ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

アメリカ、家族のいる風景

Dontcomeknocking2
 先日の記事で「パリ、テキサス」から20年の時を経て再びヴィム・ヴェンダースサム・シェパードが組んだ映画「Don't Come Knocking(アメリカ、家族のいる風景)」を楽しみにしている、と書きましたがようやく昨日観てきました。神戸大丸の近くにあるシネ・リーブル神戸という、日活系で芸術的な映画を多く上映する映画館です。目の肥えたお客さんばかり、それも今日は10人前後(^_^;)、ゆっくりと鑑賞することができました。

製作年 : 2005年
製作国 : ドイツ=アメリ
配給 : クロックワークス
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:サム・シェパード
音楽:Tボーン・バーネット
出演:
サム・シェパード(ハワード)
ジェシカ・ラング(ドリーン)
ティム・ロス(サター)
ガブリエル・マン(アール)
サラ・ポーリー(スカイ)
フェアルーザ・バーク(アンバー、アールの彼女)
エヴァ・マリー・セイント(ハワードの母)

西部劇のスターだったハワードは、新作の撮影現場から突然逃げ出し、故郷に向かう。そこで彼は、久々に再会した母から驚きの事実を聞かされる。彼の子供を身ごもったというモンタナの女性(ドリーン)から連絡があったというのだ。ハワードは自分の子供を探し出すため、モンタナ州ビートの町へと車を走らせる。昔の恋人との不安まじりの再会、息子アールの反発、骨壷を抱えた不思議な少女スカイとの出会い。ハワードの心の孤独は深まるばかりだが…。

本年のカンヌ国際映画祭でも大きな拍手で迎えられたヴィム・ヴェンダース監督、期待の新作だ。監督曰く「『パリ、テキサス』での仕事が“完璧な体験”であったため、20年もの間、再び組むことに躊躇していた」というサム・シェパードが手掛けた脚本が秀逸だ。広大で空虚な砂漠、ひと気のない田舎町、寂れたアメリカの原風景と、その中で彷徨う“ある家族”の痛みと困惑と喜びの姿を、60歳を迎えたヴェンダースのますます才気あふれる映像とT-ボーン・バーネットの音楽が切なく優しく包み込む。
(オフィシャルHP等より)

 解説にあるとおり、ピュリツァー賞も受賞した超一流の劇作家であるサム・シェパードの脚本がこの映画の命でしょう。「パリ・テキサス」でも主人公(ハリー・D・スタントン)と別れた妻(ナスターシャ・キンスキー)のミラー越しでの長い長い会話が印象的ですが、今回も自ら演じる主人公が昔身ごもらせた女(実生活でもパートナーであるジェシカ・ラング)と、不思議な少女、実は娘であるスカイ(サラ・ポーリー)に比較的長い台詞をしゃべらせ、見せ場を作っています。
 普通長すぎる台詞は台本臭さが抜けずにシラケてしまうことが多いのですが、さすがにサム・シェパードが書くと退屈さは微塵も無く、韻を踏んだりユーモアを含ませたりしつつ盛り上げていくのでジンジン胸に沁みて来ます。

 もちろん俳優陣も秀逸。上記の、ジェシカ・ラングが昔愛を交わした男の身勝手さ、弱さに感情を爆発させるところ、サラ・ポーリーが淡々と父に会えた喜びを語るところあたりがクライマックスですが、上記7名全てが名演で、ヴィムが最高の俳優陣に恵まれたと語っているのもあながちセールストークではありません。「海の上のピアニストティム・ロスの演じる癖のある私立探偵もなかなか良い味出してました。ちょっと面白かったのは主人公が撮影中に逃げ出した映画の監督、なんと名優ジョージ・ケネディが演じてました。
 パリ・テキサスと同じようにアメリカの原風景を原色で描くカメラ・ワークも見事です。如何にもヴィムらしい美意識が貫かれていていました。

 ちょっと上映時間が長い(124分、パリ・テキサスよりは短いかな)事や、サム・シェパードの脚本のあくの強さなどがあり、誰でもどうぞ見てくださいと言うわけにはいかない映画ですが、「パリ・テキサス」が好きな方なら感動できることは受け合います。是非どうぞ。

Nightmare
 シネ・リーブルにあったガチャポンになんと、ナイトメア・ビフォア・クリスマスがありました(^o^)やってみたら見事サリーが出てきました。ブリキ製の入れ物もしゃれてるでしょ!