ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ダ・ヴィンチ・コード(映画)

 巷で賛否両論渦巻く噂の作品「ダ・ヴィンチ・コード」をようやく観てきました。

講演会のためパリを訪れていたハーヴァード大学教授のラングドン。突然、深夜にフランス司法警察のファーシュ警部に呼ばれ、ルーブル美術館に連れ出される。美術館長のソニエールが殺され、彼に捜査に協力して欲しいとの要請を受けるが、実は、ラングドンも容疑者にされていたのだった。そこにソニエールの孫娘で、暗号解読者のソフィーが現れる。ソフィーは、現場の写真を見て、祖父が自分だけに分かる暗号を残したことに気付く。

スタッフ
製作: ブライアン・グレイザー、ジョン・コーリー
監督: ロン・ハワード
原作: ダン・ブラウン 製作:ブライアン・グレイザー、ジョン・コーリー

キャスト

トム・ハンクス - ロバート・ラングドン教授
オドレイ・トトゥ - ソフィー・ヌーヴ
イアン・マッケラン - リー・ティービング
ルフレッド・モリーナ - アリンガローサ司教
ユルゲン・プロホノフ - ヴェルネ
ポール・ベタニー - シラス
ジャン・レノ - ベズ・ファーシュ警部

 記録的興行収入をあげる一方で、批評家筋からは散々な評価でラジー賞早くも決定!とか揶揄され、更には宗教学者カトリック教会からは白眼視され、観る事を禁じたりR18指定にしたりする国まで出てる、と言うことでおっかなびっくりと言う感じで観始めましたが、意外にも良くできた映画だな、と思いました。

 文庫本にして3冊のあれだけのボリュームを手際よく2時間半にまとめて全く退屈させることなく引っ張れるのは、やっぱり傑作「アポロ13」のロン・ハワード監督の手腕衰えず、というところでしょう。確かに文庫本を読んだ者にとってはカットされた部分に不満があるだろうし、逆に読んでいないものにとってははしょりすぎて意味の分からないところがあるだろうし、ということでこう言うベストセラーものの宿命で100%満足できる人は少ないだろうけれど、十分に合格点の作品ではあると思います。

 個人的には、
1: 原作では秘密を解く鍵となる美術作品が複数カットされた
2: 急進的教団オプス・デイのシラスとアリンガローサ司教の苦悩と挫折を原作より更に掘り下げて欲しかったのに逆に単純な悪役にされてしまった
という二点がやや不満なところですね。特にシラス役にあれだけの適役と思える役者さんを見つけてきたのに勿体ないですね。

 キャストも豪華ですが、今も言ったようにポール・ベタニーが強烈な印象を残してくれましたが、他の役者陣はまあ今回は可もなく不可もなくというところ。これは各役者の責任と言うより、原作が人間をあまり深く掘り下げて描いていないところに責任があるんじゃないかなと思いました。
 そう言えばSirの称号のつく英国貴族リー・ティービング役には現実にSirの爵位を持つイアン・マッケランを持ってきましたが、どうも「ロード・オブ・ザ・リング」のガンダルフを思い出して憎めなかったですね(苦笑。

 些細なことですが、フランス語の英語訳が中央下に出て、日本語訳が右端に出るので忙しくて仕方なかった(笑。
 ちなみに会話の英語は比較的聞き取り易かったですが、「マグダラのマリアMaria Magdalene)」が全く聞き取れなかったし、ニケーア会議のニケーアはどうもナイシィア?と発音してた様に思いました。これらの重要なキーワード、全部聞き逃してたらしゃれになりませんね、やっぱりアカデミックな用語が頻出する映画は私程度の英語力では字幕が無いとだめですね。

 という訳で、映画の鉄則である

払った料金分は楽しめる

というラインはクリアしてると思います。まだの方は是非どうぞ。ちなみにやっぱり原作は読んでおくべきかと思います。