ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Prairie Wind / Neil Young

 旅行等でしばらく音楽ネタを出す機会が無かったもので、このアルバムをご紹介するのが遅れてしまいました。最近脳動脈瘤の手術など健康面の話題が多いニール・ヤングですが、この新作で健在を知ることができます。初めて自分の小遣いで買ったアルバムが彼の名作「Harvest」であった私としては嬉しい限りです。
プレーリー・ウィンド(DVD付)
プレーリー・ウィンド(DVD付)

『ハーヴェスト』(72年)、『ハーヴェスト・ムーン』(92年)に続く3部作の完結編。ナッシュヴィル録音によるアコースティックな作りだが、淡々とした中に込められた思い、情感がしみじみと伝わってくる傑作。意味深な詞に注目したい。(Amazon解説より)

1.Painter
2.No Wonder
3.Falling Off the Face of the Earth
4.Far From Home
5.It's A Dream
6.Prairie Wind
7.Here For You
8.This Old Guitar
9.He Was the King
10.When God Made Me

 CDとDVDの二枚組みで、共にこの曲目となっています。DVDは嬉しいことにスタジオ・セッションの様子を見ることが出来ます。それにしてもニール・ヤング、老けました、ちょっとショックなくらいです。健康面のことも影響してるんでしょうけど、なんかホームレスの爺さんみたいです(涙。そういえば彼、風呂が大嫌いで物凄く臭いので、ザ・バンドのラスト・ワルツの時に誰も近寄らなかったという逸話がありますが、今回も一人でブースに入って演奏してます、やっぱり(?_?)。
 まあそれはさておき、ストレイ・ゲーターズからの長~い付き合いであるペダル・スチール、スライド・ギターの名手ベン・キースをはじめ気心の知れたメンバーの演奏や、最近ツアー・メンバーにもなっているエミールー・ハリスのバック・ボーカルも見ることが出来てファンには見所一杯のDVDです。

 内容的には「ハーヴェスト三部作」という売り文句の通り、彼のアクースティックで自省的な面を前面に押し出したアルバムと言えます。この売り文句は以前「Silver and Gold」の時にも聞いた気がするのですが、内容的には確かに今回の方がハーヴェストに近い印象を受けます。解説に「意味深な詞」と書いてあるのは、8のThis Old Guitarに出てくる

This old guiter has caught some breaks

But it's never searched for gold

ではないかと思います。「ハーヴェスト」所収の傑作「孤独の旅路(Heart of Gold)」の中の

僕はHeart of Goldを捜し求めて老いてしまった

と言う有名な歌詞を下敷きにしている事は彼のファンなら誰も想像がつきますよね。彼があの曲を書いて以降の人生をギターに託して歌う姿をDVDで見ると確かに感動的です。

 個人的なことを最後に書いておきますと、「Harvest」を最初に買ったという事は私の英語との付き合いに深い影響を与えてくれました。と言うのも当時中学生になって英語を習い始めたばかりの私にとって、

1: 彼の英語は非常にクリアで聞き取りやすかった。
2: 歌詞とクレジットを何と全て手書きしていて、教科書以外で初めて筆記体を見た。

という事が非常に刺激になったのですね。それまで筆記体なんてへんてこな文字をホントに外人は使っているのかなんて思ってましたし、「これはペンです」なんて事を外人が真面目に日常会話で使ってるはずがないだろう、なんて思ってましたから、あの時期に生きた英語に接することができ、それを聞き取れる、という事が本当に嬉しかったんです。自分が曲がりなりにも「学生時代英語が得意でした」なんて言えるのは彼のお陰かもしれません。