ハーヴェスト3部作とも言われる内省的なアルバム「プレーリー・ウィンド」を出したばかりだったニール・ヤングですが、健康不安が囁かれる中で「まだまだ若いものには任せておけない」とばかりに短いスパンで前作とは正反対の反戦アルバムを出してきました。
1. After the Garden
2. Living With War
3. The Restless Consumer
4. Shock and Awe
5. Families
6. Flags of Freedom
7. Let's Impeach the President
8. Lookin' for a Leader
9. Roger and Out
10. America the Beautiful
もともとその優しい澄んだ声とは対照的に大変気骨のある歌も作る人でしたが、今回も鮮明に反ブッシュ色を表に出し、収録曲は殆どが反戦のプロテストソングとなっています。きっかけは今年3月にテキサスであったロック・フェスティバルに参加した時にステージ関係者から
という要請があったためだそうです。共鳴したニールはなんと2週間で一気に録ってしまったそうです。インタビューでも
「私は若いシンガーがこういった曲を作り、立ち上がるのを待っていた。しかしやがて、60年代に青春を過ごした世代が、まだまだこうしたことをやっていかねばならないのだと思い始めた。私たちはまだ現役なのだからね」
と述べています。60年代と言うのは当然ベトナム戦争を意識しているものと思います。あの頃から常に現役で様々な政治的局面において積極的に発言してきた彼ならではの気骨を感じますね。
今回の数々のプロテストソングも文字通り火の出るような激しさで、前作と同じ人が作ったとはとても思えないくらいです。7なんかではハッキリと「ブッシュを弾劾しよう」と言い切っていて痛快です。
Let's impeach the President for lyin'
And misleading our country into war
Abushing all the power that we gave him
And shipping all our money out the door
と言うことで、音楽的には今回は物悲しいトランペットの音色と100人からなるコーラスが目立つ程度ですが、ニールに長年付き合ってきたものなら、おおまだまだ元気やんか、と嬉しくなってしまいますよ。
日本でもブッシュにおもねるだけしか能の無い人へのプロテストソングが出てきてもよさそうなものですけど、出ませんね。できそうなのはキヨシローくらいですか。もともと日本のフォークだってベトナム戦争や安保闘争と密接にリンクしたところから出てきた記憶があるのですが、これを聴いて団塊の世代のシンガーが立ち上がってくれないものかなあ、と切望しています。