ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

大場商事試聴会@大阪

Obashojidemo
 大場商事の試聴会が21日大阪でありました。今回はウィルソン・オーディオの新製品2種がメインでしたのでCub2ユーザーの私としては見逃せない、ということで出かけてきました。

第24回 試聴会「WILSON AUDIO 新製品発表会」
日時: 平成18年5月21日午後1-3時
講師: 傅 信幸氏
場所: ハートンホテル心斎橋・別館3階 桜の間

System-1
SP: Wilson Audio Duette
CD Player: dcs P8i ver1.10
Pre-Amplifier: JRDG Concerto Pre (途中故障)
Power Amplifier: JRDG Model102

System-2
SP: Wilson Audio Sophia 2
CD Player: dcs P8i ver1.10
Power Amplifier: JRDG Model201 x2

Duette 第一部はウィルソン初のブックシェルフ型スピーカーDuetteです。大場商事の試聴会のご経験のある方は、冒頭写真に違和感があると思います。そう、カーテンが開いているのですね。この部屋で外の景色を見たのは始めてかも。傅先生の解説によると、予想通り、小型スピーカーなのでできるだけ壁に近づけて低音を増強するためとのことでした。

 このSPを制作するきっかけは、D.ウィルソン氏がニューヨークのディーラーに小型SPを制作してほしいと依頼されたからだそうです。ウィルソン氏はそれから、JMラボのマイクロユートピアやB&WのS805、ディナ、クレルLAT2000等を聴き込んで研究したとの事。しかしその結果、同じようなスピーカーを作っても仕方ないとの結論に達し、本当に本棚に入れられるスピーカーを作ろうということになったそうです。

Duetteunit 壁面あるいは本棚に入れて一番の問題は、低音が増強されその結果音像がボケること。それを克服するため、下記三つの改良により音の指向性を高めたとの事です。

1:当初18cmのウーファーを使うつもりだったが、20cmに変更した
2:トゥイーターにフェルトのギザギザ模様をつけた
3:ネットワークの工夫

Duette2 そして、本棚に入るサイズにするととてもネットワークを内蔵できないため、ウィルソン史上初めて外付けになったと言う訳です。写真を見ると一見バイワイアのように見えますが、パワーアンプからの端子はやはりウィルソンの主義であるシングル・ワイアリングとなっています。また、肌色のケーブルは壁面近くのセッティング用で、別に60cm以上離す場合のグレイのケーブルも付属しているとの事。ウィルソン氏のこだわりが見て取れますね。ただし、ウィルソン氏は

壁から離して使うならソフィア2を買って貰うように

とレクチャーしたそうです(^_^;)。実際問題として、Duetteをスタンド込みで買うと30万(190万VS220万)しか違わないんですよ、高いブックシェルフです、本当に。
 実際音を聴いてみて一番驚いたのは、
小型らしからぬ低音ーーでもなく、
指向性を高めた音像定位の正確さーーでもなく、
トゥイーターの音色でした。ウィルソンの特徴であるあの独特の高音のチリチリ感がほとんど無く非常に滑らかで癖がありませんでした。逆ドーム型で無い普通のドーム型にあのフリフリがついているのはどうも馴染めませんが、ウィルソンオーディオの新しい可能性の一端を見た気がしました。

Sophia2 一方ソフィア2は一見初代モデルと大きな変更はなさそうに見えます。伝統のフォーカル社製逆ドーム型トゥイーター、Vifa社製ミッド、アルミウーファーの構成は細かい改良を重ねてはいるそうですが、一見しても分かりません。グリルの取り付け法の変更もありバッフル面が平坦になった事位でしょうか。
 音の方も見事にウィルソンそのものでした。トゥイーターに全面的な改良が加わったとのインフォメーションに期待していましたが、やはり高域に独特の癖のあるチタン逆ドーム型トゥイーターの音でした。やはりこのスピーカーを特徴付けるのはメタル振動板のウーファーでしょう。独特の低音ですが、こちらは熟成を重ねているせいか、安心して気持ちよく聴けます。初代ソフィアを評して菅野先生がシステムXを軸としてCub2と対極にある、音楽を楽しむスピーカーとおっしゃった事があり、そのときは疑問に思っていましたが、今日は納得できました。

 さて、kimuraさんが書いておられたシステム8の話も傅先生から少し出ました。傅先生もウィルソン氏にトゥイーターにダイアモンドやベリリウムを使う気が無いのか訊いてみたそうです。氏も実は試聴は重ねておられるそうですが、ティール&パートナー社製のダイアモンド・トゥイーターは振動板は良いがボイスコイルが弱い、フォーカル社のベリリウム・トゥーターは門外不出で試せないそうで、まあ結局のところ、音楽のダイナミズムを重視すると現行のチタンを続行せざるを得ないそうです。しかし逆に言えば、チタンに拘っているわけでもなさそうですね、将来的には変わることもあり得るのでしょう。
 
 そう言えばウィルソン氏、もう8人もお孫さんがいらっしゃるそうで孫は可愛くて仕方ないと、傅先生と孫談義がはずんだそうです。また、三男さんがスピーカー制作を引き継いでくれそうで嬉しいとも語っておられたそうです。
 25年前始まったウィルソン・オーディオも今50人規模になり、WATTの生産はもう12500本に達したそうです。中国の安い人件費を使った生産にも批判的で、氏は今後も生産をアメリカから移すつもりは無いとの事でした。これからも質の高いスピーカー生産を続けていただきたいですね。

Jrdg102201 最後にDuetteをドライブしていたジェフ・ローランドの新ステレオパワーアンプModel 102(写真上段の黒の筐体)のドライブ力の凄さも印象的でした。小さい筐体から片チャンネル100Wを叩き出し、更には大場商事史上初めてアンプで30万円を切ったそうです(^o^)。近々ペアになるプリも発売されるようで、これは爆発的に売れそうな予感がします。

Setlist
Part 1: System-1
1.映画「グリーンマイルサウンドトラック盤 Tr23
2.「You Don't Know Me」 ジェニファー・ウォーンズ「The Well」(輸入盤)
3.「And So It Goes」 ジェニファー・ウォーンズ「The Well」(輸入盤)
4.笹路正則&LA All Stars 「Afro Blue」(SACD
5.「Slang」 ブライアン・ブロンバーグ「ポートレイト・オブ・ジャコ」
6.「第一楽章」 チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」=プレヴィン指揮:ウィーン・フィル、アンネ・ゾフィー・ムター
7.「第二楽章」 チャイコフスキー交響曲第5番」=小林研一郎指揮:チェコフィル
8.「Your Latest Trick」 Dire StraitsBrothers In Arms」(輸入盤)

Part 2: System 2
9.Rene Froger 「PURE」
10.「Don't Give Up」 Peter Gabriel「So」
11.バッハ「フーガの技法」=新世紀サキソフォンクァルテット
12.Same Track as No.6
13.「第三楽章」 ラフマニノフ交響曲第2番」イヴァン・フィッシャー指揮:ブダペスト祝祭管弦楽団
14.リンダ・ロンシュタット「Box Set」