ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ヒトラー最期の12日間

は: おおっ、ご主人様、一転して恐ろしくシリアスなネタでございますねっ、はむちぃめ、うれしゅうございます。
ゆ: はむちぃよ、実はこれも息子が買ってきたのじゃ(-.-)(ボソッ)。
は: ひえ~、センター試験を前にしてまたしても(>_<)、で、ご注意なされましたかっ?
ゆ: 当然したぞ、何考えとんじゃ~、てな。
は: で?反応は?
ゆ: 結局その日に二人でなんちゃってホームシアターで観てしまいました。
は: (-_-;)やっぱり。
ヒトラー ~最期の12日間~ スペシャル・エディション
ヒトラー ~最期の12日間~ スペシャル・エディション

   1942年、ミュンヘン出身の若い女性が、アドルフ・ヒトラーの秘書になる。彼女は追いつめられたヒトラーの最期の日々を近くで目撃。独裁者をひとりの人間として見つづけた彼女の瞳に映った、本当のヒトラーの姿とは?
   指令本部から出ようとしない晩年のヒトラーは、部下たちの助言にもなかなか耳を貸さず、強いドイツを最期まで疑わなかったが、女性や身内にはやさし く、紳士だったのに驚きだ。ユダヤ人大虐殺など、ヒトラーが作りあげた残酷な歴史は、どんなに彼が人にやさしくしても決して消えることはないし、許せない 行為だが、この男がなぜ、独裁者になったのかと、ますます興味深くなること間違いなし。ヒトラーを演じるのはブル-ノ・ガンツ。自分という存在を消して、 ヒトラーになりきったその演技は一見の価値あり。(斎藤 香、AMAZON解説より)

は: なんとも陰鬱ながら、ぐいぐい画面に引き込まれてしまいました。
ゆ: 地下の作戦本部のカットと、降伏間近のベルリンの市街戦のカットが交互に繰り返されるだけだから、最初から最後まで白黒フィルムに近いような暗鬱なシーンの連続なんだけど、それが丁寧で首尾一貫したフレームワークに支えられているので見ごたえがあります。
は: それで、最後の最後に秘書と孤児が脱出に成功したシーンでの青空の美しさが目に染みる分けでございますね。
ゆ: おっ、はむちぃ君炯眼ですな。全くその通り、その絶妙の効果まで計算しつくされているという印象を受けました。

は: ヒトラーを美化しすぎているという批判もございますが。
ゆ: そは思わなかったけどな、狂気に取り憑かれているといえどヒトラーも人間、女性や民間人には優しい一面もあって当然、それをありのままに描いているという印象でした。だからこそ我々は、そんな人間がどうしてこれほどまでのジェノサイドを行い得たのかを学ばねばならないわけです。
は: そう言えば、ヒトラーアーリア人の出生証明書を持っていないというシーンがございました。
ゆ: 手塚治虫先生の「アドルフに告ぐ」を思い出しました。ヒトラーには本当にユダヤ人の血が混じっていたんでしょうかね?もしそうだとしたら、つくづく思想的矛盾を内包した狂気の人物だったんですねえ。しかしそのヒトラーを演じるブルーノ・ガンツの演技の恐ろしいほどの見事さはどうでしょう。迫真に迫ると言う言葉でも足らないほどの凄みがありました。
は: 人間らしい一面と取り憑かれた狂人の一面を見事に演じ分けておいででございました。フィルムを昔の記録テープ風に加工したら、ヒトラーその人が出ている、と言われても分からないかもしれませんですね。
ゆ: あの時代に生きていたら影武者として活躍してたかもしれないと思わせてくれましたね。チャップリンが、自分の容貌がヒトラーが似ているので敢えて撮ったという「独裁者」にもひけを足らない演技だったと思います。それにしてもブルーノ・ガンツって「ベルリン 天使の詩」に出てた人なんですけど、名前を見るまで全く分かりませんでした。

は: 涙なくしては見られないゲッペルスの5人の子供をはじめとして、この映画では殆どの人物が命を落としていくわけですが、
ゆ: どういうわけか主役側は撃たれても刺されても死なない日本の戦争SFを直近に見ていたので、リアリズムの恐ろしさをいやと言うほど見せ付けられた思いでございます。
は: 生き残った方々についてはエンドロール直前にその後が語られます。ナチス幹部に関しては良く知られている事実ばかりでしたが、
ゆ: 特にシュペールは「ヒトラーの建築家」というドラマが最近話題を呼んだばかりでしたね。
は: 今回の主役級である秘書の方がつい最近までご存命だったとは驚きでございました。
ゆ: 彼女が語る

若いゆえの無知だからと言って済まされないことをしてしまいました

という言葉の重みはいかばかりでしょう。狂気の指導者の過ちについては何一つ語らずに戦没者を哀悼して何が悪いと開き直る亡国の指導者にも是非聞いてほしいものです。