ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

福井晴敏3部作に思う

ゆ: 最近邦画の戦争シミュレーションSFものをちょくちょく見るのですが、
は: はいはい、「ローレライ」以降でございますね、それが何か?
ローレライ スタンダード・エディション
ローレライ スタンダード・エディション

ゆ: なんと全部福井晴敏氏原作。しかもなんと!
は: はあ?
ゆ: 彼の作品は読んだことがございませんっ。ターンAガンダムなら知ってますが。
は: はぁ~(-_-;)
ゆ: ということであくまでも映画評でございますが、みなさまおつき合い下さいませ。
は: はぁはぁ、「独断と偏見に満ちた」という前置きが必要な気もいたしますがおつき合いいたしませう。

は: 作品は「ローレライ」「戦国自衛隊1549」「亡国のイージス」の三作でございますね、。以前のレビューで

ローレライは思ったより良かった

と評価しておいででございました。
ゆ: はいはい、そうでした。仮にローレライを70点の作品といたしましょう。とすると、

戦国自衛隊1549: 45点
亡国のイージス: 55点

と言うことになりましょうか。

戦国自衛隊1549 標準装備版 (初回限定生産)
戦国自衛隊1549 標準装備版 (初回限定生産)

陸上自衛隊で秘密裏に行われた実験中に、暴走事故が発生。的場一佐(鹿賀丈史)率いる精鋭部隊が、460年前の戦国時代にタイムスリップしてしまった。か つての仲間だった鹿島勇祐(江口洋介)は、時空の彼方に消えた仲間たちと日本を救うため、神崎怜2尉(鈴木京香)とともに2度目のタイムスリップを敢行す る。(AMAZON解説より)

ゆ: 角川の60周年だかなんだかの作品らしいですが、何かが決定的に足りないので、ものすごく薄っぺらな映画です。
は: 何かとはまたアバウトな、一体何でございましょう?
ゆ: 全てが決定的に足りないと言い換えても良いくらいですが、一番は人物描写の浅さでしょう。この人一体何考えてこんなことやってんの?というところの説明が、単純なくせに大げさ、非常に漫画チックで、まるで心に響かない。原作はどうなんだろう?あのまんまなら、もともとの原作者であった半村良先生もお嘆きでございましょう。そのくせ、映画の登場人物の言葉を借りるなら、観ている我々は「駄眠を貪っている平成の民」と言うことになる、あんまりバカにするなよ、と言いたい。
は: なるほど、そういえば私メも、豪華キャストの割には印象に残る方があまりおられませんでした。斉藤道三役(伊武雅刀)くらいでございましょうか。

ゆ: その上プロットがお粗末ときたら救いようがないな、戦斗シーンの豪華さで目くらまししてるとしか思えません。大体から歴史を変えるとなんで虚数空間が出現するんだ?まちゃまちゃなら「はぁ~~~~~??」と目を剥いてるぞ、ほんと(怒怒。それがあっちにもこっちにもできてて何で地球が崩壊しないんだ?ディラックの海エヴァだけでたくさん。
は: ご主人様またまたガイナックスねたをトホホ。

亡国のイージス
亡国のイージス

最新鋭の防空システムを搭載したイージス護衛艦「いそかぜ」に、沖縄米軍基地から盗まれた化学兵器「GUSOH」が特殊工作員によって持ち込まれたのだ。 「いそかぜ」の先任伍長の仙石はその情報をつかみ、新入りの如月が工作員ではないかと、目星をつけるが、副長から離艦命令が。そのあと「いそかぜ」の全ミ サイルの標的が東京に設定された。黒幕は対日工作員のヨンファ。彼の目的は?そして東京はどうなる?(AMAZON解説より)

は: この映画も豪華キャストでございました。奥様のお好きな寺尾聰様、世界に通用する真田広之様、ご主人様のお気に入りの佐藤浩様、壬生義士伝で見直した中井貴一様、ヨコハマ・ホンキートンク・ブルースも懐かしい原田芳雄様等々、お正月映画かと思ってしまうくらいでございます。
ゆ: 何気なく渋い歌を出してますな、はむちぃ君(^_^;)。さすがにこれだけの役者陣が熱演すると画面が引き締まります。だから最初は凄く良い映画だ!ようやくハリウッド映画に近づく完成度を持った映画が出てきたか、という予感がしたのですが、残念ながら中盤までで息切れしてしまいました(涙。
は: と申しますと後半がーー、たしかに尻切れトンボ的なところはございましたね。
ゆ: 壮大な物語が最後は子供の喧嘩かというくらい卑小な戦いになってしまいました。というわけでネタバレ覚悟でしゃべりますが、なんでーー

主人公側はいくら銃弾を打ち込まれてもナイフで切られても死なないで
敵側雑魚キャラはあっという間に戦闘不能におちいるの?

というテレビドラマよりひどい依怙贔屓。しかも、救出へりが山ほど来てるのに、

まだ生きてる寺尾さんをどうしてほっとくの?それ以前の問題としてなんで艦のエンジンを停止させないで帰っちゃうの(-_-;)

どう考えても寺尾さんにこの船を爆破させたかったとしか思えない。そのくせ本部では「このままでは火力発電所にぶつかる~」ってアセってるし。大体から洋上とはいえあんな近くでイージスを爆発させたらただじゃすまんでしょうが。という事でクライマックスでプロットは完璧に破綻いたしました。
は: 見事なネタバレ解説ありがとうございました、トホホ。原作はかなり高評価を得ているようでございますが。
ゆ: らしいねえ。読んでみようかとは思っているんだけど、ここでもまた、我々平成の一般人は「守るに値しない堕落した人たちで日本は国体をなしていない」らしいからねえ、ちょっと食指が動かないんだよね~。このあたりの作者の人生観、ご存知の方がおられたら教えて下さいませ。