神戸市立博物館

Orsay1006
最前列:
モネ:アルジャントゥイユの船着場
(1872年頃)
中段左より:
ジョージ・シーリー:ほたる (写真)
マネ:すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ(1872年)
ルノワール:ジュリー・マネ(あるいは猫を抱く子ども)(1887年)
上段左より:
モネ:ルーアン大聖堂1893年
モロー:ガラテア1880年
ヴァロットン:ボール(1899年)

 9月29日より神戸市立博物館で始まったオルセー美術館展に早速今日出かけてきました。オルセーがやってくるのは今回で3回目になりますが、さすがに世界に名だたる美術館だけあって、今回も名画中の名画がてんこ盛り。憧れのオルセーに一度は行ってみたいなあ、と言う渇望を癒してくれました。

19世紀の芸術家たちは、急激な都市化・産業化の波にさらされるなかで、それぞれの理想にかなう制作の場を探し求めました。自然あふれるフランスのノルマ ンディーやブルターニュの村々には次第に芸術家たちのコロニー(共同体)が形成され、やがてゴッホやゴーガンのように、南フランスのアルルや、遥か南海の タヒチ島にまで赴く作家も現れます。(中略)
今回の「オルセー美術館展 ― 19世紀 芸術家たちの楽園」は、こうした19世紀の芸術家たちと彼らが愛し、希求した土地や人々、特定の環境との関係に焦点をあて、創作活動に欠くことのできなかった世界―芸術家たちの楽園―を浮かび上がらせようとするものです。

140点の出品作品は、画集などで見慣れたオルセー美術館の常設展示を代表する名作に加えて、近年収蔵されたばかりの作品も多く含まれ、絵画、彫刻はもちろん、素描、写真、工芸品、建築デッサンなど、多彩な分野を網羅しています。(上記リンク先のオルセー美術館HPより)

 オルセーと言えば印象派、と言うイメージがあり、今回も当然のようにマネモネルノアールをはじめとする日本人好みの巨匠たちの絵が数多く展示されていますので、とりあえず入館料の元は十二分に取れます(せこい。
 今回印象的だったのは女性の肖像画群ですね。写真中央のマネの弟と結婚した女流画家モリゾの、くっきりとしてマネを凝視(?)蠱惑(?)するかのような視線は、文字通り今回の「目玉」作品です。その他ではラトゥールの大作「シャルロット・デゥブール」が目を引きました。ラトゥールの妻の妹であるシャルロットは生涯独身を通したドイツ語教師で強く自立した性格を物語る視線の鋭さと手にした扇子の赤が印象的でした。

 そしてさすがオルセーだと思わせるのは、印象派のみならず幻想派や総合主義的作品でも有名画家の代表的作品を揃えている事。写真のモローの「ガラテア」は彼の代表的作品ですが、確か以前のモロー展でも入ってなかった傑作で、今回十分に堪能することができました。
 それ以外にもマチェックの「預言者リブザ」、カリエールの「夜のクリッシー広場」、ゴッホの「アルルのゴッホの寝室」、セリュジュの「護符(タリスマン)」等、並みの展覧会なら目玉作品になりそうな傑作が目白押し。印象派だけでも圧倒されるのにこの豪華絢爛さは一体?、、、さすが芸術の国のルーブルと並ぶ美術館の底力でしょうね。

 また写真も数多く展覧されていました。それもさすがオルセー、写実的と言うより美術的な写真が大勢を占めています。写真にあるシーリーの「ほたる」などはその代表でしょう。個人的には近代写真の父ティーグリッツが妻を撮った「ジョージア・オキーフ」が嬉しかったですね。オキーフの若い頃のポートレイトは本当に美しい。

 ユニークで家内と苦笑いしたのはラコンブと言う人の作ったベッドの木枠4枚・「存在」「誕生」「愛」「死」。なんと木彫りで出産シーン死のシーンが彫られていて、こんな木枠に囲まれて寝るのはいやだ!(爆、と言うのが二人の一致した意見でした。

 まあ、これでもか、と言うくらいの傑作のオン・パレードです。最初にも書きましたが、じゅ~~~ぶん元は取れますので是非どうぞ。最後に一言、ルノアールの描くジュリー・マネって、長澤まさみにそっくり!