ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Oxford Bookworms Library

 本の話題を2回ほど書いてみたいと思います。先日バリ紀行の記事で「持って行った本をあっけなく読んでしまった」と書いたのですが、実はこんな本を持っていきました。
 Oxford Bookworms Libraryという、過去の名作を子供から学生が学べるように難度をStage1-6に分けて編集したシリーズです。実は旅行前に街へ出かける機会があって、紀伊國屋書店でなんか持ってく本ないかな~とぼんやり書棚を眺めていて見つけました。これくらいだと、電子辞書を持っていかなくても済むし、飛行機中でもホテルでも肩が凝らない程度で読んでしまえるんじゃないかと思ったわけです。

Tooth And Claw - Short Stories
Tooth And Claw - Short Stories: Stage 3: 1,000 Headwords (Oxford Bookworms)

 Sakiという小説家の事は大学の英語の講義で初めて知った記憶があります。結構数奇な運命をたどった英国の小説家なのですが、動物をテーマにしたブラックユーモアあふれれる短編をたくさん書いておられます。
 実は村上春樹の「海辺のカフカ」に猫との会話のシーンが頻繁に出てくるのですが、どうも既視感のようなものを覚えていました。もちろん猫がしゃべる小説というのは五万とあると思いますが、ちょっとブラックな雰囲気をたたえた小説で、ということです。
 Sakiの名前を書棚に見つけて、彼かな?という思いがあり買ったのですが、「Tobermory」という小説がそうだと分かりました。人間語を教えられてしゃべれるようになった大きな屋敷の飼い猫が、あちこちの部屋で聴いた秘密の会話や独り言をばらしてしまい、その家の家族、客人のお互いへの嫌悪感が露わになってしまい、みんなが非常に気まずくなってしまう、という筋でした。それ以外にもなかなかひねりの効いた辛辣な短編が収録されています。子供用とは思えない内容の気もしますが(汗。

Love Story
Love Story (Oxford Bookworms Library)

 一転して臆面も無いラブ・ストーリー。映画「ある愛の詩」の原作です。社会現象にまでなった宣伝文句が「愛とは決して後悔しないこと」でした。実はちょっと前、nemotaさんのブログでこれは英語でなんと言ったっけなあ?という問があり、うろ覚えで答えたのですが、今ひとつ自信がなかったんですよね。それが頭にあって、手が伸びました。さて、その答えは

Love means you never have to say you're sorry.

でした。もちろん映画中で使われたセリフには違いないのですが、ラストにこれだけ効果的に使われたセリフだったとは不覚にも覚えていませんでした。
 個人的には冒頭の一節

What can you say about a twenty-five-year-old girl who died?

との方が妙に心に残っています。「わずか25歳の若さで死んでしまった女の子について何が語れるというのだろう?」というような字幕だったと思います。その割には色々語っていて(^_^;)

彼女は美しくて聡明だった。
彼女はモーツアルトとバッハとビートルズが好きだった。そして僕と。

キザですね~、それに畳み掛けるように、

一度尋ねてみた事がある、どれが一番好きなんだと、彼女は微笑みながら答えた。ABC順かなと。僕も笑った。

彼の名前はOliver Barrett。だから名前だとびりっけつになってしまうし、姓でもバッハに次いで二番でトップには来ない。彼の家系はハーヴァードに講堂を寄付するくらいの名門なので、

一番にならないと許されない環境に育った、だからこのことはとても僕を不安にする

のです。わずか数行で自分の名前、立場、そして恋人を失ったことを語ってしまう、見事な語り口ではあります。
 映画では冬のセントラルパークでスケートを見ているシーンだったような気もするのですが、それが冒頭に出てきていたか?といわれるとちょっと記憶が曖昧で、また機会があれば見てみようと思います。

 まあ、正直なところちょっと簡単すぎて、行きの飛行機で2冊とも読みきってしまいました。今度機会があればこれの原書をもっていこうかなと思ったりしています。